************< 第18期第6回原子核専門委員会議事録案 ver 11-9 >************ 日 時:10月29日 13:30〜17:00 場 所:学術会議6階会議室 出席者:佐藤文隆、石原正泰、今井憲一、大島隆義、木舟 正、小林 誠、小山勝二、     駒宮幸男、武田 廣、高崎史彦、谷畑勇夫、土岐 博、永宮正治、二宮正夫、     村木 綏、矢崎紘一、吉村太彦、山田作衛     木村嘉孝(オブザーバー) *前回議事録承認 *諸報告(共同利用研、各グループ) *協議事項   1. ノーベル賞シンポジウム   2. 国立大附置研のあり方   3. 学術会議のあり方   4. 科研費について   5. その他 1)共同利用研報告 基研報告 (二宮) *人事  次の3件を公募中    宇宙物理学 教授 : 任期 5〜10年    物性理論 助教授 : 任期 5〜10年    素粒子論 助手 : 任期 3〜6年  締切はいづれも10月31日 *益川現所長が来年3月定年退官のため、1月に4月からの新所長を選出する。 *リーダーシップ経費 : ほぼ例年通りの配分 *annual reportのweb版を基研ホームページからアクセスできるようにした。 *研究部員会議の下に将来計画ワーキンググループが発足した(所長の諮問機関)。 *研究部員と運営委員の任期満了に伴う選挙を行う。 *2003年は基研50周年にあたり、この機会に行事を行う予定。ワーキンググループで   検討中。 *「Strings 2003」国際会議(基研主催)を2003年7月6日〜11日、京都国際会議場で   開催。Witten, Gross, Hawking等海外研究者200名、国内研究者200名が参加予定。 *大学付置の全国共同利用研として基研は必要不可欠である、とのアピールを、素・   核・宇・物性の理論グループから共同で出す。海外の著名研究者からのサポート   メールも頂く予定。 宇宙線研究所報告(吉村 太彦) *人事異動   戸塚神岡施設長がKEK教授に転出。宇宙線研究所教授を併任。後任施設長は   鈴木洋一郎教授。福田助手(神岡施設)が11月1日付けで宮城教育大学へ転出予定。 *人事公募   神岡施設教授、ニュートリノセンター助手、重力波グループ助手の3ポスト人事   を10月末しめきりで公募中。 *スーパー神岡事故関連報告   部分復旧作業が9月に完了。注水が10月3日より開始。 *法人化関連   東大内部に設けられた、組織・運営機構、財務・会計、人事・業務・評価の3検討   委員会が審議報告を取りまとめて解散した。新たに、法人化準備委員会とワーキン   ググループが設置された。   部局の中期目標・中期計画第1次案を本部に7月末、提出した。今後、本部と部局   の折衝を経て東大の中期計画を策定する予定。研究所の将来計画は7月末時点の暫   定案を書いた。所内では、法人化検討委員会(中期目標・中期計画案作成等)、施   設等改編検討委員会、中期整備計画検討委員会(中期計画に盛り込むべき大中の研   究所将来計画の検討)の3委員会を立ち上げて、検討を進めている。   特に、TA計画の推進が困難な状況下で今後どのように対処すべきかに関連して、所   内外の研究会、ヒアリングを行いつつ、早急に検討する。 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所関連報告(山田 作衛)  1.概算要求   KEKB以外は幾分の削減が見込まれる。   大強度陽子加速器計画については1期分の3年目を予定にしたがって盛り込んだ。   さらに、2期計画とされていたニュートリノ実験を新たに要求。(ただし文科省か   らは出なかった模様) 2.素核研人事移動(前回以降)  ・橋本省二助教授 着任(6/16)  ・藤井恵介助教授 昇任(6/16)  ・樋口岳雄助手(6/16) 近藤温子助手(7/16) 高橋仁助手(8/1) 岡田宣親助手(9/1)着任  ・石橋延幸助教授 筑波大教授(9/1)   3.PS共同利用   K2Kが今期は休止したので、静止標的の実験を実施した。   PSPAC(7月)にて、新たにハイパー核の3実験が認められた。それを含めこ   の秋には5実験(HEではK0L稀崩壊)が行われる。SKの応急修理完了と注水   再開によって、12月後半からK2Kのためのビーム取りだしを開始する予定。 4.KEKB・BELLE実験  ・夏季の改造を終えてKEKBは9月から運転開始。立ち上げは概ね順調で、先週に   は夏前の状態に復帰した。luminosityは順調に増大し、最高値を7.47x10^33/cm2sec   に更新。改造の効果があったものと見られるので、新たな記録を期待している。   Belleグループは約100/fbのデータを集積。      最高の1日あたり積分値は399/pb。1月当最高値は8.78/fb。   夏の国際会議にてCPのデータを更新したほか、多数の発表。 5.日米科学協力事業について、6月にFNALで合同会議が開かれ、今年度の計画を決   定。今後、予算的にはますます厳しくなる恐れ。 6.ATLAS実験の準備の一環で、超伝導ソレノイドの冷却系をダミー負荷を用いて試   験し、成功した。 7.現在研究計画委員会が統合計画での素粒子原子核研究の進め方について報告書を作成   中。要約は既に届いている。検討されている研究の重要性と緊急性について指摘。 8.機構関連  *次期機構長として戸塚洋二宇宙線研教授が、素核研所長として小林誠教授が、物構   研所長として小間篤東大副学長が推薦された。  *今後各研究所、施設等の運協で副所長、施設長、総主幹、主幹の人事が進められる  *評議会メンバーによる外部評価が行われ、現在報告書が取りまとめられている。  *大学共同利用機関法人化に際して、文科省科学技術学術審議会の大学共同利用機関   特別委員会の中間報告が夏に出され、4機構にまとめる案が示された。KEKは今   の構成のまま法人化するとされている。(他は、人間分化研究機構、自然科学研究   機構、複合領域研究機構(すべて仮称)としてまとまる。)機構の中の研究所、施   設等が省令に書かれるかどうかは、目下法制局との調整中。将来の4機構の形態、   運営等の情報交換のため(場合によっては形のすり合わせのため)連絡会と、さら   にその下に人事に関する事項、および中期目標・計画に関する事項についてのWG   が作られている。  *法人化に向けて機構内に準備委員会が発足。現在、組織の詳細、中期目標、中期計   画等の検討を進めている。4つのTFが作られ(人事・中期目標・中期計画、技術   部、統合計画完成後の運営形態、低温関連グループのあり方)、それぞれ検討を続   けている。準備委員会での主要な検討テーマは、以下の通り。    * 6年分の中期計画に将来計画をどう盛り込むか。    * 大強度陽子加速器計画の完成後の運営形態をどうするか。     (これについては各運協に検討を依頼)    * 任期、停年をどうするか。技術者組織をどうするか。  *素核研に関しては、法人化に際して研究系の再編も検討する。(例えば評価委員会   に指摘された理論に特化した系の設置や、大強度陽子加速器計画の推進に伴う再編   等を考慮。)  *・大学法人化に伴い、総研大と基盤研究所の関係や、5年制一貫教育について議論さ   れている。ことに、研究科を法人4機構の構成と合致させるかどうか等。 核物理研究センター報告(土岐 博) *人事関係   新しい人事は無い。12月に次期のセンター長の選出の運営委員会を行う。 *国際会議   9月30日〜10月4日の素粒子原子核国際会議が無事終了した。参加国は34で参加者は   501人であった。トーフト教授の市民講演も行った。 *法人化   大阪大学では研究所等の法人化での運営についてのワーキングがこの4月から立ち   上がっている。学術機関課案が6月に出てからいくつかの統合の議論もあったが、   慎重論も多く出され、最終的には核物理研究センターは全国共同利用の研究センタ   ー(研究所)としての省令化を目指すこととした。   大学全体としては、大きな研究所はそのままでの省令化を目指すが、小さいセンタ   ーは全体をまとめて学内研究機構のような組織を作り上げることとした。出来るな   らばその組織の省令化を目指すこととした。   部局としての中間目標・中間計画の大学内の第一次案を提出した。大型研究経費と   しては、現在は30年の古さになっている入射サイクロトロンの更新を第一に挙げ、   当面の研究計画としてはサイクロトロンでの原子核物理と、SPring8での   光を使ったクォーク核物理の発展を目ざすとした。 *共同研究   サイクロトロン、スプリング8の光の共同研究は順調に進んでいる。ただ、入射サ   イクロトロンの老朽化による水漏れなどの問題がたびたび起こっており、水冷を一   部とめた形での運転を行っている。SX5の利用方法を少し変更した。 大強度陽子加速器プロジェクト報告(永宮正治) 1.平成15年度概算要求   平成15年度概算要求では、1期分に関して、原研分は要求額の約2/3、KEK分は   ぼぼ要求額通りの予算が文部科学省より財務省に提出される見込み。 2.愛称   J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex) と決定。 3.建設状況   -- 機器関連:KEKでは、50GeV関連の電磁石、電源、等の入札完了。ほぼ半分以   上の機器の契約完了。原研では、リニアック加速器の製作(第1期分、中エネルギー   部加速空洞、クライストロン、クライストロン電源など)の契約完了。3GeVの契約   もいよいよ開始。   -- 建家関連:リニアック棟新築工事、リニアック棟+3GeVシンクロトロン棟敷地造   成外構工事、等の工事契約完了。3GeVシンクロトロン棟の実施設計は進行中、今年   度発注予定。物質・生命科学実験施設も実施設計中。50GeVシンクロトロンは今年度   中に着工。中央制御棟や66kV特高変電所は最終設計段階。6月6日に安全祈願祭が行   われ、リニアック棟の建設が始まった。南地区においては、地下水位の観測等を通   じ、工事が周辺の井戸等に与える影響についてKEK・原研・産業技術総合研究所   (旧地質調査所)と共同研究を進めている。宿地区での井戸調査の交渉も進行中。   仮設橋、仮設(土砂運搬)道路、土砂置--場、等:仮設橋工事が始まった。土砂置   場としてサイクル機構構内用地(射爆場跡地約8.5ha)借用の内諾を得、そこに至る   東電構内通過ルートについても了解を得た。八間道路より北側の土地において、か   なりの量の松が伐採された。これに対し、地元や村より、今後の伐採に関しては十   分な打ち合わせの後実施するようにとの注意を喚起された。その後、地元や村との   交渉が何度か行われ南地区の残存森林率を54%から57%に増やす努力をしたことで   今後の森林伐採に関する見通しを得た。南地区の工事開始に関する申請は、すでに   県の森林審議会(8/21)にかけられ、保安林伐採と林地開発の許可が得られた。   -- 50GeVシンクロトロン建設に関わる茨城県との安全協定に基づく新増設計画書が   提出された。9月12日に県の原子力安全対策委員会が開催され、これに対する認可が   おりた。   -- 八間道路への住民の通行は閉ざされた。   -- 9月17日に南地区青塚付近での埋蔵文化財の試掘が行われたが何も発見されなか   った。 4.各種委員会および関連事項   -- 利用者協議会:第2回委員会を6月11日に開催。運営体制に関して、プロジェク   トチームに具体案を検討するグループを設置するように要請。これを受けて、プロ   ジェクトチームとしての運営体制タスクフォースが結成された。   -- 中性子実験装置計画検討委員会:第2回委員会が7月24日に開催され、特に   Letter of Intent の募集の仕方に関して議論があった。中性子実験装置設置に関す   る LoIは今後毎年募集されることとなり、今年は9月13日付で全世界的にコールし、   12月6日締め切り。   -- 加速器のTechnical Design Report (TDR) が完成。加速器テクニカルアドバイザ   リー委員会 (A-TAC) が国際アドバイザリー委員会(IAC)の下に設置され、このTDR   を資料として5月21-23日にA-TACが議論。報告書はすでに提出されている。委員長は   S. Holmes (FNAL)。検討課題のなかで、3 GeVリングのラティス構造や、3 GeV電磁   石コイルにおけるストランド線の採用、について疑義が提出された。これらについ   ては、その後検討はしたが、現状が妥当であるとの結論に達した。   -- 中性子源テクニカルアドバイザリー委員会 (N-TAC) をIACの下に設置することを   運営会議に提案し、了承された。10月28〜30日に第1回を開催。委員長は G. Bauer   (ESS)。   -- 原子核素粒子実験施設での実験提案に関するLetter of Intent募集の文案が示さ   れ、既にプロジェクトディレクター名で発送された。これを審議する原子核素粒子   実験施設委員会は、検討中。   -- ミュオン科学実験施設委員会をプロジェクトディレクターの下に設置することが   、9月6日の運営会議で承認された。さらに、9月20日の物構研運営協議会でも協議さ   れ承認された。   -- 第1回放射線等安全検討委員会が10月3日に開催され、委員長に濱田氏が選出され   た。インターロックと中性子用水銀標的に関して専門部会を立ち上げるという提案   がなされた。 5.施設完成後の運営体制に関する最近の検討   -- プロジェクトチームを中心に運営体制タスクフォースを設置。 ここでは、運転   ・管理及び研究に必要な概略の予算・人員、効率的かつ柔軟な運転管理・運営体制   の基本的な考え方、共同利用体制(研究方向の決定や共同利用の方法)の在り方、   国際的にも競争できる研究体制の基本的な考え方、組織の位置付け、意思決定のあ   り方、等に関して議論。   -- 高エネ機構内部で、本計画に関連する素核研・物構研・加速器・共通の主幹やセ   ンター長が集まり、上記の3点の他、東海分室の在り方に関する議論を開始。   -- 高エネ機構法人化準備委員会においても議論。ここでは、この委員会の下にタス   クフォースを作ることを決定。   -- 機構長が各運営協議会に審議を依頼(8/12)。これを受け、KEKにおける一連   の運営協議会(9/20 物構研運協、9/25 素核研運協、9/27 加共協議会、9/30 機構   運協)において議論された。ここでは、プロジェクトチームを中心とした運営体制   タスクフォースの議論やKEK独法化準備委員会の下のタスクフォースの議論も披   露され、議論された。   -- 今後は、より具体的な人員や経費を議論すると共に、中性子分野をモデルケース   として集中的に議論することとなった。 6.その他   -- 7月末に東海研所長に田中俊氏が、副所長に岩本氏が就任し、さらに、8月末に原   研理事長に齋藤氏が就任し、研究担当の副理事長に岡崎氏が就任。これに伴い、9月   より、運営会議の共同議長は、木村(KEK)・岡崎(原研)両氏に変更。   -- 着工式:10月28日。有馬朗人氏の講演会。   -- 東海研とKEK間の専用回線によるネットワークが10月より運用開始となった。   -- 加速器のコストやスペックに関し、文部科学省とも議論。 7.研究会、等   -- 日本物理学会:9月13日に本計画の核変換に関連するシンポジウム。   -- 2nd International Workshop on Nuclear and Particle Physics at 50-GeV PS   (NP02):9月27-29日(京都大学)。約200名の参加。 理化学研究所 報告(谷畑 勇夫) 1.一般状況   理研が独立行政法人となるのは2003年10月からとなった。種々の準備が進んでいる   。予算が補助金と交付金に分かれるが、その線引きについての議論が重要課題とな   っている。 2.人事関連   基礎科学特別研究員の募集および選考が行われ、2003年度からの基礎科学特別研究   が内定した。また現在ジュニアー・リサーチ・アソシエイトの募集が行われている 3.概算要求   RIBF建設予算および現加速器施設の15年度の概算要求は文科省で厳しく査定され超   伝導サイクロトロンからのビームを使った実験は、2006年後期か2007年はじめとい   うことになっている。現在財務省との折衝が進んでいるが、さらに減額の場合には   、現施設の運転にも影響が出ることが懸念される。 4.RIBF建設状況   (1) サイクロトロンおよびRIビーム分離器を収容する建物の建設は、順調に進んで     おり、予定どおり本年末に完成予定である。来年度早々から磁石などの搬入が     開始される。   (2) 実験棟に関しては、建設が開始され、建物のための穴掘りが進んでいる。 5.今年度のマシンタイムはほぼ順調に消化されている。リニアックからの大強度重イ   オンビームが使用可能となり超重元素探査の実験が始まった。すでに、Bkの新同位   元素の発見や世界で二番目の110元素確認などが成功している。 6.RIKEN-BNL共同研究は順調に進んでいる。来月にInternational Advisory Committee   が開催される予定である。 7.*Nuclei in Cosmos VIIの国際会議を、CNS,NAOと共催で開催した。予定通りの200    人以上の出席があり、活発な議論が交わされた。   *本年11月にベトナム・ハノイにおいて理研とハノイ原子力研究所の共催で    「Physics of Unstable Nuclei」国際シンポジウムが開催される予定である。   *同時にハノイ工科大学と理研の間で連携大学院が発足する運びとなった。これま    での、理研では、韓国プサン大学、中国北京大学、台湾交通大学、タイ・カセサ    ート大学との間でアジア連携大学院を発足させている。   *2004年10月にクラスター国際会議を奈良で開催予定で、組織委員会および国際助    言委員会が組織された。(委員長は池田清美、Co-chairとして堀内昶、谷畑勇夫    があたる。) 8.最近の成果   *234Bkを発見した。   *271[110]を確認した。これはGSIに続いて二番目の観測であり、[110]が確立した    ことになる。   *34Ne, 37Na, 43Siを発見した。これらは、それぞれのアイソトープの中でもっと    も中性子過剰なものである。また同時に、33Ne, 25Na, 39Mgが原子核としてどく    縛状態を作らないという強い証拠をえた。34Neは中性子ドリップラインに位置す    ると考えられる。   *5H核を発見した。   *RIビームファクトリーで使用可能な一時標的(数メガワット/cm3、トータル熱量    数100kW)の開発が完了した。   *元素合成ビデオが好評。日本語版、英語版に続きドイツ語に翻訳される予定。 東京大学素粒子物理国際研究センター(ICEPP)} (駒宮幸男) 1.OPAL実験からATLAS実験への移行    2000年を持って、LEP-IIのデータ取得は終了した。以後3年間は様々なデータ    解析を行ない、実験のまとめの論文を発表していく。現在LEP及びOPAL測    定器は解体され、LHCの建設が進められ2007年にはパイロットランを行なう予    定。 2.LHC実験地域データ解析センター R&D    素粒子センターは2004年度には改組し、CERNのLHC(Large Hadron Collide    r)での実験を主な目的とする組織となる。特に、日本(及びアジア)の地域デー    タ解析センターを素粒子センターに構築する。昨年度末に導入された地域解析セ    ンターパイロットモデル計算機ファーム(現在のところdual-CPU PC 39台)を用い    、データチャレンジ1と呼ばれるATLAS実験全体規模でのシミュレーションデータ    生成・転送テストを進めています。今年度はこれらを更に増強し、また各種ソフ    トウエアの導入、LHC実験全体で運用が予定される LHC Computing Grid導入に    向けての開発研究などを行う計画です。 3.国際評価委員会    2002年4月2日に国際評価委員会を開いた。評価委員はドイツのマックスプランク    研究所長 Siegfried Bethke 氏、ハワイ大学教授 Steve Olsen 氏、大阪大学名誉    教授 長島順清氏、KEK素核研副所長 岩田正義氏、奈良産業大学教授 政池明氏    。ICEPPは2003年度末で時限となるが、これまでのLEP-II実験での研究活動に対し    高い評価が与えられ、時限後もICEPPを継続し、LHC実験を主要プロジェクトとし    て推進するよう勧告を受けた。評価報告はICEPPホームページ http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/news/review(sign-in).doc.pdf    で見ることができる。 4.公開講座    一般向けの講演会を10月19日(土)東大安田講堂にて開催した。小柴昌俊名誉教授    の挨拶ののち、「物質と時空の謎を探る(駒宮幸男氏)」と「宇宙の創成と未来 --    宇宙論の新展開(佐藤勝彦氏)」の講演があり、参加者は700人以上。講演会の詳細    はICEPP ホームページ http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/info/koukaikouen2002.html    に掲載。近く、講演の内容をホームページで公開する。 5.ICEPPシンポジウム    恒例のICEPPシンポジウムを来年2月19日〜22日、白馬にて開催予定。特に大学院    生を含む若手研究者の方々の参加を希望。応募案内は近い内にホームページに掲    載。 グループ報告 核談からの報告(今井憲一) 1.独立法人化にともなう附置研究所、センターの問題   原子核分野は、東北大(核理研、CYRIC)、東大CNS、筑波大タンデム、阪大(RCNP   、理原子核施設)、など30人以下の大学附置研が多く、法人化後のありかたをそれ   ぞれ模索している。予算の確保が問題だが、大学により執行部の考え方や対応の早   さなど違いがある。核物理委員会ではそれらの情報交換を行うとともに、対応を検   討している。特に阪大RCNPは原子核分野の重要な共同利用研であり、コミュニティ   の意見を反映しながら慎重に対処することを申し合わせている。 2.原子力研究所と核燃料サイクル機構の統合について、核物理委員会として、新組織   において原子核物理を含む基礎科学研究が促進され、大学等の研究者により拡かれ   たものになることを訴える要望書を文部科学省に提出した。 3.現在の核物理の展望と研究の方向についてまとめた核物理白書を作ることとした。 4.統合計画特に実験施設建設と大学の関係、核物理センターの将来計画、理研RIファ   クトリー建設が、核物理の重要課題として議論されている。 5.PANIC国際会議(大阪) 9月30日〜10月4日 約500名の参加。    次回は 2005年 Santa Fe 高エネルギー物理学研究者会議(駒宮幸男) 1.JLC計画  *JLCはわが国の高エネルギー実験の次期基幹計画である。昨年4月にLC推進委員   会が発足して推進体制が確立され、加速器の開発、物理・測定器の検討のほか、サ   イトの検討、civil engineering の検討、コストの評価、国際的な推進組織の検討   、がなされてきた。日本(JLC)、ドイツ(TESLA)、米国(NLC)の3極。大きな予   算が通ったところがホストとなる。JLCはアジア諸国のバックアップがある。ACFAに   LC Steering Committee ができた(10月3日のACFA総会、メルボルン)。南宮氏(韓   国)が議長。  *LC推進委員会は定期的に開かれ、今までに14回開かれた。JLCの加速器を含め   たプロジェクト全体のプロポーザルに相当する文書を作成するべきであるという強   い意見が高エネルギーコミュニティーから出され JLC Roadmap Reportを準備してい   る。来年2月には、JLC Roadmap Report のシンポジウムを予定。  *加速器R&D:   基礎技術はすでに重心系エネルギー 500 GeV の仕様を充たしている(1999年にLC   推進室長岩田氏の物研連において報告)。今後は、コストの低減のためのR&D、   システムとしての設計、を行なっている。特にメインリナックは同じパターンの繰   り返しであるのでユニットの信頼性、量産・コストの低減のために単純性、高いエ   ネルギー効率、長期運転の安定性を必要とする。XバンドとCバンド両方の技術に   ついてR&Dが進んでいる。SLACとのXバンドの協力体制の強化を行なう。KEKにも   テメインリナックのストベンチを建設する。入射器はKEKのATF(Accelerator   Test Facility)で単バンチについてはエミッタンスは仕様を充たしている(世界最   小値)。マルチバンチのエミッタンス測定も行なわれほぼ仕様を充たしている。  *一昨年JLCサイト検討会を発足して、サイトの条件(地盤振動、電力、冷却水   、インフラストラクチャー、環境アセスメント、国際研究環境、自治体の対応など   )が検討されまとめられ、この検討会は解散した。LC推進委員会のもとに、新た   な site study group が発足して、実際のサイトの検討を行ない、候補地を絞り込   み、報告書が近く出る予定。  *JLCの物理:   JLCは素粒子物理学の新たな原理を発見するという大きな目的を持つ。JLCで   の実験は最高エネルギーで大まかな新現象をみるLHCとは異り、ee衝突のクリー   ンな実験環境で素粒子生成の素過程を直接観測する精密実験である。電弱ゲージ理   論の詳細データ解析からヒッグスボゾンの質量は約200GeV以下の領域に存在するこ   とが予想されるので、ヒッグスボゾン ファクトリーとして、その詳細研究を行なう   。このためには、第一期計画の重心系エネルギーはLEP-IIの到達したエネルギーの   すぐ上から始めて、次の確実に存在する閾値であるトップクォーク対生成が可能な   350 GeV を過ぎた、 約 500 GeV までとする。LHCとの有効な競争・協力関係を   持つためには早期着工が必須である。建設期間は約5年。  *第一期終了後にエネルギーを増強し(重心系エネルギー 1 TeV 以上)、最終的には   LHCの物理が到達できる範囲を越えることも考える。現在 TeV エネルギー領域に   到達可能な技術はまだ確立していないが、 約10年間のR&Dを行なえば実用が可能   となると考える。現在、ヒッグスボゾンとトップクォーク以外のエネルギーの閾値   が特定できないが、第一期の実験およびLHCに依って明らかとなろう。従って、   重要な物理が期待される第一期計画を最優先とする。  *Roadmap Report が完成次第、物研連でJLCに関する報告を行ないたい。 2.JHFー中性子科学 統合計画   高エネルギーコミュニティーとしては、わが国で開花したニュートリノ物理を更に   推めるため、原子力研究所(東海)から神岡に向けたビームライン整備の早期実現   をHFの第一プライオリティーとする。高エネルギー委員会からJHF推進室に対して   、JHFニュートリノビームラインの早期建設の要望を出した。(永宮氏やKEKの報告   参照) 3.現行の実験 (KEKからの報告を参照)  *KEKBは夏のシャットダウンのあと最高ルミノシティーが 8.3x1033cm-2s-1 に更新さ   れ、積算ルミノシティーも100fb-1を突破した。Belle実験も順調にデータを取得し   、解析も進んでいる。(KEK 報告参照)  *Superkamiokande 実験の事故からの復旧に関しては東京大学宇宙線研究所からの報   告を参照。  *JHFのビームラインが出来るまでは、KEKのPS測定器の開発や試験を行なう   ことの出来る国内唯一の加速器であるので、この確保はコミュニティーにとって非   常に重要である。  *国際協力実験、OPAL(LEP: 2000年に run 終了 解析中)、ATLAS(建   設中 2007年 パイロットラン)、CDF(TEVATRON Run II)、ZEUS(HERA   )なども順調に進んでいる。 4.ICFA  *International LC Steering Committee が夏の国際学会(ICHEP2002)で設立された。   10月8日〜11日 CERNでICFAセミナーがあった。次のICFA総会から議長が菅原KEK   機構長から J. Dorfan(SLAC)に代わる。主に Linear Collider に関する議論を行な   っている。  *TRC(International Linear Collider Technical Review Committee、委員長Greg   Loew, SLAC)によるLinear Collider の各技術の評価がまとまりつつある。Xバンド   、Cバンド、TESLA、CLIC の技術のまとめを行なう。コストの議論はしない。 5.OECD・GSF(Global Science Forum)   OECD・GSFの 高エネルギー物理 Consultative Group では この分野の 物   理の動向を踏まえた Roadmap の議論と、Linear Collider などの大プロジェクト   の国際協力の形態などの議論をおこない6月のGSFの総会に提出。わが国の高エ   ネルギーコミュニティーの総意を汲んでの文部科学省の対応が重要である。10月のI   CFA セミナー(CERN)では follow up meeting があった。 宇宙線グループの報告(村木 綏)   宇宙線グループの最優先課題のひとつであるTA計画の進め方についてCRC総会   で真剣な議論がなされた。最高エネルギー宇宙線の研究は依然として重要な研究テ   ーマなので、引き続きTA計画を推進していくべきであるとの意見が大勢を占めた 協議 1.ノーベル賞シンポジウムについて   小柴先生のノーベル賞受賞を記念して、学術会議の関連研連が主催するシンポジウ   ムを2003年度はじめを目処に開催することを物研連に提案する。タイトルは「宇宙   観測の物理的手段」といった趣旨のものを考える。関連研連は物研連、天文研連、   宇宙科学研連である。 2.国立大附置研のあり方   まず木村国立大学附置研究所等特別委員会委員の報告があった。   第1回委員会は10月4日にあり、今後の委員会の進め方等の討論があった。その他仁   田委員(文部科学省所轄ならびに国立大学附置研究所長会議議長)から「国立大学   法人化後の学術研究体制と附置研究所等の役割について」資料提出、及び中村慶久   委員(共同利用研究所長懇談会長)から「法人化後の大学附置の共同利用研究所及   びセンターのあり方についての要望書」資料提出があった。   第2回委員会は10月22日にあり、附置研の歴史的説明が行われた。今後どのような形   で研究センターの仕分けをするか、を議論することになる。   11月25日に中間まとめを行う。その頃に状況が明らかとなろう。   若干の質疑応答と討論のあと、核専委として要望書をまとめることとなった。 3.学術会議のあり方に関する報告(佐藤文隆委員)  *変更点を今日(10月29日)1階で各学会に説明している。  *学術会議のあり方は、総合科学技術会議に於て、10月に決め、1ヶ月間のパブリック   コメント期間をおいてのち、年内に決定する。  *各学会への説明会では、第19期の学術会議会員の選出をすでに依頼したが、これを   中止する。会員と研連委員の選出法は従来の方法とは全く異なる予定である。 4.科研費についての報告(佐藤文隆委員)  *細目等の見直しがあり、これからは新領域も見落とさずチェックする必要がある。  *高崎幹事が世話人となり各幹事が行う。 5.その他   谷畑委員より共同利用研の競争的資金に関して予備的議論を行ってほしいとの提案   があった。これまでは加速器等の施設をつくると付加的な運営資金がついてきた。   最近は、施設ができても運営費は自己調達するように、と文部省は言うが、実際上   、このような制度は科研費しかない。そこで科研費とは別に競争的資金制度を新た   に作る必要があると考える。   若干の討論の後、次回の核専委で検討することになった。