******************< 原子核専門委員会議事録 >************************ 日時 : 2月20日 至 : 学術会議 1)研究所報告 1−1)基研報告(報告者:二宮正夫) 人事 ・益川現所長が2003年3月末日で定年退官することに伴う、   次期所長は九後太一京大理学研究科教授に決定した(任期2年) ・選考決定   宇宙物理学教授:佐々木節阪大理学研究科教  創立50周年シンポジウムを企画中 1−2)核専委への宇宙線研究所報告(報告者:吉村太彦) ・人事異動   平成14年12月31日付けで、手嶋助教授が辞職。(マックスプランク研究所     に赴任)   2月1日付けで、中畑氏が教授昇任、内山隆氏が重力波助手に着任。   (3月1日着任予定のニュートリノセンター助手、19日教授会承認後の、    神岡施設助手人事選考結果、研究員人事選考結果) ・人事公募   神岡施設助教授1名を5月6日しめきりで公募中。 ・神岡全面復旧予算の計上   4年次の初年度分がほぼ満額認められた。 ○法人化関連   部局の中期目標・中期計画参考資料(認可対象外だが、文科省に提出される)案  を東大本部に提出した。1月29日に部局ヒアリングがあった。神岡施設の拡充、  新TA計画などについて説明した。昨年来、所内で今後のTA,施設改編などで公開  ヒアリングを行いつつ、所内委員会で検討を進めてきたが、2月1日に、「法人化  後の宇宙線研究所の研究プロジェクトについて」と題する、シンポジウムをオープ  ンな形で主催した。所内案とともに、所外からもスペース関連の計画の紹介があっ  た。今後も、所外と協力してシンポジウム等を行う予定である。 JHF-神岡ニュートリノ実験に関する覚書   KEK機構長との間で覚書を交わした。K2K実験と同様な覚書だが、新たに中間距離  検出器に関する項目が追加された。 1−3)大強度陽子加速器プロジェクト J-PARC (報告者:永宮正治) 1.平成15年度概算要求   平成15年度予算は、14年度補正予算も足せば、ほぼ要求額通りの交付となる  見込み。  原研では中性子利用研究センターの新設が認可される。KEKでは大強度陽子加速器  計画推進部に2名の教授純増+1名の教授格上振替が認可。 2.建設状況    省略 3.各種委員会および関連事項 1) 国際アドバイザリー委員会(委員長:J. White 氏):戸塚氏の後任として   鈴木厚人東北大理学部長、更にドイツGSIの Walter Henning 所長を加える。   次回の会合は3月10日(月)--11日(火)の2日間。 2) 利用者協議会(委員長:井上信氏):最近の委員会では、施設完成後の運営体制   更に関する議論を展開。KEK・原研間の問題も重要であるが、産業界等をいか   に組み入れるかといった検討もなされるべきではないか、といった指摘があった。     中略 5) 原子核素粒子実験施設委員会(委員長:未定):KEKの素粒子原子核研究所運   営協議会で大半の委員を推薦し、その後、利用者協議会にて承認。原子核素粒子   実験施設での実験提案に関する Letter of Intentは1月10日に締め切られ、   30件の応募があったが、その議論が第一番目の仕事。 4.施設完成後の運営体制に関する最近の検討 1) 利用者協議会の要請により、プロジェクトチームを中心とした運営体制タスクフ   ォースを設置。これまで10回の会合。さらに、KEK内部では、独法化準備委   員会においても議論。   独法化準備委員会の下に運営体制タスクフォースが結成された。これまで11回   の会合。上記二つのタスクフォースの合同会議も10--12月に3回開催。 2) KEK機構長や両所長がKEK各運営協議会に審議を依頼(8/12と12/6)。   一連の運営協議会(9/20,11/8,12/24 物構研運協、9/25,11/27 素核研運協、   9/27,11/26 加共協議会、9/30,12/25 機構運協)で議論された。 3) 更に、12月27日の両機関運営会議でも議論され、今後、継続して審議される   こととなった。 4) 議論の内容は、運転・管理及び研究に必要な概略の予算・人員、効率的かつ柔軟   な運転管理・運営体制の基本的な考え方、共同利用体制(研究方向の決定や共同   利用の方法)の在り方、国際的にも競争できる研究体制の基本的な考え方、組織   の位置付け、 意思決定のあり方、等。さらに、具体的な人員や経費も議論。 5) 現在、必ずしも合意が得られていないので、引き続き議論を継続。 1−4)大阪大学核物理研究センター(報告者:畑中) 1.人事   若狭助手が九州大学理学部の助教授として転出する。その後任の人事を公募中で   ある。慈道助手がイタリアのECT*に研究員として転出する。機関研究員・RCNP研   究員の募集を行っている。これまでの外国人COEのポジションは完全に無くなった。 2.国際会議   昨年の9月30日から10月4日の期間、素粒子原子核国際会議を大阪の国際交   流会館で開催した。全体で501人の参加者があった。日本からも多くの参加が   あり盛況な会議であった。協力を心から感謝しています。 3.仁科賞   RCNPの永井教授が中性子による天体核反応の研究が評価されて仁科賞を受賞した。 4.法人化に際してのRCNPをめぐる動き    中略   RCNPは全国共同利用でもあり、大型装置を駆使して研究していると言うことで、   存続は大丈夫と思えます。しかし、年間の1センターにしては大きな予算を恒常   的に確保できるかどうかは心配といえます。そんな状況の中、大阪大学執行部は、   独立法人化に際して学内の大型施設を有する研究センターを中心として統合・再   編を提案しています。これは、大学としての特定運営交付金を確保するための組   織論上の判断です。 対象となっている部局は核物理研究センター、レーザー核   融合研究センター、超高圧電子顕微鏡センター、極限科学研究センター、超電導   フォトニクス研究センター、太陽エネルギー化学研究センターの6センターです。   量子科学研究所(仮称)を創設し全国共同利用研究所として省令化を目指していま   す。委員長と幹事が核物理委員会からの大阪大学総長に対する「要望書」を提出   しました。 総長から大学としての判断の説明がありました。   大阪大学では研究所センターワーキンググループが設置され、昨年春から頻繁に   会合が持たれています。大学当局の方針として、研究センター群は今のところは   省令化を目指し研究所として運営し、アイソトープや動物などのセンターは支援   センターとしてまとめ て運営するという方針を打ち出しています。   大学執行部の提案に対し、関連する6センターの方向が完全にまとまっている訳   ではなく、多くの疑問、意見が出されています。しかし、中期計画等の関係から   迅速な対応が求められているのが実情です。その為に量子科学研究所(仮称)の   理念・内容などを作る為の全研究センターの教授と関係する研究者が出席する議   論の場及び、その中でのワーキンググループ を作って現在検討しています。   RCNPとしては絶対譲れない線として全国共同利用とこれまでの運営委員会を中心   として、全国の声を反映させながら運営する体制を堅持できることと考えていま   す。皆様の知恵と理解をよろしくお願いします。(文責:土岐) 1−5)東京大学素粒子物理国際研究センター(ICEPP)(報告者:駒宮幸男) (1)OPAL実験からATLAS実験への移行    2000年を持って、LEP-II のデータ取得は終了した。以後3年間は様々   なデータ解析を行ない、実験のまとめの論文を発表していく。 現在LEP及び   OPAL測定器は解体され、LHCの建設が進められ2007年にはパイロット   ランを行なう予定。 (2)LHC実験地域データ解析センター R&D   素粒子センターは2004年度には改組し、CERNのLHC(Large Hadron   Collider)での実験を主な目的とする組織となる。特に、日本(及びアジア)の   地域データ解析センターを素粒子センターに構築する。 中略 2)コミュニティー報告 2−1)高エネルギー物理学研究者会議 (報告者:駒宮幸男) (1)JLC計画   JLCはわが国の高エネルギー実験の次期基幹計画である。昨年4月にLC推進   委員会が発足して推進体制が確立され、加速器の開発、物理・測定器の検討のほ   か、サイトの検討、civil engineering の検討、コストの評価、国際的な推進組   織の検討がなされてきた。日本(JLC)、ドイツ(TESLA)、米国(NLC)の3極。   大きな予算が通ったところがホストとなる。JLCはアジア諸国のバックアップが   ある。ACFAに LC Steering Committee ができた(10月3日のACFA総会、メル   ボルン)。南宮氏(韓国)が議長。   LC推進委員会は定期的に開かれ、今までに16回開かれた。JLCの加速器を   含めたプロジェクト全体のプロポーザルに相当する文書を作成するべきであると   いう強い意見が高エネルギーコミュニティーから出され JLC Roadmap Report を   ほぼ完成し、2月12日には、 ACFA Linear Collider Symposium をエポカル筑   波にて開催した。参加者は主催者側発表 400名。内外の研究者の他に企業や新聞   社から多くの参加があった。詳細は http://conference.kek.jp/acfalc/ を参照。   LCは大きなステップを踏み出した。プロジェクトの国際化にともない JLC と   いうプロジェクト名を、国際的に通用するものに変更するため、名前をACFAの研   究者に公募中。 2−2)核談報告 (報告者:今井憲一) 1、素粒子原子核研究所運営協議員の推薦を行なった。 2、独立法人化にともなう大阪大学核物理研究センターとレーザー研などとの組織再   編について最近は議論を集中している。再編にあたっては全国共同利用研として   のこれまでの運営のしかたを堅持することや基礎研究を目的にかかげることなど、   核物理委員会として大阪大学総長に要望した。   核物理センターの今後とからめて核物理の将来構想を検討する Working groupを   若手を中心に発足させることにした。 3、独立法人化にともなう各大学の加速器施設の動きなどについて情報交換を行なっ   ている。 4、JーPARCの運営体制についてひきつづき議論している。 2-3) 宇宙線グループ報告(報告者 村木 綏) 1.日本の宇宙科学の分野では、今まで日本のロケットの搭載量に強い制限があり、   比較的軽量の測定器で業績の上げられるX線衛星が研究の主流となってきた。 しかし日本のロケットもトンクラスの大型衛星を上げられるようになった。   そのため宇宙線のテーマを衛星を使って研究することが可能になった。最近、   天文関係者は ISASを、宇宙線関係者は NASDAを共同利用する体制が整いつつあ   ったが、その矢先に三宇宙関係機関統合ということで研究者間で混乱を生じて   いる。我々宇宙線グループは宇宙科学研究所の理学委員会にも代表を送り宇宙線   研究のための科学衛星を上げるように理学委員会にも提案をしてゆく必要がある   と考えている。 2.宇宙線研究所に対して、我々宇宙線グループは引き続き宇宙線将来計画のTA計画   の実現を期待している。しかしそれとは別に中型の国際共同研究が宇宙線研究に   は多々あり、ボリビアやチベットといった高度4000m以上の高山を利用した観測   や、オーストラリア砂漠での観測研究がある。 宇宙線研究所に対して、これら   の研究を coordination するセンターを作って共同利用のサービスをしてもらい   たいと考えている。 このセンターは同時に明野観測所や乗鞍観測所の維持と運   転も担当してもらうことを期待している。 3.その他: CRC結成時には考えれなかった人間の寿命の増大に鑑み、CRC実   行委員会はここで若手・中堅主体の実行委員会と熟練研究者の集団であるOB・OG   会の活動を分け、線引きした方が今後の研究グループの長期的発展にとってふさ   わしいと考えた。そのためCRC実行委員会の実行委員は65歳以下とする会則   変更と、今まで一研究機関から2名までと制限されていた代表者数を3名までと   改訂する会則変更案をCRC総会にかけた。86%の賛成多数で会則の変更案は   CRC総会を通過した。現実行委員会は、CRC実行委員は責任を持って研究計   画を最後まで遂行できる人が実行委員になるべきであると考えている。 4.また宇宙線将来計画シンポジウムを、5月末に宇宙線研で予定している。