【トピックス】大内正己准教授が第15回(平成30年度)日本学術振興会賞を受賞

大内正己准教授が第15回(平成30年度)日本学術振興会賞を受賞

ー観測的宇宙論グループ

2018.12.27

 独立行政法人日本学術振興会は27日、日本の学術研究の将来のリーダーと期待される日本学術振興会賞の受賞者を発表し、宇宙線研究所から観測的宇宙論グループの大内正己准教授(銀河天文学)が選ばれました。受賞理由は「ライマン・アルファ放射体を用いた初期宇宙の観測研究」で、東京大学宇宙線研究所からの受賞者は初めてのことです。

日本学術振興会賞を受賞した大内准教授

 発表資料によりますと、大内准教授は、ビックバンの約20億年後から約8億年後まで時間を遡る宇宙にある銀河を多数探索し、宇宙の地図を描くことで、その大構造形成過程を実証的に解明することに貢献してきた、とされています。

「独創的かつ世界をリード」「若手育成を通じて研究分野の発展にも貢献」


 大内准教授は、国立天文台のすばる望遠鏡を用いて、初期宇宙にある銀河の系統的な広域探査を提案し、観測を主導し、多くの実績を挙げました。特に初期宇宙に特有な、水素のライマン・アルファ輝線で輝く銀河(ライマン・アルファ放射体、LAE)観測では、誕生後10億年の宇宙にはすでに銀河がなす大規模構造ができていることを発見。宇宙の再電離に制限をつけるデータも得ています。さらに、ヒミコと名付けた非常に明るく大きいLAEをビッグバンから8億年程度の初期の宇宙で発見し、大規模な星生成活動が起きて銀河が形成される様子を明らかにしたことにも触れており、「これらの業績は独創的かつ世界をリードするものであると同時に、若手育成を通じ、日本のこの研究分野の発展にも大きく貢献している」と高く評価しています。

 日本学術振興会賞は2004年、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者の研究意欲を高め、研究の発展を支援することで、日本の学術研究の水準を世界のトップレベルに発展させることを目的として創設されました。人文学、社会科学及び自然科学の全分野が対象とされ、トップレベルの学術研究者で構成される審査会が選考を行い、今年度は25人の受賞者が選ばれています。

 授賞式は来年2月7日、日本学士院(東京都台東区)で、行われる予定です。