平成11年度第1回CRC実行委員会議事要録 日時:平成11年7月17日、11:00〜17:00 場所:素核研田無 第一会議室 出席者:坂田通徳(委員長)、太田周、梶田隆章、川上三郎、神田展行、佐々木真人、 鳥居祥二、松岡勝、柳田昭平、吉井尚(以上委員)、 戸塚洋二(宇宙線研究所所長)、木舟正(空気シャワー部)、大橋正健(重力波) (以上依頼出席者)、林田直明(事務局);(敬称略) 報告 : CRC、宇宙線研究所、核専委、KEK、理研、STE、核物理センター、 議題: 1.新入会員・退会者の承認について 2. 共同利用運営委員会委員候補の推薦   3.CRCの今後の活動について (a) CRC実行委員会とその運営     (b) CRCの事務について(事務局、会計)   4.CRC関連大学の活性化について   5. 次々期宇宙線将来計画に向けて 6. 2005年宇宙線国際会議   7.秋の学会のCRC総会では何を主題にするか?   8. その他 (例えば 「CRC賞」 の創設)   ****************************************************** 報告1. 事務局報告(林田) (a) 平成11年度CRC選挙の結果 開 票 日 ; 1999年4月9日(月) 事 務 局 ; 大西宗博、林田直明 立 会 人 ; 宇津木敏人(埼玉大) 定 足 数 ; 99 (有権者数 295) 有効投票数; 105 (郵便 46, Email 59) --------------------------------------------------------------- [ CRC実行委員会委員長 ] 順位 氏 名 得票 所属機関 備 考 1. 坂田通徳 44 甲南大 次点 村木 綏 17 名古屋大 その他 36 白 票 8 以上の結果、坂田 通徳 氏が委員長に選ばれた。 --------------------------------------------------------------- [ CRC実行委員会委員 ] (定員12名) 順位 氏 名 得票 所属機関 備 考 1. 村木 綏 55 名古屋大 前委員 2. 太田 周 49 宇都宮大 前委員長 3. 鳥居祥二 44 神奈川大 4. 松岡 勝 42 宇宙開発事業団 前委員 5. 柳田昭平 40 茨城大 前委員 6. 川上三郎 29 大阪市大 7. 梶田隆章 28 宇宙線研 8. 柴田 徹 26 青学大 前委員 9. 佐々木真人 18 宇宙線研 手嶋政廣 17 宇宙線研 同一機関3位 10. 吉井 尚 16 愛媛大 11. 神田展行 14 宮城教育大 前委員 12. 川村静児 11 天文台 坂田通徳 11 甲南大 新委員長 倉又秀一 11 弘前大 前委員7位 水谷興平 10 埼玉大 前委員8位 次点 長谷部信行 10 早稲田大 次点 南條宏肇 10 弘前大 その他 185 白 票 66 以上の結果、上記の12名が委員に選ばれた。 (注1) 委員長に投票された次点以下の方の票は、委員の票に加算される。 (注2) 「同一機関から選ばれる委員の数は、2名を越えることはできない」規定 により、宇宙線研の手嶋政廣氏は同一機関3位であり、委員とならない。 (注3) 「委員12名中前年度委員が6名を越えることはできない」規定により、 前委員7位の倉又秀一氏と、前委員8位の水谷興平氏は委員とならない。 ----------------------------------------------------------------------- [ 東京大学宇宙線研究所 共同利用研究実施専門委員会委員 ] (宇宙線分野の所外委員)推薦候補者 (定員12名) 順位 氏 名 得票 所属機関 備 考 1. 松原 豊 35 名古屋大 2. 鳥居祥二 26 神奈川大 3. 宗像一起 25 信州大 4. 梶野文義 22 甲南大 5. 水谷興平 21 埼玉大 6. 倉又秀一 18 弘前大 7. 堀田直己 14 宇都宮大 7. 田阪茂樹 14 岐阜大 7. 櫻井敬久 14 山形大 10. 村木 綏 12 名古屋大 11. 神田展行 10 宮城教育大 メールジャンケン勝者 11. 柴田 徹 10 青学大 メールジャンケン勝者 次点 柳田昭平 10 茨城大 メールジャンケン負者 次点 林 嘉夫 10 大阪市立大 メールジャンケン負者 その他 161 白 票 84 以上の結果、上記の12名の方が、候補者として推薦されることになった。 (注1) 「被推薦委員候補者は、得票順位により12名とする。尚、12番目の得票が 同票の場合は、本人に連絡のうえ、くじ引きにより決定する」規定により 、メールジャンケンを実施して勝者を当選者としました。 (注2) 上記の結果は、「所外委員は、同一機関からの選出を2名以内とする」の 制限内にある。 (注3) この12名の中から分野を考慮して8名が委員に委嘱される。 ----------------------------------------------------------------------- ○新委員紹介 以上の報告に基づき、今年度実行委員の確認もかねて、各新委員の自己紹介を 行なった。 (b) 御逝去 ○ 6月11日、理化学研究所、河野毅様が御逝去されました。 弔電をお送りしました。 ○ 6月16日、元埼玉大、俣野恒夫様が御逝去されました。 弔電をお送りしました。 ○ 6月26日、元名古屋大、上野裕幸様が御逝去されました。 弔電をお送りしました。 謹んで3人の先生方の御冥福をお祈り致します。 (c) 事務局業務 1) 4月9日、CRC選挙の開票集計。 4月28日、選挙結果のお知らせメール配信。 2) 6月18日、「会費のお知らせ」を滞納会員(206名)に郵送。 6月22日、「会費のお知らせ」を全メール会員に配信。 3) 随時、「CRC News」のメールを配信。 ○ 委員会報告4件; 4/25;KEK運営協議会、5/13;物研連関係、 7/15;RCNP運営委、7/15;KEK運営協議会 ○ 公募案内5件; 4/25;大阪市立大助手、4/28;横浜国立大助手、 6/2;東工大助教授、7/2;阪大原子核実験施設教授、 7/8;東工大助手 ○ 研究会案内; 7/9;ニュートリノビーム技術ワークショップ これらの詳細は、CRC homepage の「速報」に掲載してあります。 ○ その他、5/10;「移動・入退会された会員リスト」のお知らせ、 5/24,7/6;「homepageの会員名簿の更新」のお知らせ など。 報告2. 宇宙線研究所報告(戸塚) (a) 今年度は、所の員等旅費の算定基準が変更になったために厳しい状況になって いる。復活の努力をしている。 (b) 人事;CONGAROOに助教授1名、ニュートリノセンターに助教授、教授各1名を 次の教授会で決める予定。 (c) 東大の停年延長について議論され始めている。 (d) 東大の独立行政法人化について、体制検討会が設置され議論が始まった。 (e) 国際会議、サマースクールなどを独自に持つ、PaNAGIC(地下実験関連会議)が できて、9月5日にパリで会議を行なう。 (f) 平成12年度概算要求は、宇宙線望遠鏡計画に重点を置いている。 報告3. 宇宙線研究所 研究計画報告 (a) CANGAROO実験(木舟) 科研費特定(重点)領域(平成6-10年度)により建設した口径7m望遠鏡が完成し (CANGAROO II)観測を開始した。開発中のプラスチック鏡を使用し、点光源(星を 追尾しCCDで検出)で 0.15度(FWHM)の精度の像を得た。総計60枚の鏡は各々に付 けたモーターの遠隔制御で姿勢を調整できる。カメラは 512本の PMTから成り直 径3度の視野である。1つのPMTは 0.15度x0.15度の視野を有し、光量と到達時間 を記録する。チェレンコフ像のデータにはその時間構造が現れており、望遠鏡近 傍を通過するミューオンのリング状の像も観測されている。これらの基礎データ から望遠鏡の性能を評価する解析作業も並行して行なわれている。 超高エネルギーガンマ線研究拠点の設置が科研費COE拠点形成プログラムに より発足した(平成11年度から5年間)。この結果、口径10mの望遠鏡を4台設置し ステレオ観測を行なう CANGAROO III の実現が可能となった。平成11年度に7m望 遠鏡を拡充し、平成12年度初めから10m望遠鏡の観測が可能となる。平成13年度 から毎年1台ずつ10m望遠鏡を観測に加えていく。10m望遠鏡のステレオ観測が平 成13年度から開始するこのスケジュールは VERITAS(10mx7台;米)、HESS(10mx16 台;独)、MAGIC(17m;独)等の次世代観測鏡の観測開始の先端を切ることができ るものと期待している。 (b) 神岡実験(梶田) (1) スーパーカミオカンデ データ収集は順調に進んでいる。今までに解析したデータは、太陽ニュー トリノ825日、大気ニュートリノ848日、上向きミューオン900日強。 大気ニュートリノを使ったニュートリノ振動の証拠は益々強くなっている。 太陽ニュートリノは、エネルギー分布が前より少し平らになった。一方、昼と 夜のフラックスの違いが2シグマレベル。--> ニュートリノ2000国際会議に向 け更にデータの質・量とも改善の努力中。 (2) K2K 3月から始まった実験は、6月になり定常運転になり、約20日定常状態で データを取った。スーパーカミオカンデで K2Kニュートリノイベントの観測。 次のランは11月から約半年間。 (c) チベット実験(坂田) Tibetのシステムは0.5m^2の検出器により、3TeVアレイ(7.5m間隔)の約 5,000m^2と10TeVアレイ(15m間隔)の約40,000m^2を構成している。1999年秋から はこの10TeVアレイの検出器を増強を開始し、最終的には全面的に3TeVアレイに 変換する(有効面積は8倍以上になる)。Tibet では高い観測高度で、精密に空気 シャワーの入射角度等の諸量を決定をしてきた結果、3TeVの空気シャワーを0.9 度の精度で観測するなど 地上アレイによる空気シャワー観測の概念的刷新を果 たすことができた。この結果、カニ星雲とMkn501からVHE-gammaを検出し、3TeV 〜10TeVガンマ線 spectrumを得た(投稿中)。その他、Tibetグループの成果は COSMOSの構築、月/太陽の影による新研究分野、Knee前後の宇宙線スペクトルの 決定版等々がある。今後は巨大面積の3TeVアレイによりSNR、AGN,未知線源等の ガンマ線源の検出、宇宙線エネルギースペクトルの精密化、太陽中性子検出器 による太陽高エネルギー現象の研究などが開かれていくだろう。また新しい Tibetのシステムは、3TeV領域でGRBを検出するかも知れない。この様にTibetの システムは宇宙線科学にとって極めて興味のある実験の1つに成長しているので はないか。 (d) 宇宙線望遠鏡計画(佐々木) ユタ州の砂漠に3m径反射望遠鏡40台からなる検出器を 30km間隔で10基作り、 内8基を日本が責任を持つという設計にて総額約64億円の平成12年度概算要求を 出した。試験開発は、サイト&構造体、光学&ミラー、大気モニター、シミュレ ーション、エレキ&トリガー&DAQ の各サブグループで分担して行っている。 今回は佐々木が担当するグループの活動を紹介する。PreAmpの精度、linearity テストの結果は順調であり、次に16bit精度を狙う。逐次電荷積分器(CSI)はハイ ブリッドタイプのサブカードができた。カスタムVLSIによるCSIのプロトタイプ 設計も完成し、その製作チップは7月中には配布され実回路テストが開始される。 ADC-DSPによる信号認識回路も測定用プロトタイプが完成し、CSI-ハイブリッド と組み合わせ、AD変換後DSP内部への格納、VMEへの送り出し等の基礎テストは終 った。現在64ch分を明野プロトタイプ望遠鏡に実装して、YAGレーザ参照光を撮 像し、感度や精度のテストを行う。エレキやPMTの較正や電源モニターのための スローコントロール系の開発も目処が立った。アルミ酸化イットリウムと500Bq- Amを組合わせた小型パルサーが試作され、FWHM5%のresolutionと0.4%/Kの温度 安定性を持つ電荷較正用光源ができた。それをカメラ前面のXYステージで走査し 2次元ゲインマップの取れるシステムを開発し、明野プロトタイプ望遠鏡へ実装 し順調に動いている。月光下での観測を目指して、PMT毎に電流制御を行い14bit 精度で監視制御が可能な高圧電源装置がこの夏には出来る。ch単価3000円が目標 である。DAQのためのVME/PCI変換アダプター、PC間のネットワーク装置が明野に 装備され、バックエンドDAQの準備も整いつつある。トリガー決定用のトラック 認識回路プロトタイプの設計も終え、9月には完成予定である。 (e) 重力波検出計画(大橋) 重力波将来計画LCGTの準備として、 (1)低温レーザー干渉計プロトタイプの建設(柏キャンパス) (2)20mレーザー干渉計の長時間観測と解析のR&D(神岡鉱山) の2つを進めている。(1)については、サファイアの低温でのQ値や熱伝導の 測定を終了しており、現在はファブリーペロー光共振器を冷却する実験を行って いる。これまでに、低温にすることによってミラーは劣化(ガス分子の吸着)しな いこと、たとえ吸着しても温度を上げて、再冷却すれば大丈夫であることが確認 されている。また、(2)については、現地の掘削工事が終了して、いよいよ真 空タンクの移設の作業に着手する段階まで来ている。9月中に移設は終了し、来 年初頭からは観測体制をとりたい。以上、2つの研究が順調に進行している。 報告4. 物研連、KEK、阪大核物理センター報告(文書による報告、村木) 物研連;5月6,7日、 (詳細は 5/13の CRC Newsメールまたは CRC homepage;速報-33を参照) ○ 学術会議の改革問題(総務省設置の話)の報告。 ○ 科研費について(1)    科研費の基盤研究や奨励研究の取扱が文部省から日本学術振興会(JSPS)に 移管されたのを機に、科研費審査委員の倍増が JSPS側から日本学術会議にな された。日本学術会議は旧来審査委員の選考は各学会に依頼していた経緯が ある。(物理の分野では物理学会の理事会が決めていた)しかし今回、結晶研 連から結晶学会関係の審査委員を推薦したいという要望があり、物研連とし ても審議したが、平成12年度、科研費審査委員の回答を7月末に研連委から 学術会議事務局へ候補者名簿を回答する必要があり、時間的余裕がないので 今回は旧来通りにすることになった。   ○ 科研費について(2)    核専委では選考方法についても議論した。  (A)案:今まで通り物理学会の理事会で決める。この案に対しては、13人もの 推薦を少数の理事で決めるのは、負担が大き過ぎると言う意見が出た。  (B)案:核専委で決める。各分野の代表で議論する場としてはよいが、少なく とも1年間はレフリーは名前を公表しないことになっているので、その秘 密が保てないのではないか。  (C)案:学会の理事と各分野の代表で決める。11月(次回)までに決める。 ○ 物理教育に関する小委員会が設置された。(委員に村木) 素粒子原子核研究所運営協議会 (KEK); 4月22日、(詳細は 4/25の CRC Newsメールまたは CRC homepage;速報-29を参照) ○ 独立行政法人への移行について、試案が検討された。 ○ 機構運営協議員に、荒船氏を推薦した。 6月10日、(詳細は 7/15の CRC Newsメールまたは CRC homepage;速報-40を参照) ○ BELLEが動き始め、ルミノシティを上げる努力をしている。 大阪大学核物理研究センター (RCNP);5月29日、 ○ 永井センター長就任の挨拶があった。 (詳細は 7/15の CRC Newsメールまたは CRC homepage;速報-39を参照) 報告5. 理研(松岡) ○ 阪大と共同で NASDA-理研ー阪大の宇宙ステーションのプロジェクトの一つと して、全天X線モニターが走り出した。 ○ 宇宙ステーションを利用した研究のための環境ができつつある。 また、地上テスト研究の募集もあり、応募することをお勧めしたい。 ○宇宙環境利用のための組織などについて、本日将来計画関係の所で紹介する。 ****************************************************** 議事 議題1. 新入会員 福島正己氏(東大宇宙線研 教授) (推薦者:手嶋政弘、佐々木真人) (研究歴): 1978-84; DESY の Mark-J実験に、1984-91; CERN の L3実験に、1991-99; KEK の BELLE実験に従事。 現在、宇宙線望遠鏡計画の責任者として実現に向けて活動。 寺本吉輝氏(大阪市大理 助教授) (推薦者:高橋保、中川道夫) (研究歴): 宇宙線研のミュートロン実験に従事。 その後、BNL,KEKで高エネルギー物理実験を。 現在、BELLE実験、三石でのエヤーシャワー解析に従事。 研究歴が紹介され、入会が承認された。 (尚、今回は退会通知者は無かった) 議題2.宇宙線研共同利用運営委員会委員候補者の推薦 今回は実行委員会委員の上位得票者5名の、坂田通徳、村木綏、太田周、 鳥居祥二、松岡勝を推薦する。任期は9月から2年間。 議題3. CRCの今後の活動について (a) CRCの事務について 宇宙線研で事務的にできる業務と、他の大学ができるものとの作業区分を 具体的に検討して、次回までに事務局に提案してもらうことになった。 (b) 名誉会員制度(仮称)について 「会費免除可能で、CRC関連情報を受ける会員」とするか? 名称をどうするか、実行委員会で決めるか、年齢で決めるか? 選挙権はどうするか?などを次回までに検討することになった。 (c) 実行委員会の年齢構成について ある程度の割合で、若い人が構成メンバーに入る方か望ましいので、 ○ 例えば、選挙の投票の際、または得票数集計の際に年齢を考慮するか? ○ 何才を境目とするかはいろいろ判断の分かれる所である。 ○ 毎年会員の年齢を発表するのも難しい。 ○ 例えば、投票者が6名連記のうち少なくとも2人を「**才以下と判断される人 」の名前を書く様にするというのが現実的であるかも知れない。 以上の工夫がなされた具体案を次回までに検討することになった。 議題4. CRC関連大学の活性化について ○ (委員長); この問題は、各大学が、共同利用研をどの様に「共同利用」するか?が ポイントである。その活用の程度で以下の様なパターンに分けることができる。 A. 宇宙線研を拠点とする、共同の大規模プロジェクト。 B. 宇宙線研を中心とする計画。 C. 宇宙線研の施設を利用し、主体を各大学におく計画。 D. 各大学が主体となって進める計画。 E. 他の機関と協力して進める計画。 F. 各大学や研究機関だけで独自に進める計画。 これらも参考にして、大学の活性化について積極的な議論をお願いしたい。 ○ 計画を科研費などの予算の種類で分ける見方もある。 ○ 各大学から共同利用研を見たら、予算の面で頼りになる拠点である。 ○ 例えば TA計画に、CRC以外の分野(高エ,天文,宇宙など)の研究者がどの程度かか わっているのか?できるだけ開放的な体制作りが大切である。 ○ 共同利用研の大規模計画の中に、各大学の活性化の方向を位置付けておくべきだ。 ○ 各大学は中央の大規模計画に参加することでしか研究ができない時代になってい る。科研費の配分結果をみると大計画は大大学のみで通っている。 ○ 一方では中央の計画でやっている場合、関連研究者間の評価ばかりでなく、大学 内での評価も切実な問題である。 ○ 計画のR&Dの時は共同で研究作業を分担していたが、運転、解析の時になると、 大装置のそばに居る所員と各大学の人々との間に差が出てくる。 ○ 共同利用の「活用方針」を形骸化させない様にする必要がある。 ○ 各地方大学毎、研究グループ毎に問題を出し合って、共通項を見つけてみては? ○ 1つの大目標1本だけでは、共同利用者には活用しにくい。 ○ 地方大学の方が科研費を取り難いと言う分析は科学的ではない。宇宙線研は大規 模な組織ではない。各大学でもそれなりの努力が必要である。 ○ (委員長);次の総会で、各プロジェクト、各大学からパネラーを出してもらって、 各々問題提起をしてもらってはどうか。 議題5. 次々期宇宙線将来計画に向けて 松岡委員と鳥居委員からNASDAの最近の状況についての紹介がなされ、 宇宙環境利用も含めた宇宙線研究計画の重要性が認識された。 (a) NASDA(松岡) 宇宙開発事業団(NASDA)の宇宙環境利用の体制について。    宇宙開発事業団では全国の研究者に開かれた組織ができつつある。その1つ に、近い将来 JEM で実験する予定で、当面その基礎研究を地上で準備する研究 計画を推進支援するための「公募型地上基礎研究」が毎年公募を行なっている。 分野は広いため、(財)日本宇宙フォーラムの Webを見て応募頂きたい。   一方、宇宙ステーションの JEM の曝露部を利用する計画が4つ走っている。 これは2005年度頃までのものであり、来年度末頃には2006年度以降の計画(搭載 機器)を公募する予定。現在採択され準備中の JEM曝露部利用研究(1.全天X線監 視ミッション、2.光通信実験 3.サブミリ波サウンド実験、4.宇宙環境計測)の 次に搭載されることになる。宇宙線の観測のためにもっと JEN曝露部の利用を考 えて頂きたい。また、その前に上述の公募型地上基礎研究のシステムに応募し利 用して頂きたい。 (b) JEM計画(鳥居) 第21回宇宙ステーション利用計画ワークショップが、科学技術庁(STA)とNASDA の主催で、6月29〜7月1日の3日間開催された。7月1日は特に日本実験モジュール 暴露部(JEM/EF)利用の宇宙科学および地球科学に関する日米欧研究者の経験交換 会と討論会が行なわれた。宇宙線関係では米国からVernon Jones, Martin Israel 各氏が、日本からは松岡勝、槙野文命の各氏と鳥居祥二がパネラーとして参加し た。そこでは NASDAから中期(2006年)以降の「宇宙科学戦略」が提案され、その 候補として宇宙ステーションの特徴、研究実績、NASDA利用研究の展開を考慮し、 当面重点的に推進する研究領域として ・「モニター天文学」 ・「高エネルギー宇宙線観測」 が提案された。前者では X線やガンマ線の全天サーベィが、後者は TeV領域の電 子や PeV以上の陽子、原子核成分の観測が候補として示された。これらの実現に は、宇宙科学研、天文台、宇宙線研、理化学研などとの連携が必要との判断も示 された。更に、国際共同や暴露部の有効利用について議論を進める必要から、国 際的ワーキング・グループの形成が提案された。 以上の情勢を踏まえ、宇宙線観測の実現にむけて宇宙線コミュニティーでの早 急な議論が望まれる。また当面は、宇宙線分野でこの宇宙ステーション計画につ いての広報活動が必要であると考えている。 議題6. 2005年宇宙線国際会議 1979年に京都で開催して以来、20年経ている。そろそろ日本開催を引き受 ける時期であろう。2003年または2005年に名古屋大学(村木氏)が引き受ける なら、その線でCRCとしては開催に取り組むということを確認をした。 議題7. 秋の学会 9月23日午後;特別講演:最近の観測的宇宙論から (福来正孝) 9月24日午後;宇宙線シンポジウム-I:宇宙線研究将来計画の進捗状況と今後 1. CANGAROO III (木舟 正) 2. Telescope Array 計画 (福島正己) 3. 重力波検出計画 (黒田和明) 9月24日午後;宇宙線シンポジウム-II:世界における最近の宇宙線研究計画 1. スペースにおける宇宙線観測の現状と将来 (鳥居祥二) 2. OWL 計画 (高橋義幸) 3. 外国のチェレンコフ望遠鏡計画 (森 正樹) 議題8. CRC主催の表彰制度 多くの会員からCRCでも表彰制度を創ったらどうかとの意見が出されている。 どの様な形にするか佐々木委員が原案を作ることになった。