第18期、第8回原子核専門委員会議事録 日 時:4月22日 13:30 - 17:00 場 所:学術会議6階会議室 出席者:矢崎紘一、高崎史彦、山田作衛、永宮正治、黒川真一、二宮正夫、永井泰樹、 戸塚洋二、小山勝二、木舟正、酒井英行、福島正巳、大島隆義、森義治、 小林誠、土岐博、谷畑勇夫、今井憲一、近藤敬比古 諸報告(共同利用研、各グループ) 協議事項 1、 大学附置研究所、センター施設について 2、 学術会議の今後と物理コミュニティ 3、 来期への申し送り事項 前回議事録を承認した。 1)研究所報告 1−1)基礎物理学研究所 二宮正夫 1.人事  着任(いずれも03年4月1日付)        九後 太一(素粒子論教授、所長)        佐々木 節(宇宙物理学教授)        戸塚 圭介(物性理論助教授)        杉本 茂樹(素粒子論助手)  退官・転任        益川 敏英(03/3/31 退官→ 京都産業大教授)        関本 謙 (02/12/11 辞職→ ルイ・パスツール大教授)        古崎 昭 (03/3/31 転任→ 理化学研究所主任研究員) 2.所員公募    教授1名:統計物理・物性理論 任期 5−10年、公募締切 03/4/30 3.(旧COE)非常勤研究員    03年度は3名の配分があった 4.概算要求     旧館(湯川記念館)改修等 詳細は検討中 5.基研創立50周年記念式典シンポジウム    03年は基研創立50周年にあたり、記念式典、シンポジウム等を企画。    詳細は所内に委員会を設け立案中。 6.国際会議    "Strings 2003"を基研主催で京都国際会議場において03年7月6日−11日に    開催予定。参加者は400名、うち200は海外からを予定。    最終日午後にPublic Lectureを行う。 7.法人化関係    京大では、全学版中期計画・中期目標を作成中。5月以降に部局版を作成の予定。 1−2)宇宙線研究所報告 吉村太彦(代理:福島正己) 人事異動    退官 戸塚洋二教授、大沢昭則助手、岡田淳助手    新任 石原賢治氏(神岡施設助手)    施設長等(暫定任期として、平成16年3月31日まで)     神岡施設長 鈴木教授、 ニュートリノセンター長 梶田教授、      明野観測所長 福島教授、 乗鞍観測所長 瀧田助教授 人事公募   新たに、SDSS助教授とカンガルー教授を公募、締め切りはどちらも7月31日。   既に公募中のもとして、神岡施設助教授1名(5月6日しめきり)。 概算要求と法人化関連   学内では法人法案の国会審議がすぐに進まないことを見越して、6月までの   スケジュールは例年とおりの日程で概算要求ヒアリング等が行われている。   閣議決定後の法案では、学内組織が省令で明記されなくなったが、中期目標の   別表に記載の方向で検討されていると聞いている。しかし、国立学校設置法が   廃止されることに伴い、共同利用の法的根拠がなくなること、さらに省令での   根拠もないことの影響は重大であり、学内共同利用研究所長の間で何らかの   要望書等が必要かどうか検討している。 1−3)高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所報告 小林 誠 ・人事異動 機構長: 菅原寛孝→戸塚洋二 所 長: 山田作衛→小林 誠 副所長: 岩田正義→高崎史彦 物理第一主幹: 高崎史彦→山内正則 物理第二主幹: 小林 誠→近藤敬比古 (物理第三主幹;中村健蔵、物理第四主幹;野村亨は留任) 定年退官(3/31) 土井義城 助教授 小俣和夫 助手 転出(3/31) 秋葉康之 助手(理研へ) 久世正弘 助手(東工大へ) 着任(4/1) 西村淳 助教授(名大より) ・PS共同利用   K2K実験は順調にデータ取得中。4月19日に、小柴先生、   Marburger米国大統領補佐官らを迎えて、K2K−__実験開始記念式を   宇宙線研と共催で実施。 ・KEK-B・BELLE実験   4月9日にピークルミノシティ9.45x10^33/cm^2secを記録した。   現在までに約130/fbのデータを蓄積した。夏のシャットダウンまでに   160/fbのデータを収集し8月のレプトン・フォトン国際会議に臨む予定。 ・法人化関係   大学共同利用機関法人化準備室が設置された。4機構からそれぞれ教授1名   が併任され(KEKからは平山英夫教授)、法人化準備に関する事務を処理する。   法人化準備委員会及びそのもとに各機構ごとの検討委員会が設置され、人選が   行われている。検討委員会は機構を構成する研究所等ごとに評議員、運営協議員   (所外)、教授、各1名とされ、これに国立大学協会から1名を加えることに   なっている(KEKの場合は全体で10名)。検討委員会の役割で(特にKEKを除く   3機構にとって)重要なものは、機構長候補を実質的に決めること。   機構内での準備状況は、目標・計画、人事、技術部、大強度運営体制、広報、   安全管理の各タスクフォースで引き続き検討中。 1−4)理化学研究所報告 谷畑 勇夫 1.一般状況 理研が独立行政法人となる2003年10月1日にむけ、種々の制度の   見直しが行われている。とくに、雇用関係についての議論のなかで、テニアー   制度を立ち上げることをがほぼ確実となっている。 2.人事関連 理事の交代があり、谷畑氏が4月2日より新しく理事に任命された。   それにともなって、原子核物理関係の主任人事が今後進む予定。 4月1日より、   上坪氏がRIビームファクトリー推進本部の本部長代理として就任した。上坪氏は   中央研究所所長代理も同時に務める。   RIビームファクトリーの実験グループリーダには本林氏が 3.概算要求 RIBF建設予算および現加速器施設の15年度の概算要求は文科省で厳しく   査定され、超伝導サイクロトロンからのビームを使った実験は、2006年後期   か2007年はじめということになった。また実験装置などの建設予算は、年表   の中に入らないこととなった。   ただ、加速器施設の建設については最後までのめどが立ったと言って良い。 4.RIBF建設状況   1.3月20日に加速器棟が竣工した。また、コジェネレターシステムが     稼働を始め加速器の運転はここから電気を供給することとなった。   2.実験棟に関しては、建物のための穴掘りがほぼ終了している。 5.今年度のマシンタイムはほぼ順調に消化されている。リニアックからの大強度   重イオンビームが使用可能となり超重元素探査の実験が始まった。すでに、Bkの   新同位元素の発見や世界で二番目の110元素確認などが成功している。また111番   元素のイベントが観測された。 6.RIKEN-BNL共同研究、RIKEN-RAL共同研究は順調に進んでいる。      RIKEN-BNLセンターのステアリングコミティが4月初旬に北京で開催される予定で   あったが、SARSの警告のため延期となった。   7.・昨年年11月にベトナム・ハノイ近郊のハロンベイにおいて理研とハノイ原子    力研究所の共催で「Physics of Unstable Nuclei」国際シンポジウムが開催さ    れた。   ・同時にハノイ理科大学と理研の間で連携大学院が発足し、最初の大学院生の選    考が行われ、3月から理研で研究を始めている。これまでの、理研では、韓国    プサン大学、中国北京大学、台湾交通大学、タイ・カセサート大学との間で    アジア連携大学院を発足させている。   ・2004年10月にクラスター国際会議を奈良で開催予定で準備が進んでいる。 8.最近の成果 ・271[110]を確認したが、これはIUPACにおいて重要な情報として認   識され、110番元素は確立したものと認定された同時に命名され Darmstadtiumと   いう元素名になった。   ・続いて272[111]を確認した。この元素もGSIのみで観測されているもので、    これが他の実験での初めての確認となる。   ・7H核を発見した。 1−5) 東京大学素粒子物理国際研究センター(ICEPP) 駒宮幸男   前回の報告から殆ど変わり無し。 1.OPAL実験からATLAS実験への移行    目下、様々なデータ解析を行ない、実験のまとめの論文を発表している。   現在LEP及びOPAL測定器は解体され、LHCの建設が進められ2007年   にはパイロットランを行なう予定。 2.LHC実験地域データ解析センターR&D    素粒子センターは2004年度には改組し、CERNのLHC(Large Hadron   Collider)での実験を主な目的とする組織となる。特に、日本(及びアジア)の   地域データ解析センターを素粒子センターに構築する。 昨年度末に導入された   地域解析センターパイロットモデル計算機ファーム(現在のところdual-CPU PC   39台)を用い、データチャレンジ1と呼ばれるATLAS実験全体規模でのシミュレー   ションデータ生成・転送テストを進めている。今年度はこれらを更に増強し、   また各種ソフトウエアの導入、LHC実験全体で運用が予定されるLHC Computing   Grid導入に向けての開発研究などを行う計画です。文部科学省は、平成16年度   の概算要求をどのようにするのか明確には決めていない。 3.ICEPPシンポジウム    恒例のICEPPシンポジウムが2月19日〜22日、白馬にて開催された。大学院   生を含む若手研究者の方々約40名が参加。加えて、セニアの講師(加藤光浩氏   String, 土居守氏 宇宙論観測)と素粒子センタースタッフ(7名)が参加。 1−6)核物理研究センター報告 土岐 博 1.人事    センター長として土岐が再任された。二年間の任期。   助手の若狭氏が九大の助教授に転出し、東大助手の民井氏が助教授で6月に着任   する。 助手の慈道氏がイタリアのECT*の研究員として転出した。 2.COE研究員の制度が無くなって一般公募の機関研究員として3名が認められた。    外国人COEのポジションは完全に無くなった。 3.学振科研費は新しくはほとんど認められなかった。    本年度は継続を含めると7課題が走る。 4.概算要求は中期計画に書き込んだものだが、特に早期に実現を求めているのは、   30年間使用している入射器サイクロトロンの更新と偏極He-3ビームの導入で   高分解能のスピン・アイソスピン物理の研究を目指す。 5.法人化後の核物理研究センターの運営体制の経過については前回のこの委員会で   詳しく述べた。研究所の省令化の議論は大学附置の組織研究を2分する可能性が   あったこともあり、かなり真剣に理系の6研究センターの統合による新研究所発   足の議論を行った。省令化が法令から外れたこともあり、この構想の議論は一時   休止することにした。さらに大学が目指している部局を減らす可能性(セッグメ   ント化)も法人化後の予算の仕組みが明らかになっていない事もあり、これまで   の体制のままで法人化することとしている。   今後の予算の流れを注意深く見守りながら、今後に望みたいと考えている。 1−7)大強度陽子加速器計画報告 永宮正治 施設関連の建設状況    南地区安全祈願祭が1月20日(月)に南地区内で行なわれた。南地区に多く   の埋蔵文化財が見つかり、平成15年度中に本格調査が行われることとなった。   埋蔵文化財の調査による遅れを最小(3ヶ月程度)にすべく、工程シナリオを作   っている。 各種委員会  ・運営会議(共同議長:小間篤氏、岡崎俊雄氏)と利用者協議会(委員長:井上信   氏)は若干メンバー交代。  ・国際アドバイザリー委員会(委員長:J. White 氏)   3月10日(月)、11日(火)の2日間、第2回委員会が開催された。副委員   長に藤井保彦氏が選出された。以下の7点の recommendationsが言及されている。   (1) 色々な制約条件があるにせよ、1期2期も含めた全施設が完成することに     目標を置くことが最も重要である。3つの目標(原子核素粒子、物質生命科     学、 核変換)の設定は変える必要はなく、様々な制約の中でいかにこの3つ     の目標に向かって進めていくかは、知恵を絞るべきであろう。   (2) Phase 1 を早期にきちっと完成させること。諸外国ではcontingency という     概念があり、予想しない状況が起きた時の対処が可能であるが、本計画に関     してはこのような概念がないため、supplementary fundingを得る努力をする     べきである。   (3) ニュートリノプログラムをPhase 1Aとみなして早急にスタートさせること。     このことは、この分野における日本のリーダーシップを保つのみならず、     本計画における姿勢を国際社会に明瞭 に示すこととなる。   (4) Linacエネルギーの recovery を迅速に進めること。この点は、J-PARCの     flagshipを保持する意味でも重要であり、妥協せずに進めるべきである。   (5) 外部から見て明瞭かつシンプルな運営体制を構築すること。もっか運営体制     に関する議論が進行していると聞くが、J-PARCは世界の中の施設であり、     世界の研究者にとって分かりやすい組織として欲しい。   (6) 中性子散乱実験に関しては、最良の実験装置を配置できるように、その資金     繰りも含めてプロジェクトチームはリーダーシップを発揮して欲しい。   (7) 核変換実験装置に関しては、その目標を全世界的な観点から構築するように     勧める。  ・加速器テクニカルアドバイザリー委員会(委員長:S. Holmes 氏)   3月7日(金)と3月8日(土)の2日間、第2回委員会が開催された。   リニアックのエネルギー変更に関する 3 GeVリングの性能変化等の技術的な議論   に始まり、多々の議論がなされた。50 GeVリングのハーモニクスを倍にすること   に関しては、ビーム入射時間が延びることによる空間電荷効果に対する議論もあ   った。さらに、リニアックエネルギーの回復シナリオについても議論された。  ・中性子実験装置計画検討委員会(委員長:藤井保彦氏)   2月3日の委員会において18件の Letter of Intent の審査方針を議論。分野   別小委員会を作り審査。審査は4-5月までかかる予定。  ・ミュオン実験施設委員会(委員長:J.-M. Poutissou 氏)   2月7日(金)に第1回会合。  ・原子核素粒子実験施設委員会(委員長:山中卓氏)   数ヶ月に1回開催、当面は LOI の審議が中心。LOIは30件あり、約500名の   実験研究者。うち1/3は日本、1/3は北米、1/4は欧州、残りがアジア圏。   第1回の原子核素粒子実験施設委員会を3月22日(土)に開催。委員長に山中   氏(阪大)、委員長代理に延与氏(理研)、幹事に永江氏(KEK)を選出した。   今後の進め方とニュートリノ振動に関するLOIについて議論した。ニュートリノ実   験の物理の意義を評価しその早期実現を助言することと、ニュートリノ施設につ   いてのテクニカルレビューを求めることが決まった。   次回は6月26日―28日に開催予定。残り全てのLOIのヒアリングを行う。 平成16年度概算要求に関して    平成16年度より後半3年に入るので、16年度よりニュートリノ施設の建設   開始を要求。さらに、400 MeVヘの回復を平成16年度よりスタートできるべく文   部科学省との交渉を開始。東大宇宙線研究所によるニュートリノ2km検出器候   補地のボーリング調査が終了した。そのため、ニュートリノ施設概算要求に関連   し、2km検出器のコストの概算も併せて行うべく、土地の見通しや検出器コス   トの算出を行いつつある。ただし、2km検出器を概算要求に組み入れるかどう   かは、文科省・量研課との話し合いによって決める。 その他    加速器の発注状況:50GeVは全体の60%、3GeVは全体の50%、   リニアック全体の80%契約完了。   3月24,25日の両日、学士会館においてADS国際シンポジウムが開催された。   Richter (米国), Frois (フランス), Zhao (中国), Park (韓国) 氏らを迎え、   ADSの技術的な問題に始まり、国際協力の必要性、アジアネットワークの構築、   などの問題について、熱心な討論が展開された。   J―PARCにおけるADSプログラムの立ち上げの大きな契機ともなった。   運営体制に関する議論を再開する。ただし、プロジェクトチームを中心とした   運営体制タスクの委員長は永宮が勤めるが、KEK法人化準備委員会の下のタス   クフォースの委員長は永宮から松下物構研副所長に移行した。   3月27日(木)、サイエンスフロンティア21の今年度最後の会合。県中性子   ビーム実験装置、放射線の産学官共同研究施設、産業波及の仕組み作り、国際的   な環境整備、等を中心とした「サイエンスフロンティア21構想推進基本計画提   案書」が採択された。最終報告書は近々完成予定。 2)コミュニティ報告 2−1)素粒子論グループ報告(二宮) 1.新議長は加藤光裕氏(東大大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系   (物理)素粒子論研究室: e-mail : kato [at] hep1.c.u-tokyo.ac.jp )   副議長は初田哲男氏(東大大学院理学研究科物理学専攻原子核理論研究室:   e-mail : hatsuda [at] phys.s.u-tokyo.ac.jp ) 2.素粒子論サブグループ 新委員長は加藤光裕氏 2002年度の素粒子メダルは次の二氏に決定し、春の物理学会素粒子論     懇談会において授与された。     木村利栄氏(広大名誉教授):重力外場中でのカイラルアノマリーの研究     牟田泰三氏:QCD理論における繰り込み処方(MS bar scheme)の研究 3.核理論サブグループ   核理論委員会10名2年任期の改選があり、新委員長は初田哲男氏を選出。   H15年の核理論新人論文賞を選考中。   実験を含めた原子核分野として、数年に一回アメリカ物理学会の原子核分野と   合同の学会をハワイで行うよう活動を行っている。 2−2) 高エネルギー物理学研究者会議 駒宮幸男 1:JLC計画    JLCはわが国の高エネルギー実験の次期基幹計画である。2001年4月に   LC推進委員会が発足して推進体制が確立され、加速器の開発、物理・測定器の   検討のほか、サイトの検討、civil engineering の検討、コストの評価、国際的   な推進組織の検討、がなされてきた。 日本(JLC)、ドイツ(TESLA)、米国   (NLC)の3極。大きな予算が通ったところがホストとなる。   JLCはアジア諸国のバックアップがある。ACFAに LC Steering Committeeができた   (10月3日のACFA総会、メルボルン)。南宮氏(韓国)が議長。 LC推進委員会は定期的に開かれ、今までに19回開かれた。JLCの加速器を含 めたプロジェクト全体のプロポーザルに相当する文書(JLC Project Report)をACFA, 高エネルギー委員会,高エネルギー加速器研究機構の三者が中心となって作成した。 2月12日には、ACFA Linear Collider Symposium をエポカル筑波にて開催した。 参加者は約400名。内外の研究者の他に企業や新聞者から多くの参加があった。 詳細は http://conference.kek.jp/acfalc/ を参照。 LCは大きなステップを踏み出した。プロジェクトの国際化にともないJLCというプロ ジェクト名を、国際的に通用するものに変更するため、名前をACFAの研究者に公募中。  一昨年JLCサイト検討会を発足して、サイトの条件(地盤振動、電力、冷却水、  インフラストラクチャー、環境アセスメント、国際研究環境、自治体の対応など)  が検討されまとめられ、この検討会は解散した。LC推進委員会のもとに、新たな  site study group が発足して、実際のサイトの検討を行ない、候補地を12ヶ所  に絞り、報告書が出た。明日の物研連においてLCの発表を行う。 2:JPARC (永宮氏やKEKの報告参照) 3:現行の実験 (KEKからの報告を参照) 4:国際関係 (主にLC)  ILC-TRC (International Linear Collider Technical Review Committee)の  最も基本的な条件 (Ranking 1)をクリアするため、X-bandは SLACでの  Modulator-Klystron-Pulse Compressor 系統の試験をおこなうが、KEKにおいても  試験設備を建設する。両者をどのようにオーガナイズするかの詳細は、  SLACに連休前に加速器専門家の査察団(神谷団長)を送ってから決定する。  インドの Mumbai(BARC、TIFR)、Indore(Centre for Advanced Technologies = CAT)  に4月16日から18日にACFAのLC使節(黒川団長)を送った。CATでは  一日半に渡って Indian Meeting of ACFA LC を開いてくださり、主にインドから  約100名が集まった。この中には Department of Atomic Energy や Department  of Science and Technology などの高官も見えた。 2−3) 原子核談話会報告 今井憲一 1:大学法人化後の大学附置研究所・センターについて    各大学における原子核関連の加速器施設については、大学法人化後の生き残り   をかけてそれぞれの大学で今後のありかたについて検討されている。核物理では   情報交換を行うとともに、とりわけ全国共同利用研である核物理研究センターの   今後のあり方について議論を行ってきた。 30人以上の研究所を省令化するとい   う文部科学省の案がきっかけとなり、大阪大学ではレーザー研などと合併して新   研究所を作る案が学長主導で検討された。    それにたいして核物理委員会は岸本大阪大学学長に核物理研究センターの全国   共同利用体制を堅持するよう要望書を提出した。その後研究所の省令化がなくな   り、合併の件は白紙に戻った。しかし、核物理研究センターをふくめ何らかの形   で研究センターなどの組織を見直すということは大阪大学として検討していくと   予想される。全国共同利用の研究センターとして、さらに世界のCOEとして明   確に役割を果たしていく意味で、中長期の研究の展望をしめす必要がある。また   それが核物理コミュニティのなかできちっと位置づけられることが重要である。   核物理委員会では、将来構想検討ワーキンググループ(岸本委員長)を組織して   検討を行うこととした。 2:学会    物理学会の分科会のもちかたについて、米国との合同学会の経験をふまえて、   改革している。理論・実験から数名の委員と分科世話人との合同のプログラム委   員会を発足させた。委員会でははばひろくかつ長期的な視野でプログラム、特に   シンポジウムや招待講演を企画する。このため委員の任期は少し長くする。   物理学会理事会では領域化をすすめたい意向である。核物理の実験・理論はまと   まって学会運営していくことには、これまでのことから問題はない。しかし分科   名がなくなり領域15とか16とかなることには抵抗感がつよい。 3:現在計画    J-PARCビームライン、実験室、実験装置などの予算が絶対的に不足している。   J-PARC運営体制の問題およびこれと関連して素粒子原子核研究所でのハドロン・   原子核物理推進のための組織のありかたについて議論している。   RIBF予算の削減で実験装置やビームラインなどの予算がなく、さまざまな手段を   考えていく必要にせまられている。 J-PARCとあわせ、科研費特定領域などへの   対応を考えている。 2−4) 宇宙線グループ報告  村木 綏 1) 宇宙線若手奨励賞を決め学会の時受賞式と記念講演を実施した。      浅岡 陽一氏 (BESS実験)、安東 正樹氏(重力波) 2)宇宙三機関統合について要望書を各理事長に送付した。    改組しても、従来の衛星を利用した宇宙線研究が発展させて欲しいと言う内容が    骨子となっている。 3)宇宙線分野の将来計画    大学の法人化後の、宇宙線研究の戦略を練る時期がきた。    将来計画検討会を6月末に実施の予定。 4)次期実行委員会への引き継ぎ事項    a) 法人化後の宇宙線研と宇宙線研究者の関わりについての検討    b) 地方大学活性化の問題    c) OB-OG組織との連携のあり方    d) 宇宙線分野の科研費特定領域の準備       5) その他    現在実行委員会は改選中。     2003年度事務局は宇都宮大学の堀田さんに引き継がれます。 3) 国際関係 3−1)ACFA活動報告 黒川 眞一 1.LCの新しい名前について    JLCという名前はJapaneseを連想するきらいがあり、別の名前を検討すること   になり、昨年末から、検討作業を行ってきた。候補を5個まで絞り込んだ後、   ACFA委員および ACFA LC Steering Committee委員の投票にて、最終的に名前を   決定する。既に投票は済んでおり、まもなく新しい名前が発表される予定である。 2.ACFA Linear Collider Symposiumの開催    ACFA LCプロジェクトのプロポーザルにあたるRoadmap Report完成の機会に、   ACFA,高エネルギー委員会、高エネルギー加速器研究機構の三者の主催で、今年   の2月12日にACFA Linear Collider Symposium をエポカル筑波にて開催した。   参加者は400名弱であり、国内外の研究者の他に企業や報道機関から多くの参加   があった。詳細は http://conference.kek.jp/acfalc/ を参照してほしい。 3.インドへのACFA delegationの派遣    4月16日から18日にかけて、ACFA delegationをインドに派遣した。   Delegationの構成は、日本から5名、韓国から1名、台湾から1名の計7名である。   16日には、Mumbai の BARC と TIFR を訪問し、17日と18日には、Indore の CAT   にて LC symposiumを開いた。このシンポジウムへのインドからの参加者は100名   にのぼった。内訳は、高エネルギー物理学者および加速器研究者に加え、インド   のインダストリからの10名強、DAE(Deaprtment of Atomic Energy)長官などの   official数名である。 4.ACFA LC Steering Committee    昨年10月2日-3日にメルボルンにて開かれたACFA総会において、ACFAのもとに   ACFA LC Steering Committee が結成され, 韓国POSTECHのWon Namkung氏を議長   に選んだ。この委員会は ICFA のもとに結成された ILCSTC(International LC   Steering Committee)およびその下におかれるワーキング・グループに派遣する   委員の選出を行った他、今後、LCのTechnologyを決定するためのwiseperson委員   会のACFA地域からの候補者の選定を行うことになる。 4 審議 4−1)大学附置研究所、センター施設について   高崎委員より文部科学省の特別委員会での議論が紹介された。それによると、    1: 附置研などの存在意義は、国が中期目標に書き込み各大学に示す。    2: 予算は運営交付金と大型設備に対する施設費補助金でサポートする。    3: 大型計画は学術審議会で検討する。   ということである。   吉村委員よりだされている、東京大学宇宙線研究所などからの文部大臣への要望   書案が紹介され、これを参考に議論が行われた。ひとつは、科学行政に科学者が   かかわること(科学行政官)と、研究者の意見を反映するシステムの重要性につ   いて、米国の例などとの比較などの議 論があった。   これにたいして具体的な提言が必要だとの指摘があった。    共同利用研の存続と予算の問題については、とりあえず6年間は今までどうり   ということのようだが、長期的な展望がなく大型計画をふくむ組織研究・共同利   用研究のサポート体制が見えない、といった議論があり、国立大学法人化にあた   って、全国共同利用の大学附置研究所の存続と共同利用研究の継続を保証するシ   ステムをつくることを求める要望書をだすことを物理研究連絡委員会に提案する   こととした。 4−2) 学術会議の今後と物理コミュニティ    学術会議のあり方についてはほぼ決着した。今後下部組織(研連、専門委員会)   のあり方を検討する必要がある。との佐藤委員長からの手紙が紹介された。   大型計画や分野の方向性を議論し提言する場としての役割がある。政府からの諮   問に答え、またボトムアップで研究者の意見をくみ上げる研究者組織が必要であ   る。などの意見がだされた。この件はひきつづき来期の委員会で検討するよう申   し送り事項とする。 4−3) 来期への申し送り事項 a)JーPARCの運営体制とLC計画 b)学術会議のあり方と物理 c)法人化における大学附置共同利用研のあり方、   共同利用体制をとっていない研究所・センター・施設における共同研究のあり方 d)65歳定年と研究の進め方