大内 正己

宇宙基礎物理学研究部門

プロフィール

大内 正己

OUCHI, Masami

大内 正己

教授

研究テーマ「宇宙史初期を観測的に探る研究」

 大内研究室は、宇宙史初期を観測的に探る研究を行っている。ビッグバン直後の高温ガスの宇宙がどのようにして現在の銀河宇宙に進化したかを明らかにするのが目標である。私たちは大型望遠鏡を用いた深宇宙探査を行い、遠方銀河を検出し、初期の銀河形成、大規模構造の形成、およびこれと密接に関連する宇宙再電離の物理過程を調べている。
 ビッグバンから始まった138億年の宇宙史の中で最初の約10億年(宇宙背景放射の時代である赤方偏移1100から6までの間)は、観測的にほとんど理解されておらず、宇宙史におけるミッシングピースとなっている。この時代は宇宙の黎明期に当たり、原始ガスから星や銀河が初めて誕生するといった未解明の天体物理現象が数多く存在している。またこの頃に宇宙を満たす水素ガスが再電離されたと考えられているが、再電離の時間進化はもとより、その原因が初代銀河による紫外線だけで説明できるかどうかも分かっていない。
 当研究室が主導した国際研究により発見されたGN-108036銀河のハッブル宇宙望遠鏡(+スピッツァー宇宙望遠鏡)画像。赤方偏移で7.2、ビッグバンから約8億年後の深宇宙像である。
 これらの問題は、宇宙最初の約10億年の時代を観測しない限り解決できないのだが、この時代にある天体は非常に遠いため、見かけ上とても暗く、観測は困難を極める。私たちは、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡、さらにはALMAといった世界最先端の望遠鏡を駆使し、未だ人類が目にしたことのない宇宙に挑戦している。

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当研究室が主導した国際研究により発見されたGN-108036銀河のハッブル宇宙望遠鏡(+スピッツァー宇宙望遠鏡)画像。赤方偏移で7.2、ビッグバンから約8億年後の深宇宙像である。