*******< 原子核専門委員会委員議事録(案)(第18期:第2回)>********** 日時:平成13年4月11日(水)13:30 〜 17:00 場所:日本学術会議 6階会議室 議題 諸報告   1、前回議事録承認   2、各研究所報告   3、各グループ報告   4、国際交流、国際会議等報告   5、その他 協議   1、統合計画発足と素粒子原子核分野の将来計画   2、原研、理研、Spring 8 等での共同利用のあり方   3、独法化に伴う諸問題   4、65歳定年と研究の進め方   5、研連の見直しについて   6、その他 配付資料   1)日本学術会議パンフレット   2)21世紀の科学アカデミーをデザインする   3)第三回 World Congress of Physical Societies   4)IUPAP Working Group "Women in Physics"   5)大強度陽子加速器計画:11月以降の動き   6)高エネルギー物理(素粒子実験)コミュニティー 出席委員  二宮正夫、土岐 博、池田清美、吉村太彦、小林 誠、矢崎紘一、村木 綏、  佐藤文隆、戸塚洋二、小山勝二、駒宮幸男、黒川真一、近藤敬比古、  高崎史彦、武田 廣、山田作衛、今井憲一、永井泰樹、酒井英行、石原正泰、  森 義治、谷畑勇夫、永宮正治   1:前回議事録:誤字を訂正して承認 2:研究所報告 ● 基研(報告者:二宮)   人事:冨田憲二(宇)、久保礼次郎(素)の各氏退官、嶺重 慎(宇)、  大野木哲也(素)の各氏着任。  予算:変化無し。COE postdoc:5名(+1)、COE 外国人:3名(ー1)。  宿舎改造:14室、外国人長期滞在可能に。  概算要求:改組大部門化をH15 年に実現を目指す。H14 から3大部門化要求  (基礎物理、物質構造、極限構造)。(教官:2名増員、2名教務職員振り  替え、外国人客員:現1名を3名に、国内客員ー新しい考え:3名増員) ● 宇宙線研究所(報告者:吉村)  人事:所長 吉村、任期2年、  神岡:助教授 伊藤、エマルジョン:助教授 瀧田、Cangaroo :助手 河内  退官:荒船、木舟、石川、斉藤  H14年度概算要求:宇宙線望遠鏡計画を第1位に。  H12年12月の学術審議会総会において特定研究領域推進分科会宇宙部会報  告が了承された。報告書ではテレスコープアレイ計画を早急に実現すべき計画  とし、LCGT は技術開発を強力に推進し早期の着手を目指す計画と位置づけて  いる。今後はこの報告に基づいて各計画の予算獲得をはかる。 ● 素核研(報告者:山田)  概算要求:統合計画認可。総額1335億の初年度としてKEK に約7.9 億。PS予算  は約8億減。 KEKB は微増。全体的には電力料金見直しで減。  人事:吉村浩司(助教授)着任。吉村善男、福田共和の両氏退官。第10次  定削でKEK 全体で教官10減。各年2名減。加速器施設長、主幹人事:施設長   神谷、総主幹 黒川、主幹 山崎、生出、榎本、佐藤(康)。  共同利用:PSの早い取出期間:1ー6月。遅い取出しは秋。  K2K実験:昨年6月までのデータ量:2.3 x 10^19 POT で全体の1/5。SKの  fiducial 内事象期待値(振動がない場合)約38。観測事象は28。今年7月  までに2倍に。  KEKB/Belle:加速器の性能著しく向上:peak luminosity3.41x10^33/cm2/sec、   peak integrated luminosity/day 195/pb、毎週 1/fb以上蓄積。   これまでに20/fb 以上を蓄積。夏までに30 /fb 以上を目指す。  Belle グループはCPの破れについて最初の論文を発表。  近日中に田無分室を廃止。  国際会議等:HEACC2001(加速器施設がホスト) :3/26 - 3/30、第3回  ニュートリノファクトリについての国際会議:5/24 - 5/30、第5回KEKトピカル  コンファランス:11/20 - 11/22。  LC推進に向けた新体制作りを開始。  研究計画委員会を立ち上げる。 ● 核物理センター(報告者:土岐)  センター長 土岐(教授)4/1より任期2年、  新スタッフ 酒見(助教授)、保坂(助教授)着任  COE: postdoc :4人、 RCNP postdoc :4人 、COE 外国人講師:15人  (新)+4人(継続)  Cyclotron :順調、good energy resolution 20keV at 400 Me  Spring8 :2.4 GeV photonで 実験開始。  大塔コスモ観測所: Dark Matter Search の実験を行っている。  Supercomputer:SX4 をSX5 (1.5 Tflopps)、RCNP computer:VAX をIBMに交換  概算要求:Spring8 の測定装置を第一位で推す。  アメリカのNSF がsummer student 3人を送るProgram を始める。  PANIC 国際会議を2002 ( 9/30 - 10/4) に大阪で開催する。 ● 素粒子物理センター(報告者:駒宮)  LEP 実験はHiggs candidates (:2.9 sigma)を確認するために実験を延長は  不承認。LEP、OPALの解体、LHC の建設進行中。  LEPのデータ解析のまとめを2年程度で行なう。11月5-6日東大でLEPシンポ  ジウムを行なう。  LHC 部門新設:2004年に改組しLHC実験を目的とする。アジア地域データ  解析センターを素粒子センターに構築。LHC部門(教授、助教授、助手各1)が  認められる:現員は教授1、助教授2、助手11。  2/18ー21:白馬シンポ開催 ● 理研(報告者:谷畑)  予算:現施設(重イオンサイクロトロン施設、Riken-BNL 共同研究、RAL 共同  研究)については引き続き変化なし。RI Beam factory (RIBF) については、  2期分の予算が13年度認められた。  (総額280億)RI 蓄積リング及びe-RI collider の建設承認。播磨研究所では  Free-electron-laser の建設が認められる。  人事:延与、牧島両主任研究員が着任。理論研究室人事進行中。現存の加速器  施設の運営を担ってきた理研加速器研究施設(RARF)とRIBF計画推進室とを統合  した組織としてRIBF計画推進本部が発足。本部長:小川理事、技術相談役:石原。  アジア連係大学院(北京大学、ハノイ大学、清華大学(台湾)、カセサート大学、  釜山大学)発足。理研研究者がアジアの連係大学の客員教授等になり大学院生  を選考、研究指導、博士審査を行う。大学院生は理研に滞在し研究をする。  学生数:各大学より1ー2名。 3:各グループ報告 ● 理論関係報告(報告者:二宮)  議長:川野輝彦(東大)、副議長:堀内 昶(京大)  功労賞:中村誠太郎氏 ● CRC 関係(報告者:村木)  委員長;坂田  宇宙線国際会議(2003年7月末)に対する学術会議の支援:不採択  第一回若手奨励賞:奥村、竹田  65歳以上の会員をOG ないしOB会員とする。CRC実行委員会委員の年令上限を  63歳とする事を検討中。  大形計画と大学の関係について議論。大学連合で新しいプロジェクトを考える。 ● 高エネルギー(報告者:駒宮)  JLC推進の議論、統合計画への対応等を議論。  Pion のでるKEK PS テストビームは重要。存続するように努力。  若手奨励章を秋の学会で授与。  学力低下に対する対策を検討。 ● 核談(報告者:今井)  統合計画、RIBFの建設許可。communityは、この完成と最大限の成果をあげる  ことに取り組む。  大施設と各大学との新しい関係を模索すべくworking groupを立ち上げた。  米国NSAC の長期計画検討会で日本の核物理計画を報告。加速器の規模が大き  くなり、原子核分野も国際分担が強く意識されるようになってきている。  米国からの上記2計画への参加を要請。  物理学会の核物理分野は今年10月17日-21日にハワイで日米合同で学会を開催。  また原子核国際会議を2004年に日本に誘致する予定。 4:国際交流報告 ● IUPAP(報告者:山田)  各commission 報告と議論。2つの working groupの報告。  Women in Physics(福山)の報告。会議をセルンで開く。アンケートに物理、  応物学会の68名から返答。次回のパリでの会議のために財政支援の必要あり。  (学術会議自体には海外での国際会議を支援する方策がない。)(資料4参照)  Communication in Physics(潮田)の報告。electric publication 等について  議論。IUPAP Home page に情報あり。知的所有権の問題にも関連し、アメリカ  が戦略的に情報を確保しようとしている様子が窺えるので、WGでは日欧が、  安全性を高めるためにもそれぞれにミラーサイトを置くよう主張。 ● ICFA (報告者:駒宮)  別紙6に基づき議論。Global Acceleator Network (GAN)について議論。  加速器の建設はこのような形態では不可能か? 2つのTASK FORCE が作業中。  TRC(International Linear Collider Technical Review Committee)で 世界  のLCの技術評価が始まる。ICFAとは直接関係ないが、GSF ( OECD Global  Science Forum)でも HEP の consultative group を作って大きな加速器計画  のあり方を検討中。 ● ACFA (報告者:黒川)  ACFA(Asian Committee for Future Accelerators) (前回、韓国の慶州で昨年  の5月に開催)今年の会議は、9月に北京で開催されるAPAC2001の期間中に開  かれる。日本の委員は、岩田(KEK)、黒川(KEK)、藤井(東大物性研)の3名。  前回の会議にて、新たに大強度陽子加速器に関するワーキンググループが発足  し、第1回のワークショップが今年の2月に韓国のKAERI(韓国原子力研究所)  で開催。ACFAもとには、これ以外に、3つのWorking group がある。(1) LCの  物理と測定器、(2)アジア地域におけるネットワーキング、(3)アジア地域にお  ける加速器カタログ作成  (1)については、昨年10月に北京の精華大学にてワークショップが開催。又、  現在、LC加速器ワーキンググループ結成の準備が進んでおり、APAC2001期間中  に準備会を開き、ACFAにて承認を求める予定。 ● ICNP(報告者:永宮)  OECD Global Science Forum において大強度陽子加速器の世界的な戦略につい  ての議論がなされた。 この最終報告書は、昨年11月に出版された。 ● PaNAGIC (報告者:戸塚)  PaNAGIC: Particle and Nuclear Astrophysics Gravitational International  Committee; IUPAP C4が幹事となり、C11, c12, C19と共同して、非加速器物理、  高エネルギー、宇宙ガンマ線、宇宙線特に最高エネルギー宇宙線、ニュートリ  ノ物理、重力波観測等の推進、大型プロジェクトの整理に関する検討を行うワ  ーキンググループ。 4回の会合が持たれ、PaNAGIC web citeの立ち上げ  (http://www.lngs.infn.it/)、関連研究領域を説明するレポートの作成、また  関連する研究を行っている機関の紹介及びlinkをweb pageに作成。 (web cite  から download可能)。 PaNAGICはTAUP (Topical Aspects of Underground and   Particle Astrophysics) 及び Amaldi Conferenceをスポンサーする。  また若手学生、研究のためのスクールをスポンサーすることを考慮中。  PaNAGICの下に2つのsubcommitteeを持つ:HENAP (High Energy Neutrino  Astronomy Panel)及びGWIC (Gravitational Wave International Committee)。  HENAPは世界にいくつかある超高エネルギー宇宙ニュートリノ観測計画をレビュ  ーし何らかの提言を行う。9月のTAUP2001 conference中にミーティングを持つ。 5:審議  5:審議  5ー1)将来計画  ● 統合計画:資料5を元に議論。 第1期:30GeV 、第2期は電力増強で50GeV にする。Neutrino は第2期。 第2期建設は、第1期出発から2ー3年遅れで着手したい。建設体制の組織案 をつくている。本文中、プロジェクトに関わる仕様、予算配分の決定を「プロ ジェクトチーム」が行うに変更。 人事は別の機関で。 運営会議(両研究機関 の責任者で構成)は重要事項を決定する。大型予算を使うので、他の計画に どの程度の影響があるのか? 750億のKEKへの経費は特別会計を頼っているが、 それでは足りないので一般会計からの算入などの工夫がいるであろう。また、 これからの大型計画は、総合科学技術会議のサポートがないとむずかしい。 第2期以降の議論を物研連でも始めて欲しい。  ● 統合計画運営体制タスクフォース中間報告 統合計画の施設完成後の運営体制について、タスクフォースで検討。3月の 推進会議に中間報告という形でこれまでの議論のまとめを報告(資料配付)。  特に利用体制について、いくつかの重要な原則をまとめ、産業界の利用促進に ついても報告。 推進会議では、組織の在り方にふみこんだ提案をするべきで あるなどのいくつかのcommentがあり、今後も最終報告の答申にむけタスクフ ォースを継続することになった。意見のある方は今井(またはメンバー)まで。  ● JLC計画:資料6を元に議論。 JLCは日本の高エネルギー物理の次期基幹計画であり、基礎科学の幹になる計画。 KEKには、JLC推進の新しい体制ができた。LC推進会議で加速器開発の報告会の まとめ作る。 TESLA(3500億)、JLCの経費見積もりはまだ。JLCのMile-stone は新推進 体制で作る。2003年までに調査費要求。Siteの予備調査は安定な岩盤を仮定 して行なった。 Siteの条件をサイト検討会がまとめている。アメリカではLC が 次期計画であるというConsensus はまだない。 アジアの「セルン」にしたい。但しアジア諸国がどの程度財政負担をするかは 不明。 JLCの重要なコンポーネントのアジアでの量産は可能だろう。 今後JLCに 関して行政の理解を得る努力をする。 TESLAはXFELをプロジェクトに組み込んで いるが、LCの技術を利用してLCとは別に建設したほうが安価でかつ速くできる。 勿論、JLCが出来れば高エネルギービームを利用して近くにXFEL建設が可能。    5ー2)共同利用問題 上の報告にあったように統合計画の共同利用、運営体制については、 タスク フォースが検討中。   原研の共同利用(報告者:今井) 運営体制についての タスクフォース(資料1参照)が検討中。 SPring 8、放医研、理研、核物理センター、宇宙線研の共同利用(報告者:土岐) これまで文部省傘下の共同利用研究機関における共同利用のための旅費・実験 費などは研究機関がサポートしていた。 今後、文部科学省になったことや、 統合計画のこともあり、これまで科技庁傘下の共同利用はどの様に行われてい るのかを調べた。 要約すると、実験装置の利用は結果を公開するとすれば経 費を取らない。 旅費・実験費は共同利用の概念がない場合には共同研究の形 をとるなどの工夫をしてでも研究機関でサポートしている。それぞれ課題採択 委員会で議論をして共同利用の課題採択している。  5ー3)独法化について:一般的問題については次回に議論 共同利用に関係して、佐藤委員から次のような指摘があった。 独法化に伴い、今後、一部の科研費については、研究費の30%相当をオーバー ヘッドとして上乗せし、大学の運営に当てることになった。その結果研究費を 大学に持って来れる研究が幅を利かすことになろう。ことに独法化で大学間の 競争が前面に出ると一層そうなろう。 現在のKEKの様な大型計画に共同利用で 参加する場合に、研究費が研究所にのみおりると、大学には予算的メリットが なく、共同利用者の学内での立場は弱くなる恐れがある。 共同利用の際に何か旨い手を考える必要があるかもしれない。 この件で、KEK 等の共同利用研究所の所長が、まず問題を整理して欲しいとい う提案があった。  5ー4)研連定数の見直しについて。 第4部会において、第17期からの引き継ぎ事項として、研連の見直しが検討 されている。昨年12月25日の理学総合連絡会議では、空き研連を作り、その時 期の重要課題を時限研連で検討できるようにするため、研連の統合、委員数の 一律 (10%程度) 削減などを各研連で検討することになった。これについての 議論は全体会議で。  5ー5)65歳定年と研究の進め方は次回以降に議論する。