宇宙ニュートリノ研究部門

COSMIC NEUTRINO DIVISION

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奥村 公宏

OKUMURA Kimihiro

宇宙実験:Super-Kamiokande/T2K/Hyper-Kamiokande

image ニュートリノにおけるフレーバー及び質量構造の研究

素粒子の中で最も質量の軽い粒子であるニュートリノの研究をしています。 ニュートリノは、僅かな質量を持つことによりニュートリノ振動と呼ばれる現象が生じ、三種類あるフレーバーの状態の間で行ったり来たりします。大気ニュートリノや加速器ニュートリノで観測されるニュートリノ振動を精密に測定し、それを通してニュートリノの未知の特性を明らかにしようとします。今後は宇宙における物質起源解明のヒントとなるかも知れないCP非対称性や質量階層性にせまることを目標とし、そのための実験装置の開発や改良にも取り組む予定です。

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梶田 隆章

KAJITA Takaaki

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宇宙実験:KAGRA/Super-Kamiokande

image 重力波、ニュートリノ

建設が始まった大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)で重力波の発見と重力波天文学の創成を目指します。KAGRAは一辺3kmの巨大なレーザー干渉計で、世界一の感度で重力波を観測するために、地面振動の小さい岐阜県神岡の地下に設置され、また感度を究極的に制限する鏡の熱雑音を抑えるために極低温に鏡を冷やして干渉計を運転するという世界に例のない装置です。私たちと一緒に重力波天文学を切り開く意気込みのある大学院学生を歓迎します。

また、スーパーカミオカンデでニュートリノ研究を行っています。特に、宇宙線が大気中で作る「大気ニュートリノ」は既に40,000を超えるニュートリノ事象を集めてあり、これからもデータは増えていきます。このような大量のニュートリノデータを用いて、ニュートリノ振動の研究を進めています。1998年に大気ニュートリノの研究によってニュートリノ振動が発見されましたが、その後も研究は続けられ、現在では、より詳しくニュートリノ振動の研究を行っています。特に大気ニュートリノを研究して3世代のニュートリノ振動の全貌を明らかにしていきたいと考えています。

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岸本 康宏

KISHIMOTO Yasuhiro

宇宙実験:XMASS実験

image 暗黒物質探索実験、ニュートリノ実験、これら実験装置の開発研究

暗黒物質、ニュートリノを中心に研究を行っています。 暗黒物質もニュートリノもいずれも非常に相互作用が小さく、検出することが非常に困難です。しかし、これらは我々の宇宙の謎について多くを教えてくれます。

暗黒物質:
近年の天文学の進捗は著しく、我々は宇宙について詳しく知ることが出来るようになりました。すると驚いたことに、我々の宇宙には、我々の知らない物質が大量にあることが分かりました。この正体の分からない物質は「暗黒物質」と呼ばれ、宇宙の構造形成に大きな役割を果たしたと考えられます。さらに、暗黒物質は未知の素粒子であると考えられ、天文学、宇宙物理学ばかりでなく、素粒子物理学の面からも非常に重要はテーマです。

この暗黒物質を観測すべく、液体キセノンを用いた大型でユニークな実験装置、 XMASS実験装置を、神岡地下に建設し、それを用いて暗黒物質探索実験を開始しました。

ニュートリノ:
スーパーカミオカンデを改造し,超新星ニュートリノバーストを検出する計画を進めています。
1987年、スーパーカミオカンデの前身、カミオカンデは、マゼラン星雲の超新星爆発で生じたニュートリノを観測しました。超新星爆発は、大質量の恒星の最期を飾る大イベントですが、この際に大量のニュートリノが宇宙に旅立ちます。ニュートリノは物質と相互作用しないため、爆発以降、ニュートリノは永遠に宇宙を飛び続けます。これは超新星背景ニュートリノと呼ばれており、このニュートリノを測定することで、宇宙の進化について研究することが出来ます。スーパーカミオカンデにガドリニウムを導入して、ニュートリノに対する感度を向上させ、この超新星背景ニュートリノを検出する計画(GADZOOKS!計画)の実現させるべく、開発・研究(EGADS)を進めています。また、将来の大型ニュートリノ実験であるハイパーカミオカンデ実験にも参加しています。
これらの実験は、どれも「面白い」と同時に「挑戦的」な実験です。その挑戦的課題に挑むべく、現在、そして将来の実験のために装置の改良や開発も積極的に行います。

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塩澤 真人

SHIOZAWA Masato

素粒子実験:Super-Kamiokande/T2K

image陽子崩壊・ニュートリノ実験による素粒子統一理論の研究

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 スーパーカミオカンデという大型地下実験装置を用いて、素粒子の研究をしています。 またより高感度な実験装置ハイパーカミオカンデ実験の実現を目指し、実験のグランド デザイン作成に取り組んでいます。いつか素粒子の統一理論の証拠をつかむことが夢です。

 スーパーカミオカンデ実験では大気ニュートリノ・陽子崩壊物理解析の責任者として、 ニュートリノ振動の精密研究を行うと同時に、素粒子の大統一理論の予言する陽子の崩壊 現象の探索を行っています。世界最大の検出器であるスーパーカミオカンデをフルに活用して、 世界最高の研究成果を出して行きたいと考えています。またハイパーカミオカンデ 計画ではプロジェクトリーダーとして、スーパーカミオカンデの10倍規模の次世代実験 の実現を目指し、高性能光センサーの開発や実験のグランドデザイン作成を進めています。

 スーパーカミオカンデやT2K実験が世界をリードしてきたニュートリノ研究は、CP対称性 の破れを調べる新たな局面を迎えています。衝突型加速器実験では到達出来ない超高エネルギー における素粒子法則の直接検証である陽子崩壊研究では、いつ陽子が壊れてもおかしくない ところまで到達しており、今後の研究がますます重要になってきます。研究の飛躍的発展を 目指したハイパーカミオカンデの設計作りも、国際協力体制の中で佳境に入りました。 これらの研究に熱意を持って取り組める方、意欲的に挑戦したい方の進学を歓迎します。

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関谷 洋之

SEKIYA Hiroyuki

素粒子実験:Super-Kamiokande/SK-Gd/Hyper-Kamiokande/XMASS

imageニュートリノ・暗黒物質による素粒子および宇宙研究

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 宇宙にはニュートリノや暗黒物質が満ちており、宇宙の始まりから、現在・未来に至るまで、それらが決定的な役割を果たしていると考えられます。宇宙の成り立ちや仕組みを解明することを目指し、それらの宇宙素粒子を実験的に研究しています。


 現在、Super-Kamiokande, EGADS, XMASSといった検出器を使用し、それらの能力を向上させるための努力や、特性を完全に理解する努力をして、太陽ニュートリノによるニュートリノそのものや太陽の研究、超新星爆発からのニュートリノ、様々な暗黒物質候補の探索等を行っています。また、Super-Kamiokandeの純水にGd(ガドリニウム)を付与して、反電子ニュートリノの物理を展開させる計画(SK-Gd)を推進しています。特に、宇宙に蓄積されている過去の超新星爆発で放出されたニュートリノの初検出を目指しています。Hyper-Kamiokande実現のための開発研究や暗黒物質・宇宙(背景)ニュートリノの検出を目指した様々なアイデアの検出器開発も行っています。


 いずれも、普通の状態では自然に隠された現象をとらえる必要があるので、『自然じゃない』低バックグラウンド環境が必須です。日本では神岡でしか実現できない研究環境です。

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中畑 雅行

NAKAHATA Masayuki

宇宙実験:Super-Kamiokande

image ニュートリノを用いた天体物理学、暗黒物質の探索

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ニュートリノを使って捉えた太陽の像。

スーパーカミオカンデ実験装置(SK)を使い、太陽ニュートリノ観測、超新星爆発 ニュートリノの観測を行っています。太陽ニュートリノはニュートリノ振動の効果によって、元々の電子ニュートリノの約70%がミューニュートリノ、タウニュートリノに変化して地球に届くことが既にわかっています。太陽ニュートリノのエネルギースペクトルを精密に測定し、ニュートリノ振動の理解を深めようとしています。

太陽の8倍以上重い星はその一生の最後に「超新星爆発」とよばれる大爆発を起こします。その爆発のエネルギーの99%はニュートリノによって星から放出されます。SKは24時間体制で常時データを取っており、もし我々の銀河で超新星爆発がおきれば、非常のたくさんの数のニュートリノ現象を捉えることができます。また、超新星爆発は宇宙の初めから宇宙の至るところで起きてきており、そうしたニュートリノ(「超新星背景ニュートリノ」とよぶ)は、我々の周りにも飛び交っています。超新星背景ニュートリノを観測するために、SKの水タンクにガドリニウムを100トンほど溶かして、反電子ニュートリノの現象を同定しようと考えています。現在は、その実現可能性を探る実証実験を行っています。宇宙の23%は暗黒物質とよばれる物質だと言われていますが、その正体はまだわかっていません。その正体を暴くために液体キセノンを使った実験装置を神岡の地下に建設し、観測を始めようとしています。

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早戸 良成

HAYATO Yoshinari

素粒子実験:Super-Kamiokande/T2K/Hyper-Kamiokande

image ニュートリノ振動実験、ニュートリノ核子散乱実験、および核子崩壊

ニュートリノは弱い相互作用しかしないため、直接ニュートリノを検出器で検出することが出来ません。このため、比較的エネルギーの高い大気ニュートリノや加速器ニュートリノを用いたニュートリノ振動実験では、ニュートリノと原子核の散乱から生じた粒子を観測、シミュレーションの結果と比較することでニュートリノ振動のパラメータを決定しています。

このため、ニュートリノと原子核の散乱の正しい理解が実験精度に影響してきます。いままでは、実験や解析の工夫により、ニュートリノと原子核散乱の理解の精度が、振動パラメータを求める時に大きな誤差のもととならずにすんでいましたが、現在行われている T2K 実験では測定可能なニュートリノ振動パラメータの精度がこれまでよりもさらに高くなるため、ニュートリノ・ 原子核散乱の不定性も主な誤差の一要因となりはじめています。

ニュートリノ・原子核散乱の過去の実験データを用いたり、時には実際に実験や解析に携わり、理論家・理論グループの協力も仰ぎながら SK 実験やT2K 実験で実際に用いているニュートリノ・原子核散乱シミュレーションプログラムを改良、誤差を正しく評価する研究を行っています。また、これらの研究に基づき、将来の実験ではどのような検出器を用いれば ニュートリノ・原子核反応のより正確な理解が可能となるのかといったことを調べています。

実際に検出器を作る時には、検出器からの情報をいかに効率良く、無駄なく計算機にとりこみ、データとして解析することが出来るようにするかということは大変重要です。実際の物理解析を考えながら、どのような検出器技術やデータ読みだし機材を用いるのがベストかといったことを考えながら設計、実際にそれを構築するという研究開発を、データ収集システムを中心に平行して行っています。

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森山 茂栄

MORIYAMA Shigetaka

宇宙実験:XMASS実験/Super-Kamiokande

image 宇宙暗黒物質とニュートリノの研究

本研究室は、宇宙と物質の成り立ちを、物質の根源的な構成粒子である素粒子に基づいて理解する研究を進めています。ここでは、二つの研究対象、宇宙暗黒物質とニュートリノを研究することにより、その目標に迫ろうとしています。

宇宙暗黒物質とは何を指すのでしょうか。天文学や宇宙論的な観測により、現在の宇宙には我々の良く知っている原子や分子以外に、未知の物質である暗黒物質がその5倍から6倍もあることが分かっています。我々の身の回りにも飛び回っていて、今の体を突き抜けていると思われていますが、今までだれも重力の相互作用以外でこれを観測したことがありません。もしこの暗黒物質が素粒子であり、実験室で捉えられれば大発見です。さらに性質を調べることにより加速器を用いた素粒子実験と競い合い、宇宙を記述する根本原理にせまる研

究ができると期待しています。このため、本研究室では、XMASS(エックスマス)実験を進めており、暗黒物質を実験室で検出することを目標に研究を進めています。ニュートリノは近年非常に詳しく研究が進められている素粒子の一つです。質量があることが分かり、3種類あるニュートリノ同士で振動する現象が見つかったりしています。本研究室は、スーパーカミオカンデやT2K実験に参加しています。ニュートリノは宇宙や物質の成り立ちに大きな役割を果たしていると思われていますが、どのような性質が宇宙の運命を左右してきたのかはっきりさせることを目標としています。例えば、何故宇宙が物質で出来ており反物質は殆どないように見えるのかといった疑問や、ニュートリノが何故他の素粒子に比べて軽いのかといった問題にこたえていく研究を進めたいと考えています。

このような研究では、期待以上の不思議なことが見つかるかもしれません。ニュートリノ振動の発見はまさにその一つです。これも最先端の研究の魅力ですね。

参考のために、現在の研究分野紹介のページのフォーマットをご覧下さい。