2015年9月14日、アメリカの重力波観測器advanced LIGOは世界で初めて重力波(GW150914)の直接観測に成功した。
日本でも重力波観測器KAGRAがテスト稼働を終え、本格的な観測に向け動き出している。
今はまさに重力波天文学の黎明期に位置している。重力波観測のメインターゲットはコンパクト連星の合体である。
コンパクト連星は重力波放出により軌道が縮まり、いずれ合体する。重力波によるエネルギー放出は弱いため、
合体までのタイムスケールは数億年から宇宙年齢以上と非常に長い。
したがって、宇宙初期にできたコンパクト連星でも現在で合体するものがあるはずである。
そこで我々は宇宙最初の星である初代星に注目し、重力波源として研究を行ってきた。
その結果、初代星起源の連星は典型的に約30太陽質量程度の連星ブラックホールになることを2014年に示した。
一方で従来観測されてきたX線連星内にあるブラックホール候補天体は10太陽質量程度であり、
そのような重いブラックホールはほとんど存在しないだろうと思われていた。
しかし、LIGOによる重力波の初検出はまさに約30太陽質量の重い連星ブラックホールの合体によるものであった。
これにより、宇宙には従来考えられていなかった重い連星ブラックホールが多く存在することが示唆されており、
それらは宇宙初期にできたものかもしれない。
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