平成10年度CRC拡大実行委員会議事要録 日 時: 平成10年12月29日(火)、13:30 - 17:00 場 所: 素核研田無分室 第1会議室 出席者: 太田 周(委員長)、倉又秀一、坂田通徳、柴田 徹、手嶋政廣、松岡 勝、 水谷興平、宗像一起、村木 綏、柳田昭平(以上委員)、梶田隆章、木舟正、 黒田和明、佐々木真人、鈴木洋一郎、鳥居祥二、岬暁夫、湯田利典(以上 依頼出席者)、林田直明(事務局) [ 報 告 ] 1.宇宙線将来計画と研究の活性化について (委員長); 「CRC関連大学の活性化」について、実行委員会として検討を重ねてきた。そのま とめを秋田の学会において総会で紹介し会員の意見を頂いた。今回は,宇宙線研の スタッフの方々にもメールでご意見を頂いた。また戸塚所長からは (a)小規模研究を実施する意義?(b)各大学で宇宙線研究室がなくなっている原因? について議論をしてもらいたいと要請されている。これらを踏まえて研究計画の具 体的な紹介も頂きながら研究環境の「活性化」についてご意見を頂きたい。 尚、「活性化」について宇宙線研スタッフから頂いたアンケートを資料として参考 にしてほしい。(後述資料参照) 2.研究計画報告   宇宙線研究所を中心とした計画として進められている重力波望遠鏡計画(黒田), CANGAROO計画(木舟),宇宙線望遠鏡計画(手嶋),Tibet宇宙線観測計画(湯田)の各 グループの代表者に計画の現状と今後の方針,研究組織などについてお話し頂い た。 3.その他の報告 a) (湯田);Tibet実験の国際学術共同研究予算が科研費に移された。 b) (手嶋);物研連、天文研連主催で日本学術会議50周年記念シンポジウム (題;我が国における宇宙線分野の将来計画)が3月2日に日本学術会 議講堂で行われる。 c) (柴田);来年度(平成11年度)は4機のフライトを計画しており、一応この フライトをもって現在の方式による宇宙線観測は終了する。このフラ イトにより、平成7年度からの全チェンバー数(1チェンバーは 40cm x 50cm) は20に達するので、ここ数年はこれらの解析に集中する。 将来は、衛星、宇宙ステーションを視野にいれた観測方式を開発して いきたい。ロシア側は、宇宙ステーションでのモジュールを独自に確保 しているので、それらを有効に活用するための話し合いが始まっている。 d) (鳥居);米国では、スペースステーションにおける宇宙線観測計画が作成され ており、すでに搭載の決まったAMSに加えて、ACCESS、ECCO の開発研 究が認められている。更に、NASAのHQであるJones氏の案としてJEMで の電子観測の計画であるECALの共同提案や、超大シャワー観測のGZKの 計画もある。 e) (岬) ;バイカル湖で、超高エネルギー・ニュートリノ天文学を進めている。 f) (黒田);平成12年1月〜3月に、柏への移転が実施される。 4.意見交換 ○ 地方大学の研究者を含む研究グループが活力をもって研究をすすめるためには, 研究計画の立案,実施,研究成果の取りまとめ等に,各大学を含む研究者が参加意 識をもって取り組める態勢が必要ではないか。TA計画を進めるためにコラボレーシ ョン・ボードが起動するということであるが,他の計画においても意識的にその様 な組織をつくり計画の実現をはかるべきだ。 ○ 体制的な面では,「分室」的な保証がないと研究を分担して仕事をすることが難 しい。他分野,特に物性関係などからみると共同利用研に奉仕しているとという評 価しかない。地方大学で責任分担して,これは我が大学の寄与である,という様な 成果が明確に評価できる様にならないと大型計画への参加は困難になる。 ○ 文部省の予算措置が変わり,Tibet実験は科研費の特定領域(B)で研究を進める ことになった。研究組織は,総括班を置き,その他研究テーマごとに4つの計画研 究班で構成することになった。計画研究はそれぞれ研究代表者と研究分担者がおり, 予算の配分が行われ,それぞれのテーマに責任をもって研究を進める体制がとられ ている。この形は,いわば「分室」的ではないかと思われる。HERA,LHCなどの国際 共同研究も科研費となった。 ○ 「活性化」という言葉に抵抗感がある。地方大学私立大学はそれぞれ教育も行っ て行くので,体制的な環境整備は不可欠ではあるが,若手の育成や宇宙線物理学を 進めるアイデアを発掘していくことに基本的な「活性化」の道を求めるべきではな いか。それから,最近のγ線天文学にみるように,宇宙線CRCの枠を超えて,天 文や宇宙との交流も「活性化」にとって大切である。 ○ 飛翔体を用いた実験については,ロシア側から14乗領域の組成とスペクトルに ついて,スペース実験の共同研究の申し入れがある。この様な研究を宇宙線として どの様に取り組むべきか,議論の場が必ずしも保証されていない。 ○ 飛翔体を用いた宇宙線実験として,現在,AMS,ECCO,ECAL(e),GZK,ACCESSなど があるが,本格的な実験はこれらのいづれかに絞られようが,JEMの実験サイズでは 収まるものではなく米国との共同研究が不可欠となろう。議論をどのように進める のかについても必ずしも明確ではない。 ○ 概ね,以上のような意見交換が行われたが,時間が不足したので実行委員会とし ては総会などにおいて「活性化」について意見交換をお願いし,継続して検討す ることとした。