宇宙基礎物理研究部門

ASTROPHYSICS AND GRAVITY DIVISION

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伊部 昌宏

IBE Masahiro

素粒子論

image 標準模型を越える素粒子模型の研究

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私の研究の目的は宇宙の最も基本的な法則は何かということに答えることにあります。素粒子物理学はその質問に答えるための最も重要な道具です。現在は特に標準模型における Higgs 機構を補完する TeV スケールで現れると考えられている物理について興味を持っています。それらの新しい物理の実験的証拠は現在稼働中の LHC 加速器実験で得られることが強く期待されており、今後10年は素粒子物理学に取って非常に重要な時期になると考えられています。

一方で宇宙観測も目覚しい進展を見せており暗黒物質、暗黒エネルギーの存在が明らかにされて来ています。また標準宇宙論のさまざまな問題を解決するインフレーション宇宙論についても観測を通じてほぼ確立されています。

本研究室では、素粒子実験および宇宙観測の大きな進展が期待されていることをふまえ、素粒子理論と宇宙理論を相補的に研究することで標準模型を超える素粒子模型を構築することを目指しています。特に現在は標準模型を越える模型として最も期待されている超対称性理論を中心に研究を進めています。

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内山 隆

UCHIYAMA Takashi

宇宙実験:KAGRA(かぐら)

image 大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)による重力波観測

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●●準備中です●●

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大内 正己

OUCHI Masami

宇宙実験:観測的宇宙論

image 宇宙史初期を観測的に探る研究

大内研究室は、宇宙史初期を観測的に探る研究を行っている。ビッグバン直後の高温ガスの宇宙がどのようにして現在の銀河宇宙に進化したかを明らかにするのが目標である。私たちは大型望遠鏡を用いた深宇宙探査を行い、遠方銀河を検出し、初期の銀河形成、大規模構造の形成、およびこれと密接に関連する宇宙再電離の物理過程を調べている。

ビッグバンから始まった138億年の宇宙史の中で最初の約10億年(宇宙背景放射の時代である赤方偏移1100から6までの間)は、観測的にほとんど理解されておらず、宇宙史におけるミッシングピースとなっている。この時代は宇宙の黎明期に当たり、原始ガスから星や銀河が初めて誕生するといった未解明の天体物理現象が数多く存在している。またこの頃に宇宙を満たす水素ガスが再電離されたと考えられているが、再電離の時間進化はもとより、その原因が初代銀河による紫外線だけで説明できるかどうかも分かっていない。

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当研究室が主導した国際研究により発見されたGN-108036銀河のハッブル宇宙望遠鏡(+スピッツァー宇宙望遠鏡)画像。赤方偏移で7.2、ビッグバンから約8億年後の深宇宙像である。

これらの問題は、宇宙最初の約10億年の時代を観測しない限り解決できないのだが、この時代にある天体は非常に遠いため、見かけ上とても暗く、観測は困難を極める。私たちは、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡、さらにはALMAといった世界最先端の望遠鏡を駆使し、未だ人類が目にしたことのない宇宙に挑戦している。

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大橋 正健

OHASHI Masatake

宇宙実験:KAGRA(かぐら)

image 大型低温重力波望遠鏡KAGRAによる重力波観測

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全く新しい宇宙の観測手段となる重力波検出器の研究・開発を行っています。超新星爆発やコンパクト連星が合体してブラックホールとなる瞬間に発生する重力波を直接検出することが目標です。具体的には、超高感度レーザー干渉計である大型低温重力波望遠鏡KAGRAを建設することが主ですが、それに関連した高精度光学部品の開発にも取り組んでいます。KAGRAが完成するまでは、神岡鉱山内の基線長100mの低温レーザー干渉計CLIOを値擁して次世代装置に関する研究も進めます。KAGRAの完成後は、この基線長3kmの巨大レーザー干渉計でなんとしても重力波を直接検出したいと考えています。新しいことに興味のある人、困難なことに挑戦してみたい人の参加を希望しています。

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川崎 雅裕

KAWASAKI Masahiro

宇宙理論:宇宙論的素粒子論

image 宇宙論、特に素粒子的宇宙論

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宇宙論は宇宙がどのように始まり、どのように進化し、そして、将来どうなっていくかという人類が持つ素朴な疑問に答えようとする学問です。宇宙の初期は地上の実験ではとうてい実現できないような非常に高温の状態であったと考えられています。そのような宇宙初期を理解するためには素粒子物理の理解が必要不可欠になります。当研究室では素粒子理論に基づき宇宙のごく初期に起こったインフレーション、真空の相転移、物質・反物質の非対称性の生成、暗黒物質の生成など様々な過程がその後の宇宙の熱的・力学的進化に及ぼす影響を調べ、その観測可能性を考察することによって宇宙初期に何が起こったかを明らかにするとともに、その基となる素粒子理論に対する宇宙論からの検証を行っています。

また、当研究室は宇宙線研究所で素粒子理論を研究している伊部研究室と一体となって運営され、素粒子理論研究者と宇宙論研究者が常に議論できる環境で研究を進めています。

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川村 静児

KAWAMURA Seiji

宇宙実験:KAGRA(かぐら)

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重力波物理学

 重力波は、アインシュタインの一般相対性理論により予言され、2015年9月に Advanced LIGOにより初検出されました。これは、地球から13億光年離れたところで起こった、太陽の30倍程度の質量を持つブラックホール連星の合体から発生した重力波でした。この発見により、中性子星やブラックホールの連星合体、超新星爆発、パルサー、インフレーションなどを重力波を用いて観測する、いわゆる重力波天文学が産声を上げました。我々は、重力波天文学をより発展させていくために、3kmの基線長を持つ低温レーザー干渉計型重力波検出器KAGRAを建設しています。

 KAGRAの実現には、熱雑音を抑えるための鏡の低温化、地面振動を抑えるための超高防振システム、量子雑音を最適化するための帯域可変型干渉計、さらに光の周波数および強度雑音などを抑えるための入射光学系、散乱光に伴う雑音を抑えるための補助光学系などの極めて高度な技術が必要となります。また、干渉計のデータの中から微小な重力波信号を見つけるための解析手法も重要です。

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重力波はアインシュタインの奏でる宇宙からのメロディーである。そしてそれを聞くために必要な超高感度の補聴器がKAGRAである。(イラスト:そら)

 現在、我々の研究室では、以下の3つの研究を行っています。
【1】KAGRAの入射光学系の開発
KAGRAの入射光学系は高出力レーザーの安定化システムとモードクリーナーからなり、安定な光を主干渉計に供給するための、設計、製作、調整などを行っています。
【2】量子雑音の最適化の研究
KAGRAの目標感度を実現するために、輻射圧雑音を低減し、不確定性原理によっ て決まる標準量子限界をうち破るための実証実験を行っています。
【3】防振システムにおけるクラックリング雑音の研究
KAGRAの防振システムの幾何学的縦防振ユニットに存在すると懸念されているクラックリング雑音の評価と低減方法の開発実験を行っています。

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三代木 伸二

MIYOKI Shinji

宇宙実験:KAGRA(かぐら)

image 大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)による重力波観測

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主たる研究は、アインシュタインの相対性理論が予測する、時空の歪みが伝搬する現象「重力波」の直接検出です。神岡での10余年のプロトタイプ実験装置による技術立証実験の成果をもとに、2010年に、KAGRA計画(大型低温重力波望遠 鏡計画)が、最先端研究基盤事業として開始されました。現在多くの国内外の研究者と協力しながら建設中です。さらに、重力波望遠鏡の目指す究極の変位感度は、巨視的な物体としての鏡の位置決定精度が量子力学的な不確定性原理で支配されるレベルであるため、逆に、重力波望遠鏡は、巨視的な物体の量子力学的振る舞いを研究する絶好の装置となりえます。現在、基線長が100mの低温レーザー干渉計(CLIO)を用いた巨視的量子力学観測の研究も計画中です。最近では、情報通信研究機構(NICT)主導のもと、神岡の極めて地面振動の少ない環境を利用し、かつ、外乱に対しても鈍感になるように形状が特別に決定された光固定共振器を使って、世界最高レベルの光周波数標準を作成する実験も行っています。また、東京大学地震研(ERI)の主導のもと、神岡鉱山の地下1000mに設置された地殻歪計による測地学的研究にも参画しています。