高エネルギー天体グループの研究:Introduction (2)

極高エネルギー宇宙線とは?

前ページにも述べたように、宇宙には1020電子ボルトにも達する極高エネルギーの粒子が存在します。これらは、
   ●粒子加速器で人工的に発生できるエネルギーの1億倍に達しています。
   ●もしそんな粒子を1グラム(アボガドロ数個)ぶん集めることができたら、日本の電力消費量の100万年分がまかなえることになります!(この表現は瀧田正人氏による)

何故、宇宙にこんな粒子が存在するのでしょうか?これは宇宙線分野に限らず、宇宙物理学・天体物理学全体にとっての最大の謎の1つです。極高エネルギー粒子の起源についての仮説は大きく次の2つに分類することができます:

  ●未知の素粒子起源仮説 (トップダウン仮説)
  ●極限天体(=高エネルギー天体)における加速起源仮説 (ボトムアップ仮説)

宇宙線研究所では、理論グループがトップダウン仮説、我々の高エネルギー天体グループがボトムアップ仮説の検討を行うとともに、TAグループが米国ユタ州での観測を行い、それら3種類の活動を合わせて総合的に極高エネルギー宇宙線の起源の研究を行っています。