Supervisor: 手嶋政廣 TA: 齋藤隆之、Daniela Hadasch、岩村由樹、高橋光成
高エネルギーガンマ線による宇宙の研究は、フェルミガンマ線衛星、 HESS, MAGIC, VERITAS などの地上チェレンコフ望遠鏡により、過去10年の間に大きく発展してきました。多数の高エネルギー天体からGeV・TeVガンマ線が発見され、宇宙で起こる様々な高エネルギー現象が明らかになってきました。超巨大ブラックホール、超新星残骸、高エネルギー宇宙線加速、コスモロジー、暗黒物質探索において重要な成果をもたらし、今や、高エネルギーガンマ線天文学は、宇宙物理学における極めて重要な分野を形成しています。本プロジェクト研究では、フェルミガンマ線衛星、MAGICチェレンコフガンマ線望遠鏡を使い、カニ星雲を観測してみます。カニ星雲は1054年に爆発した超新星残骸であり、藤原定家の明月記にも記述があり、若い超新星残骸で、その中心部にはパルサーが存在し、周囲にはパルサー風により生成されたパルサー星雲が存在します。
1) パルサー星雲により加速された高エネルギー粒子が周囲の輻射場と衝突しガンマ線を放出します。
2) 高速で(33ミリ秒で)回転している若いパルサーは、強い磁気圏を周囲に持ちながら回転しており、単極誘導により強い電場が生成されます。この電場を利用して粒子が加速され周囲の磁場、輻射場と相互作用しガンマ線パルスを放出します。
カニ星雲、カニパルサーからのガンマ線を測定し、その時間分布から 1), 2) の成分を分離し、粒子加速、ガンマ線放射の詳細なメカニズムについて研究します。
発表スライド