田越秀行 (ICRR)
" 重力波天文学・宇宙物理学への挑戦 "
2015年にアメリカのLIGOプロジェクトにより重力波が初観測されました. 発生源がこれまで存在するかどうか観測的には確認されていなかった ブラックホール連星であったこと, そのブラックホールの質量はそれぞれ太陽質量の約30倍とそれまで想定されているものより 重いものであったことなど,いくつもの驚きが重なったものとなりました. つい先日の6月2日には,3回目の重力波イベントGW170104の観測が発表されました. これも31倍と19倍太陽質量の重いブラックホール連星合体からの重力波でした. 今後観測を続けていけば次々とブラックホール連星合体重力波イベントは 観測されていくものと期待されます.
本講演では,私がこれまで関わってきた重力波に関する研究を交えながら, LIGOによる重力波の観測の概要とその意義, 日本のKAGRAの状況と重力波天文学・宇宙物理学の時代において KAGRAが果たしていくべき役割, そして,今後の重力波観測の展望などについてお話しします.