実施レポート

第18回 宇宙線研究所×カブリ数物連携宇宙研究機構 合同一般講演会を実施しました

2018.4.14

 東京大学宇宙線研究所(ICRR)とカブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の合同一般講演会「粒をさぐる・粒でえがく宇宙」が4月14日(土)、千葉県柏市のアミュゼ柏で開かれました。春と秋の年に2回開催しており、今回で18回目を迎えました。関東を中心に北陸、東海、関西の方にもお越しいただき、333人が参加しました。

 講演会には宇宙線研究所教授で神岡宇宙素粒子研究施設長の中畑雅行先生と、カブリ数物連携宇宙研究機構特任助教の白井智先生が登壇。それぞれ「Super-Kamiokande・超新星ニュートリノ観測の最前線」、「Naturalness・LHC実験で探る不自然な自然」のタイトルで話しました。

Talk 1

 まずは中畑先生が、超新星爆発によるニュートリノを1987年にカミオカンデで初観測したことや、超新星爆発により数百年前に夜空が明るくなったことが記録された古文書などを紹介。その後、過去に起こった超新星爆発によって放たれた超新星背景ニュートリノの観測を試みる実験計画について話しました。「宇宙全体で見れば数秒間に一回の頻度で超新星爆発が起きている。そのニュートリノをあわせると、皆さんの手のひらを一秒間に数千個ほど通り抜けているはず。これを捕まえたいなと思っている」

Talk 2

 次に白井先生が、現状の到達点である標準模型とニュートリノ質量について触れ、「標準模型は素晴らしい。でも、ニュートリノの質量の発見により未完成だとわかった」と説明。さらに、ヒッグス粒子の質量は「非常に不自然な存在」だとし、「不自然さが新物理で解消されているなら、LHCで検証できるかもしれない」と話しました。

Dialog

 最後は、2人の講師によるトークセッションを開催。会場のお客様からの質問を交えながら、物理学の両輪としての「観測」と「理論」の立場から意見を交わしました。「究極の理論は存在するのか? それを見つける方法は?」、「究極の理論を考える上で、スーパーカミオカンデやハイパーカミオカンデがもつ意義はなにか?」などの問いについて激論を交わしました。講演後は多くの参加者が会場外のロビーにて登壇者を囲み、たくさんの疑問をぶつけていました。

Exhibition

 宇宙が誕生する、地球ができる、ホモ・サピエンスが誕生する、農耕・牧畜をはじめる――。会場のロビーでは、宇宙が誕生してから現在までの138億年のできごとを振り返る展示を見ながら、このような問いについて考えました。参加者からの一部の意見をご紹介します。

わたしたちの身体をつくる物質は、
どこから来たのでしょうか?

わたしたちが死んだら、
どこへ行くのでしょうか?

意識や記憶はどこへ
行ってしまうのでしょうか?

死んでもなお、
残るものはなんでしょう?

地球のほかの星にも
生命が存在すると思いますか?

もし存在するなら、わたしたちと
どんな違いがあると思いますか?

もしその生命と話せるなら、
なにを語りあってみたいですか?

近くの人ともうまく語りあえない
ときがあるのはなぜでしょう?

宇宙には終わりがある
と思いますか?

もし終わりがあるなら、あなたの
大切なものへのまなざしは変わるでしょうか?

あなたのまわりで「終わり」
をむかえたものはなんですか?

あなたにとって「未来」とは
何年後を想像しますか?

どんな未来を想像しますか?