*********** < 平成 14 年度第 1 回 CRC 実行委員会 議事要録 > ********** 日 時: 平成 14 年 6 月 22 日、午前 11 時 15 分 〜 午後 4 時 30 分 場 所: 東京大学宇宙線研究所 6 階大セミナー室 出席者: 村木 綏 (名大 STE 研、委員長)、 鳥居祥二 (神奈川大)、谷森 達 (京大)、福島正己 (ICRR)、 坂田通徳 (甲南大)、水谷興平 (埼玉大)、神田展行 (大阪市大)、 森 正樹 (ICRR)、西嶋恭司 (東海大)、木舟 正 (信州大)、 櫻井敬久 (山形大): 以上委員、 鈴木洋一郎 (ICRR)、宗像一起 (信州大): 以上前委員、 吉村太彦 (ICRR 所長): オブザーバー、 吉越貴紀 (大阪市大事務局)、林田直明 (ICRR 事務局) (目 次) ------------------< 報告等 >----------------------- (1) CRC 事務局報告 (a) CRC 活動 (b) 平成 14 年度 CRC 選挙の開票結果 (c) 入会希望 (d) 退会申し出 (e) 「CRC News」メール配信 (2) 諸報告 (a) 東大宇宙線研 (b) 物研連 (c) KEK 運営協議会 (d) STE研 (e) 阪大核物理センター ------------------< 議事等 >----------------------- (3) ISAS、NASDA、航空宇宙研統合と共同利用研究のあり方 (4) 独法化と共同利用研の今後と CRC の活動 (5) 宇宙線の将来計画と宇宙線研の将来計画 (6) 明野、乗鞍、海外三件の今後について (7) 宇宙線奨励賞審査委員選考 (8) CRC 実行委員会の改革について ---------------------------------------------------- ========================================================================= --------------------------< 報 告 等 >--------------------------------- (1) CRC 事務局報告 (林田) (a) CRC活動 (前回実行委員会(2002.03.25) 以降) (1) 4月15日; CRC選挙開票 (2) 6月 5日; 連絡誌 速報-10号 発行郵送(52通) (3) 随 時 ; CRC News 配信 (b) 平成14年度CRC選挙の開票結果 開 票 日 ; 2002年4月15日(月) 事 務 局 ; 大西宗博、林田直明 立 会 人 ; 小澤俊介(宇都宮大) 定 足 数 ; 108 (有権者数 322) 有効投票数; 152 (郵便 37, Email 115) [ CRC実行委員会委員長 ] 順位 氏 名 得票 所属機関 備 考 1. 村木 綏 99 名古屋大 次点 木舟 正 13 信州大 その他 29 白 票 11 以上の結果、村木 綏 氏 が委員長に選ばれた(2期目)。 [ CRC実行委員会委員 ] (定員12名) 当選順位 氏 名 得票 所属機関 備 考 当選 1. 鳥居祥二 69 神奈川大 前委員1位 当選 2. 谷森 達 49 京都大 前委員2位 当選 3. 福島正己 47 宇宙線研 前委員3位 同一機関1位 当選 4. 坂田通徳 40 甲南大 前委員4位 当選 5. 水谷興平 31 埼玉大 前委員5位 当選 6. 柴田 徹 29 青山学院大 当選 7. 神田展行 28 大阪市立大 前委員6位 当選 7. 森 正樹 28 宇宙線研 同一機関2位 当選 9. 西嶋恭司 26 東海大 柳田昭平 26 茨城大 前委員7位 宗像一起 24 信州大 前委員8位 当選 10. 木舟 正 22 信州大 川上三郎 22 大阪市立大 前委員9位 鈴木洋一郎 20 宇宙線研 前委員10位 同一機関3位 当選 11. 櫻井敬久 18 山形大 当選 11. 吉田 滋 18 千葉大 梶田隆章 17 宇宙線研 同一機関4位 次点 井上邦雄 16 東北大 次点 垣本史雄 16 東京工業大 次点 高橋竜太郎 16 国立天文台 次点 堀田直己 16 宇都宮大 次点 岬 暁夫 16 早稲田大 その他 268 白 票 92 以上の結果、上記の当選11位までの 12名の方が委員に選ばれた。 (注1) 委員長に投票された次点以下の方の票(42票)は、委員の票に加算される。 (注2) 「同一機関から選ばれる委員の数は、2名を越えることはできない」 規定により、宇宙線研の鈴木洋一郎氏、梶田隆章氏は委員とならない。 (注3) 「委員12名中、前年度委員が6名を越えることはできない」規定に より、前委員の柳田昭平氏、宗像一起氏、川上三郎氏、鈴木洋一郎氏は 委員とならない。 =========================================================================== (c) 入会希望 ○ 久野 純治 (宇宙線研 理論 助教授) 推薦者: 吉村太彦、榎本良治 研究歴: 東北大理博、ミネソタ大、KEK素核研を経て、2002年3月 ICRRに。 「素粒子の標準模型をこえる理論の現象論」の研究。 特に超対称性を 持つ様に拡張された模型、例えば超対称標準模型や超対称大統一模型が 将来の加速器実験、宇宙物理を含む非加速器実験でどの様に見えるかに 力点をおいてきた。具体的内容としては、陽子崩壊、レプトンフレーバー 対称性の破れ、ダークマータがあげられる。 ○ 杉山 直 (国立天文台 教授) 推薦者: 佐藤勝彦、佐藤文隆 研究歴: 広島大理博、京大、東大、California大、京大を経て、 2001年から天文台に。 ・密度揺らぎの膨張宇宙での成長と大規模構造の形成 ・宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎ ・宇宙の熱史 ・素粒子的宇宙論 ○ 篠崎 健児 (宇宙線研 TA・AGASA 研究員) 推薦者: 手嶋政廣、林田直明 研究歴: 埼玉大にて、AGASAによるシャワー中のミューオン成分と超高エネルギー 領域宇宙線の化学組成の研究。明野での鉛サンドイッチ(レッドバーガー) 実験、及び、明野での宇宙線イメージング実験 (CRIS)を行って来た。 チャカルタヤ山における空気シャワーアレイ・エマルションチェンバー 連動実験 (SYS実験)にも参加。 2002年5月から ICRRに。 研究歴等が紹介され、上記 3 氏の入会が承認された。 ========================================================================= (d) 退会申し出 ○ 小林 紘一 (元東大原子力センター、現在; 加速器分析研究所) ○ 伊津 耕平 (元宇宙線研、現在; 横河電機KK) 上記 2 氏の退会が了承された。 ========================================================================= (e) 「CRC News」メール配信 (37件) ○ 委員会報告;3件    4月 8日、第27回素核研(KEK)運営協議会報告    4月 9日、HENAP レポート    5月 7日、第18期第5回原子核専門委員会議事録(縮刷版) ○ 公募案内;9件    4月 4日、東京大学・宇宙物理学理論研究室 助手公募    4月 5日、KEK・素粒子原子核研究所 教官公募    4月10日、宮城教育大学教官公募    4月19日、第4回(2002年度)高エネルギー物理学奨励賞推薦及び応募    4月24日、KEK・加速器研究施設教官公募    6月 4日、東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻助教授公募    6月 6日、東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻教官公募    6月17日、KEK素核研 助教授公募    6月17日、KEK加速器 教官公募 3件 ○ 研究会案内;15件    3月28日、「中間エネルギーイオンビームによる物理」研究会    3月29日、"The Universe Viewed in Gamma-rays" Workshop    4月 3日、2002 IEEE Nuclear Science Symposium    4月 4日、特定・宇宙ニュートリノ第9回研究会    4月12日、PANIC02 dead line of contributed papers    4月22日、PANIC02 dead line of contributed papers (ver.2)    4月24日、特定・宇宙ニュートリノ第9回研究会(最終版)    5月 7日、第22回 ISTC日本-CISワークショップ    5月 7日、PANIC02 (New deadline is May 14)    5月21日、XXI Texas Symposium    5月27日、第4回Geant4研究会および講習会    6月 3日、「サマー・スクール」型研究会開催のお知らせ    6月13日、The Universe viewed in gamma-rays Workshop (1st Circ.)    6月13日、研究会:実験・観測にもとづく素粒子統一描像の構築    6月14日、The Universe Viewed in Gamma-rays Workshop (追加) ○ その他のお知らせ;10件    4月 1日、『宇宙線(改訂版)』復刊    4月 1日、CRC選挙の投票と推薦の呼びかけ    4月 3日、CRC選挙の呼びかけ    4月 8日、CRC News No.367 (公募記事)の訂正    4月 8日、CRC選挙の呼びかけ    4月10日、CRC選挙の呼びかけ    4月15日、スーパーカミオカンデ再建ボランティア募集    4月16日、平成14年度CRC選挙の開票結果    4月19日、「CRC会員名簿」更新のお知らせ    5月10日、元素合成ビデオの教育用無料頒布について ========================================================================= (2) 諸報告 (a) 東大宇宙線研報告 (吉村) ○ スーパーカミオカンデ装置全面復旧 ・ 概算要求関連は各方面の理解を得て概ね順調に進んでいる。 ○ 人事 ・ 平成 14 年度末に 3 名が定年退官し、合計 5 名の欠員ができる。 本年度中に 3〜4名の人事選考を行なうことで所内検討中である。 所内で案をまとめ、次回の共同利用運営委員会に諮る。 ・ 共同利用運営委員会で次期所長問題を検討中。 ○ 法人化関連 ・ 全国研究所長とセンター長を集めた臨時会合が 6 月 17 日にあり、法人化 後の大学付置研究所に関する文部科学省の素案について議論がなされた。 素案の概略は以下の通り。 - センターを含め、新生付置研究所を再定義する必要がある(省令に明記する)。 - 審議会を設け、新生付置研究所を選定する。選定条件は 1) 全国共同利用 研究所であること、2) 国際研究拠点であること、3) 規模 (サイズ)。 - 研究所の規模に基づき、標準的な 5 つのタイプに分類する。 タイプに応じて予算 (大学の予算に積算) を決める。 - 上の予算とは別に激変緩和財源、共同利用経費を検討している。 付置研のボーダーラインは予算定員 30人規模ではないか? 現在の宇宙線研 は予算定員 37人であり、上の素案から予算を割り出すと 3億円程度となる。 現在の予算 (10 億円以上) とはかなり開きがある。 ・ 東京大学における中期目標・中期計画を作成するため、所内委員会を立ち 上げ宇宙線研の計画書を作成している (7 月末に第 1 次案を本部に提出)。 中期目標・中期計画作成の基本方針を以下のように決めた。 - 世界をリードする先端的基礎科学研究 - 国際研究拠点の確立、国際研究センター (仮称) 設立 - 全国共同利用研究の推進 - 研究者コミューニティに支持される研究の推進 - 公募を基本とする開かれた人事選考 - 柔軟な研究テーマ設定とそれに対応した人事の推進 - 若手研究者への支援 - 人材育成への積極的な取り組み - 所長のリーダーシップが発揮できる補佐体制の充実 - 研究の現状に即した施設等の見直し - 重要な検討事項 学内、学外との組織的研究連携の推進 神岡地下総合研究施設 (仮称) 設立の可能性 ・ 上記に関連し、 1. 観測所、施設、センターの改編 (法人化後の適正規模) 2. 法人化後の大型計画の推進 (連携、神岡施設の拡大) 3. 任期制を検討すべきかどうか 等の検討を所内で開始している。1 については研究会を開き、評価委員会 の設置を考えている。 (b) 物研連報告 (村木) (核専委: 4 月 24 日、物研連: 4 月 25 日) ○ 国立大学法人化に伴う大学付置共同利用研究所の問題について議論した。日本 の共同利用体制を作ってきたのは学術会議、特に物研連の功績の一つであり、 物研連として提言を出すことの意義は大きい。物性研所長、宇宙線研所長と 相談し、共同利用体制に関する声明をまとめることにした。 ○ 科研費について (核専委) ・佐藤文隆会員より科研費の分野見直しの報告があった。ナノ物理学の項目に 物理学会も審査員を出すべきであったが、今年度は既に決まっているので 応急処置として応用物理学会から枠を回してもらうことになった。 今後は新領域を注意深く調べて、必要な場合には審査員を送るべきである。 ・科研費審査委員候補者を決定した。昨年度から、科研費審査委員候補者の推 薦母体は学術会議ということになり、物理学の分野は物研連が対応研連に なっている。今年度は、分野見直しの過渡的影響で、昨年度の 2倍の候補者 (24 名)を推薦した。 (c) KEK 運協報告 (村木) (5 月 21 日、6 月 12 日) ○ JHF の推進部が 4 月 1 日付で正式に発足したが、共同利用のあり方がまだ まとまっていない。 ○ 次期機構長候補について自由討論をした。 (d) STE 研報告 (村木) ○ 独法化関連: STE 研には大型施設がないため、法人化の際に問題となる。STE 研の規模は 30人程度であり、宇宙線研所長の報告を考慮すると存続が厳しい。 他の付置研と合流する等の可能性も考えられるが、どうなるかよくわからない。 認められれば共同利用研として継続したい。 ○ 6月 5日に ISTC の国際ワークショップ (テーマ: 宇宙天気予報) を行なった。 ○ 湯田先生が 2003年 3月退官のため、次の人事を進める必要がある。 宇宙線物理学の研究分野 (地球の現象と関連のある研究テーマをも含んだ) の方で、よい候補者を紹介してほしい。 (e) 阪大核物理センター報告 (谷森) ○ 平成 15 年度の概算要求で入射サイクロトロンの更新 (20 倍の強度増強) を 主要課題として申請する。スプリング 8 に力を入れるべきであるという意見 もあった。 ○ 法人化に関連して、中期計画・中期目標をまとめている (RCNP の定員は 18人、 現在の予算規模は 10 億円程度)。 ----------------------------< 議 事 等 >--------------------------------- (3) ISAS、NASDA、航空宇宙研統合と共同利用研究のあり方 ○ 鳥居委員より、宇宙 3 機関の統合について、CRC として要望書を出す必要が あるかどうか、出すとしたらどのような内容にするかを議論して欲しい、と いう提案があった。以下は鳥居委員がまとめた議論の要点である。 1.宇宙 3機関の統合については、天文学会、地球電磁気・地球惑星圏学会など 幾つかの学会からすでに要望書が出されている。これらの学会は、すでに ISASとの共同実験によって多くの成果を挙げており、宇宙研のこれまで果た した役割を高く評価し、1) 全国共同利用機関、2) ボトムアップ方式の研究 テーマ選択、3) 大学院生等の研究、教育、などの機能が新機関でも引き継 がれることを強く要望している。宇宙線分野としても、ISAS の果たした これらの役割については高く評価している。 2.これまでは、「科学は ISAS、実用は NASDA」という枠組みで進められてき ましたが、近年、月探査衛星「SELENE」 (NASDAが計画、ISASがテーマ採択) や、国際宇宙ステーションにおける宇宙、地球科学ミッション(NASDAが計画 、採択)の例があるように単純な枠組みが実情に合わなくなってきている (向井利典氏文章から引用)。統合後の新機関においては、これらは統一的に 扱われることになるので、これまで、ISASがカバーしてきた分野以外の科学 ミッションが、新機関では実行される必要性が生じる。 3.宇宙線の研究は、宇宙における高エネルギー現象の解明のためには不可欠な 分野であり、最近の研究から X線、ガンマ線との関連が明らかになりつつあ る。スペースにおける宇宙線の観測によって、これらがさらに解明されてい くことは疑いの余地がない。さらに、最高エネルギー宇宙線の発見や、宇宙 反物質の探索、さらに未知の粒子の探索といった物理学の基本課題である素 粒子と宇宙の問題にかかわる重要なテーマが提案されている。 4.宇宙線分野は、欧米には多くの衛星ミッションがあるにもかかわらず、日本 ではこれまで、太陽宇宙線を除いてあまり大掛かりなミッションは行われて こなかった。このため、宇宙 3機関の統合によってできる新機関では、今後 発展が期待される宇宙線のような新しい分野を育成し、ミッションが実現で きるよう体制の構築を強く要望する。加えて、従来 ISAS において大きな成 果を挙げている気球観測についても、新機関においては重要な観測手段とし て一層の充実を要望する。これらは、大臣発表にもある「人類の知的財産」 の形成においてもきわめて重要であると考える。 上記提案に関し、以下のような意見交換があった。 - 要望書は CRC ではなく、物理学会として出した方がいいのではないか。 X 線、宇宙物理も関連がある。 - 物理学会でまとめるのが手間取るなら CRC で要望書を出しても良い。 - 要望書を出すには既に遅いのではないか? 物理学会に諮っていたら更に遅 くなる。 - 遅いということはない。組織移行は固まっているが、具体案はこれから決める。 - 改編時に声明を出しておくことは、将来宇宙線のミッションを要求できるか どうかと関連があり、非常に重要。 - 要望書をどこに出すのか? 他学会は文部科学大臣、副大臣に出している。 3 機関の長にも出す。 - 要望書を出すのは ok。NASDA と ISAS に出すのが効果的ではないか。 - 宇宙線はこれまで衛星ミッションの正統にない。歴史的には ISAS でやる はずのものがなくなった経緯がある。従って、どういう形で宇宙線部門を組 み込むかという strategyがないと、要望書をどう書いていいかわからない。 他の要望書と競合するものではまずい。原案を出して欲しい。 - 衛星ミッションは経験、組織、それを支える技術といった今までの経過がな いとやりづらい。今までのシステムでは既存のプロジェクトが優先される。 新しい分野を育成する体制が欲しい。地上研究公募のような制度を残して欲し い。 - NASDA の宇宙研究の分野を残すようわかりやすく書くべきではないか? - 欧米と比べると日本では宇宙線分野のフライトミッションが少ない。 この状況は統合で変わる可能性はあるのか? - ISAS はボトムアップ方式で研究を推進してきたため、どのような意見が あるのかを気にしている。 以上の議論を踏まえ、鳥居委員が要望書の原案を作ることになった。原案を 電子メールで配布し、ok なら CRC で要望書を出すことにする。 ------------------------------------------------------------------------- (4) 独法化と共同利用研の今後と CRC の活動 ○ 以下のような意見交換があった。 - 前回 CRC で決めたことを再確認し、特に特別交付金 (大型科学推進経費) が必要だという短い文章をまとめ、KEK フォーラム、物研連に出したい (委員長)。 - それ以外にどんな活動ができるか? - 独法化された後、共同利用は特別交付金があった場合どうなるのか? 今までと同じと考えていいのか? - 特別交付金は学科、学部からでも要求できるのか? 大学の共同利用研に限定 すると狭いものになる。 - 報告した素案には行政サイドは何もコミットしていない (宇宙線研所長)。 何も決まっておらず、案が出ている段階。要望書を出すなら形に拘らない 方が良い。行政サイドの一部を刺激するようなものは却って良くない。 - 宇宙線研の中長期将来構想 (2/28 バージョン) に関して、宇宙線研に要望す ることはないか? - 中長期将来構想は既に提出した (宇宙線研所長)。これは、東大の将来構想の 報告書を作るために、総長補佐がヒヤリングの際に要望したもので、何かに 影響するというものではない。 - 共同利用運営委員会はどうなるのか? 外部の人を入れた運用が独立行政法人 にとっては良いが、なってみないとわからない。 - 共同利用運営委員会は研究所の内規。むしろここで意見を聞きたい (宇宙線研所長)。 以上の議論の後、委員長が物研連に出す要望書を書いて委員に配り、意見を聞 くことにした。また、独法化が急速に進むようなら、9月(学会期間中)の実行 委員会で長く時間を取って議論することにした。 ------------------------------------------------------------------------- (5) 宇宙線の将来計画と宇宙線研の将来計画 ○ TA が科研費特定領域に通らなかったことを受け、委員長より宇宙線・宇宙線研 の将来計画をどうするか問題提起があった。以下のような意見交換があった。 - TA は予算枠が大き過ぎて科研費の枠の中に入らなかったと聞いている。 今後はやはり概算要求で頑張った方がいいのだろうか? TA は今後どうなる のか? 別の宇宙線実験大型計画をどのように進めていくのか?(委員長) - これまでのように、将来計画のシンポジウムをやったらどうか? 10月 10、11日に宇宙線研の観測所、施設改編の研究会を開く予定だが、この 時に同時にやってはどうか? - 独法化のため概算要求は今度が最後で、これからは中期計画に盛り込むこと になる。最近は概算要求のシステムは事実上機能していない。 概算要求をベースに将来計画を議論しても実際的でない。 - 93年頃に、神岡の次の 100億円規模の実験を研究所として持っているべきだ としてシンポジウムを開き議論した。この時 TA と重力波を選択した。 今後は予算措置のあり方が変ってくるのでやり方が違ってもいいか? - TA がまだ重要なら続ければいい。Augerとの比較等をしなければならない。 中期目標に書いて予算獲得を目指すこともあり得る。時代遅れなら宇宙線の 別プロジェクトを立てていく必要がある。 - 今の日本の財政状況、宇宙線研の力、宇宙線研究者の力では TA に 30 億は 現実的でない。しかし、物理が面白いということはインタビューで認識され た。かなり善戦はしたと思う。だから、最高エネルギーという目標は落すべ きでない。具体的には Auger と一緒にやる線を考える。 - いい線いったのであれば来年もう一度出してはどうか? - しかし Augerが先行している。同じ出し方では難しい。意義が重なっている。 - 指摘された問題点は体制 (宇宙線研の実行体制、海外強力体制) である。 再度出すとしても、計画内容の縮小を含め、見直しが必要だろう。 - Augerをやるなら北半球でやるのか? Augerに参加するならどの部分に参加 するのか? - Auger はアルゼンチンのサイトをちゃんとやりたいと考えている。日本は AGASAの蓄積があるので、先方は ground array への貢献を期待している。 しかし、TA グループはこれまで蛍光をやってきたので、この線を選択する 解もあり得る。 - COEで採択された過去最高額は 18億円。15億円位に押えておかないと難しい。 - 仮に他の宇宙線の計画を持ってきても、とてつもない魅力を持っていなければ 状況は一緒であろう。 - 以前と同様に評価委員会を作って判断する可能性はないのか? まだ議論は 尽くされていない。TA は Auger という world wide なコラボレーションと 日本が張り合ってやろうというプロジェクトだった。それが Auger の one of them に落ちてやるのがいいのか? シリアスに考えるべきである。 - 60億円規模の実験を押していく要件は TAグループ、宇宙線研に揃っていない。 - TA が方針転換をするなら、評価委員会の判断から変ってしまう。そのため には同様の判断が必要ではないか? - 評価委員会は、提案に対して評価を行なうもの。前回は TA がやると言うの を信じて評価委員会が yesと評価したが、次の評価委員会はどういう評価を するのか?現在の日本の政治経済状態を含めて判断する力と覚悟があるのか? - TA に限らず重力波、その他の計画も含めて、現在の経済状態で将来計画を 考える研究会が必要ではないか? - 見直しが必要なのは理解できるが、10 年以上の長期スパンの将来計画なの だからあまりにも event driven に 2〜3 年で見直すべきではない。 - 前回の評価委員会は大きい計画だけ見てきたが、小さい 1 億規模の実験にも 目を向けて考え直す必要性があるのではないか? 大きい計画で小さい計画に 蓋をすべきでない。 - TA、重力波で人的資源が増えていない。CRC として押しているのにおかしい のではないか? 評価委員会は何を決めるものなのか? - 評価委員会は recommendation を出すもので、activity は自分達で努力して 得るもの。お墨付きはお金、人を得る上で大事だ。 - 外部評価の意味を議論しても仕方ない。小さい計画の重要性が出てきたため、 議論する場所が欲しい。 - TA、重力波は 93 年にかけて作った将来計画の大きな 2本の柱で、そう遠く ないうちに実現する予定だった。しかし、国の情勢が変って、実現の仕方を 見直す・考える時期なのではないか? その全体の strategyを作るのは実行 委員会の仕事だろう。厳密なものでなく、小さい実験計画も出し合う柔軟な 研究会をやってもいいのではないか? - TA が戦略として一時撤退しても最高エネルギーの旗を下ろすべきでない、 というのは物理屋としては尤もだが、研究所の全体計画としてそういう形に するのはいかがなものか? TA が 7〜8 年後にどうなるのか、次のステップ は自明でない。現時点で志は言えても現実は難しい。 - TA、重力波グループに今後の方針を出してもらって、将来計画を決めるので はなく、現状と将来を議論するシンポジウムを開いた方がいい。 - TA が 7〜8 年後を睨んで EUSO に移る可能性はないのか? 7〜8 年後だと タイミングが良いのではないか? - EUSO は危険な計画である。Auger (か TA) が現在の最高エネルギーの謎を 解いてしまう可能性が高い。EUSO は新しいものを見つける計画で技術的には 面白いが、今ある物理的課題を解くものではない。 - 結論が出なければ、9 月に共同利用運営委員会を開く必要がある。長期的な 人事 今年度動いている)と絡んでくるので、CRC として態度を決める必要が ある。 - 研究会は先に CRCでやった方がクッションになって良い。いきなり宇宙線研 で主催すると明確な目的が必要になってしまう。 - 独法化後は、人を含めたあらゆる資材をつぎこまなければ研究所の第一の計 画を実現できない、という世の中になるのではないか? 民間企業は実際に そうしている。これまでは、CRC はいろんな実験に興味があり、宇宙線研が 共同利用でそれらをサポートしてきたが、その構成が変わりつつある。研究 実現のあり方を CRC で議論するべきである。TA をどうするかという個別の 問題は宇宙線研の問題であって、CRC の議題ではない。 - 1 つのプロジェクトに集中するわけにはいかないのではないか? 次の芽を育てる必要がある。 以上の議論を踏まえ、CRC 主催の研究会を開くことにし、瀧田、西嶋、吉田 の 3 氏に世話人を依頼することにした。 ------------------------------------------------------------------------- (6) 明野、乗鞍、海外三件の今後について ○ 宇宙線研、STE 研の中期目標を書くにあたり、明野、乗鞍、海外三件の今後に ついて意見交換を行なった。 - 乗鞍に関して中期目標をどう書くか? 宇宙線研から相談された(委員長)。 宇宙線研のスタッフの中で乗鞍をメインに使っている人がいない。使って いるのは主に名古屋大学のグループ。名古屋大学で責任を持って中期目標 に書きたい。宇宙線研では乗鞍を神岡の一部にする案が挙がっている。 これを中期目標に書くかどうか? - 宇宙線研は、10 月に外部委員を入れて評価した上で考える。 - 海外 3件を国際センターにしプロジェクト公募制を取る案が出されているが、 この場合、完全公募になるのか? 年限を決めて運用するのがいいのでは? - 全体の研究所の予算が東大から来るだけで、それをどう有効に使っていくか という問題。まだ何も決まっていない。議論して欲しい (宇宙線研所長)。 - 中期目標に、海外でやる要求があるということを書く必要はある。 - 明野観測所は海外の実験の前進基地となるのか? - 明野は共同利用と、TA が通ればその施設として運営していきたい。AGASAは グループの意向としては 2003年に撤去の予定だが、撤去費用の問題は残って いる。 - これら (明野、乗鞍、海外三件) を利用する要求があるなら、中期計画に入 れるため出して欲しい。 - 乗鞍は 2004 年冬までは今まで通り継続運転することが決まっている。 - これらの観測所等を維持していくとしても今のままの形は難しい。 改編は必要だ(宇宙線研所長)。 ------------------------------------------------------------------------- (7) 宇宙線奨励賞審査委員選考 ○ 現審査員の任期 (2 年) が切れるため、議論の後、次期審査員を以下の諸氏に お願いすることにした。 (まだ本人の最終的了解を得ていない方も含まれています。) - 宇宙線: 木舟 (委員長)、坂田、鳥居 - 理論: 荒船 - 宇宙: 松岡 - 高エネルギー: 相原 ------------------------------------------------------------------------- (8) CRC 実行委員会の改革について ○ 委員長から CRC 実行委員会の規約の改変について提案があり、 1.「同一研究機関から選ばれる委員の数は 2名を越えることはできない」の 2名は少ないのではないか? 宇宙線研は人数が多いので、実情に合って いない。 2. 年齢制限を設けるべきではないか? 又は、現役に限るべきではないか? 3. 実行委員の任期を現在の 1 年から 2 年に増やすべきではないか? 等の意見が出された。このうち 1 の制限を 2名から 3名に緩めることにし、 2 は他の団体の条件を参考にして決めることにした。 次回の実行委員会で 変更案をまとめ、総会に提案することにした。