***************< 第27回素核研(KEK)運営協議会報告 >***************** (文責 村木 綏) 日 時 H14年3月28日 13:30〜18:30 ○ 報告事項 ・菅原機構長報告  *独法化の現状について報告があった。 文科省の科学技術・学術審議会学術   分科会の下に大学共同利用機関特別委員会が設置された。4月に二度開催し   てhearingを実施。4月5日にはKEKを含む両機構、天文台等についてhearing   を予定。5月位 から本格的な議論を実施、6月には結論を出す予定。    主査は小平桂一氏。  *特別委員会に対応して大学共同利用機関所長懇談会にワーキンググループを   作る。KEKの考えは、運協等の議論を踏まえ、単独で法人となる道。法律   上大学と 同じ運営形態となっても、実際的には現行のような運営方式が可能   だろうと予想。  *運営交付金についての村木の質問に対する菅原先生の考え方は次のようであ   った。 長期プロジェクトや大型プロジェクトは別途処置すべきである。   大型共同利用は同一スタンスでやるべきであると考える。そのことを付置研   の同志を集めて強く主張していきたい。大学附置研側からも「共同利用」と   いう項目がないと運営がやりにくいと言われている。予断は許されないが道   は開けるのではないか。 ○山田素核研所長報告  *人事異動  佐藤任弘氏、小村隆氏の昇格。久野純治氏のICRRへの転出。  *新年度から大強度陽子推進部が正式に設立される。  *諸会議報告  2/1 、3/13 機構運協が開かれた。出向職員が戻る際の人事のやり方を決めた。  3/13 共通系の運協が開かれ、大強度陽子推進部長に永宮氏が選出された。  2/11 素核研の評議会があった。次期所長候補の推薦法について議論があった。      6月に予想される文書では、所長には今まで通り年齢制限をつけ、運      協に複数名の推薦を求めることとなろう。  3/ 6 機構の評議会があった。次期機構長候補のリストが出された。      機構評議会は自ら決めるとの強い意見を持っている。機構が発足して      5年になるので、この機会に評議員6名(各評議員会から2名ずつ)      により組織と運営面からの機構の実施することとなった。 2/18-19 日米事業の日本側計画委員会が開かれた。予算が10%削減され、加う      るに為替レートが10%減と考えると、米国側から見ると20%の予算削      減となっている。 5月〜6月の日米合同委員会で決定する。  2/22 第2回研究計画委員会が開かれた。      JHFにおける素粒子・原子核研究の進め方について議論してもらった。      各分野の実験を紹介してもらい、意見交換があった。この件に関して      研究計画委員会の答申の相手や役割についても質問があった。答申は      所長宛、また今回の検討テーマは素核研に閉じないし、機構にも閉じ      ない部分もある規模なので、即方針決定に結びつくわけではないが、      各分野の委員が十分に理解しあうことが重要で、その結果は機構の意      思決定にも影響はありえるとのことであった。  2/28-3/1 LCPAC開催。Belleの改造計画や、super KEKBについても議論。       LC開発に関しては研究テーマを絞ってはどうかとの意見もあり。  3/7  B-factory推進委員会が開かれた。  3/22 総研大学位授与式があった。来年度7名入学者あり(内1名は留学生)。      3名が理論。 総研大として新年度も前期(修士)課程を作る努力を      続ける。(素核専 攻はこれには加わらない旨表明してある。)宇宙      研の総研大参加を承認、今後概算要求に進む。宇宙研はNASDAとの統      合後も総研大との関わり方はそのままkeepされるだろう。  2/13-17  OECDメガサイエンスフォーラムのコンサルタント会議の第四回が開      かれ、報告書のまとめに関して議論。LHCとLinear Colliderとの関係      が検討された。「LHCはヒッグスの発見、LCはその詳細測定」は研究      者レベルではよくわかるが非専門家にはわかりにくい。LCも発見型      であることを言った方がアピ ールするだろう。  *JLC推進会議のもとのグロバリゼーション委員会で、LCに関して国際協   力で建設する際の可能な形態や現状の課題を検討している。その中で、海外   の研究者から見て、日本に大型施設を建設した場合に何が困るか、目下の問   題を聞いたりしている。具体的にいくつかの点が上げられた。たとえば、   (1) 若い人が日本に来たとき、将来への展望が持てない。KEKがキャリアパス     になるか。(米国と根本的に風土が異なる)   (2) 家族が isolateされる。KEKで働く人はそれでよいが、家族が困る(学校     の問題とか)だろうとの危惧がある。  *PS 報告(中村建蔵)   ・3月18日PS-PACが開かれて提案を審査した。   ・スーパーカミオカンデの現状について報告があった。10月には光電子増倍    管の部分再建を終了し、12月に純粋を満タンとし、1月からKEK実験を再開    する。  *Bell 報告(高崎史彦)   ・3月26日までに63/fbデータがとれた。 パイ中間子ヘの崩壊モードで    CP対称性の直接的破れを99.9%の確率で確認した。  *大強度陽子加速器計画(JHF)報告(永宮)   ・中性子施設に関して実験装置計画検討委員会に内外同数で20名程度の委員    会を作った。   ・加速器のTechnical Design Reportをまとめている。   ・新たに千葉さんをヘッドとする全体制御グループを立ち上げた。   ・第1回の利用者協議会を立ち上げた。井上 信氏が委員長。   ・今井氏を委員長とする運営体制等に関するタスクフォースからの活動経過    報告が出された。   ・第1回国際アドバイザー委員会を 3月5、6日に開催した。委員長は    J. W. White氏、副委員長は戸塚氏で、報告書がまとめられつつある。    議論    (1)KEKから原研に出向した際、独法化された後戻れるのかとの質問が出た。      それに対して任命権者の要請により出向する場合は戻れるとの回答が庶      務係長からあった。 また同格で戻る場合は、所属する研究所の運協で      経歴審査を行い、了承を得ることになった。    (2)運営体制タスクフォース報告書の中に3GeV中性子・中間子も一つの丸の      中に入っているが、中性子グループでは物研連から学術会議に別途計画      書を提案している。この絵と運営上矛盾しないのかという質問が出た。      また産業界の中性子利用センターについても質問が出た。    (3)外国人の雇用問題について議論があった。その点では独法化はひとつの      改善の機会になるのではないか。 ○議論  *客員研究部門教官の選考を行ない、全員了とした。  *法的任期付きの部門を作る件に関して、前期の運協のもとにあったWGの報   告と説明と、今後どうするかについて議論したが、時間がなく次回に続ける   ことにした。  *次期機構長候補について11名のリストにあった名前が紹介され、続いてどの   ような人がふさわしいか、一般的な視点から長い議論があった。主な意見は   次の通り   ・学問的業績に優れており、且つ行政的手腕のある人。   ・世代交代を実施すべき時期にきている。   ・独法化を乗り切れる人。   ・JLCを強力に推進できる人。   ・JHFが進んでいるのでそれを完成できる人。   ・特定のプロジェクトだけでなく、サイエンス全体を見渡せる人。   ・どこからかポットやってきたのではなく、高エネルギー物理がわかる人で    ないと困る。   ・JLCがすぐできるかどうかわからない時、ハイパー神岡や重力波実験も推進    できる人がよい。 時間切れで運協としては今回は絞り込めなかった。   次回は5月頃。