高エネルギー天体グループの研究:Introduction (3)

謎は極高エネルギー粒子に限らない

  宇宙線粒子の流量    左の図は108電子ボルトから3×1020電子ボルトまで、12桁を越えるエネルギー範囲に渡る宇宙線粒子の流量(単位時間・単位面積・単位立体角・単位エネルギー幅あたり到来する粒子の個数)を示しています。ところどころに凸凹があるものの、流量はほぼエネルギーの逆三乗に比例していることが見られます。何故そうなのか?それはまだ完全には解明されていません。
 このらの粒子のうち、1015電子ボルト程度までは超新星残骸に伴う衝撃波での加速に起源を持つとするのが定説であり、急速に進展しつつある高エネルギーγ線観測によって証明されると期待されていました。しかし、現在までのγ線観測結果は定説を裏付けず、むしろ謎が深まっているといえます。
 こうして、これまで当然視されていた衝撃波加速過程の見直しを始め、磁気リコネクション、磁気乱流に伴う加速など、別種の加速過程も含めた理論的再検討が必要とされています。こうした研究の現状は、衝撃波加速ばかりでなく多種多彩な加速過程の研究に実績のある我が高エネルギー天体グループにとって、活躍のチャンスであるといえます。
     宇宙線粒子のエネルギー(電子ボルト単位)