平成10年度第1回CRC総会議事要録 日 時: 平成10年10月4日(土)、17:20 - 19:00 場 所: 秋田大学 物理学会分科会 E会場 出席者: (五十音順、敬称略) 綾部俊二、荒船次郎、伊津耕平、井上邦雄、 宇津木敏人、大内達美、太田周、大橋陽三、奥村公宏、梶田隆章、 梶野文義、河辺征次、神田展行、木舟正、黒田和明、小汐由介、 小早川恵三、齋藤敏治、坂田通徳、佐々木真人、塩見昌司、鈴木洋一郎、 竹内康雄、戸塚洋二、中塚隆郎、中畑雅行、南條宏肇、西嶋恭司、林嘉夫、 林田直明、日比野欣也、福田善之、藤本和彦、増田公明、松岡勝、松原豊、 岬暁夫、水谷興平、三代木伸二、宗像一起、森正樹、安野志津子、 山本常夏、山本嘉昭、湯田利典、吉越貴紀、和田倶典 (以上47名) [ A.議長 ] 実行委員会から推薦された神田展行氏にお願いした。 [ B.報告 ] 1.事務局 (林田) 4月 6日、平成10年度CRC選挙開票 4月15日、CRC会員「所属名簿」と「連絡先名簿」をホームページに掲載。 4月16日、選挙結果の速報メールを配信、 非メール会員には郵送。 4月17日、「共同利用実施専門委員会議事要録」の速報メールを配信。 5月28日、「CRC実行委、CRC総会 議事要録」の速報メールを配信。 7月30日、「物理学会のホームページのお知らせ」をメール配信。 8月 8日、平成10年度第1回CRC実行委員会 9月30日、「CRC関連大学の活性化」の討論概要をメール配信。 10月 3日、平成10年度第2回CRC実行委員会 その他、随時 お知らせ事務連絡をメール配信した。 2.実行委員会 (太田) (1) 8月8日と10月3日に実行委員会を行ない、下記の入会者退会者を承認した。 (a) 入会者 宇津木 敏人 (埼玉大D1、チベットG、推薦者:水谷興平、堀田直己) 川村 静児 (国立天文台助教授、重力波G、推薦者:神田展行、藤本眞克) 亀田 純 (東大理D1、神岡G、推薦者: 戸塚洋二、梶田隆章) 櫻井 信之 (東大理D1、神岡G、推薦者: 戸塚洋二、中畑雅行) (b) 退会者 三島 靖 (愛媛大) 市原 永司 (神岡G) 杉原 雄 (神戸大) 町田 正治 (山梨大) 渡辺 善二郎(青森大) (2) 「CRC関連大学の活性化」について このことについて、昨年10月以来実行委員会などで議論を始めている。 坂田、村木両委員が世話人となり、意見を集約している。 (3) 事務局について 実行委員会としては、来年度の事務局も宇宙線研に依頼しており、検討し て頂いている。 3.宇宙線研 (戸塚) (1) 人事 井上邦雄氏が12月中旬、東北大助教授に異動する。これに伴う後任人事 として、助手を公募する。 (2) 乗鞍 観測所が台風の被害を受けた。幸い人や観測には影響なかったが、観測 棟屋根が破損したので緊急に修理を行なう。 (3) 平成11年度予算 15%経費削減は継続される。もう一段の削減はなくなったが、今後も削減 撤回の要求を行なう。但し、競争的研究資金の急成長が目に付く。11年度 の科研費、学振出資金は前年度比率で各々 +16.2%、+22.9% と増えている。 各大学における宇宙線研究の活性化のため、是非この競争的資金の獲得 に努力して頂きたい。 (4) 平成10年度共同利用研究の状況 (a) 施設等利用研究 申請件数 採択件数 研究者数 (延べ) 乗鞍観測所 8 8 101 明野観測所 5 5 109 エマルション実験用施設 4 4 60 田無微弱放射線研究施設 4 4 29 田無一次線共同利用機器 1 1 2 神岡地下観測所 19 19 149 +50(外国人) (b) 研究所と協力して行なう研究 申請件数 採択件数 研究者数 (延べ) 飛翔体、高山、地上 2 2 6 高エネルギー宇宙ガンマ線 2 1 14 科学組成、同位体測定 3 3 22 観測手段、装置の開発研究 5 2 49 理論的または萌芽的研究 2 2 3 研究会 4 3 84 海外特別事業 4 4 67 (5) 将来計画試験開発進渉状況; 順調に進んでいる。 (6) 柏移転状況 (黒田) 前回の総会で説明した柏建物の設計に基づく詳細設計による工事入札が終了 し、竹中工務店、三井建設、福田組の連合体が受注した。10月末には着工し、 平成12年1月に建物引き渡しの予定である。これに伴い、平成11年度中の移転 に向けて準備を進めている。建物および図書室への入退出は、カード式施錠と なる見込みである。 (7) 計算機導入状況 (湯田) 来年早々から宇宙線研の計算機システムが稼働する予定。システムは100TB のテープライブラリー、サーバーマシーン、CPUだけで構成されたデータ解析、 計算専用計算機群等で構成されている。計算機の運用規定等は計算機委員会を 中心に今年中に作成する予定。 4.KEK、阪大核物理センター(RCNP)、名大STE報告 (村木) (1) KEK報告 6月12日、運営協議会があり、平成11年度概算大綱案が了承された。また、 拡大高エネ委員会と運営協議会で任期制についての議論があった。 「KEKの独立法人化」の問題が急浮上してきた。 (2) RCNP報告 4回の核運委(4/28,6/1,7/28,9/28)が行なわれ、RCNPは如何にあるべきか? が議論され、それまでの原子核とは異なるイメージへ、RCNPは進み始めた。 その流れをくんで、センター長選考について議論され、先ず調査委員会が6名 の候補を選んだ。その報告を基に、availability、意欲などを考慮した結果、 永井泰樹氏(東工大)が選ばれた。 (3) STE研報告 所長選考委員会が開かれた。 国際太陽中性子望遠鏡ネットワークが完成した。 5.IUPAP報告 (荒船) (1) PANAGIC(宇宙物理・重力波・国際委員会)の発足 非加速器物理の将来計画を議論するため、C4に置かれてはいるが、C4, C11, C12, C19 から委員を出し、それ以外の委員も加え、現在Bettiniを議長とし て今後の小委員会のあり方を検討中である。 (2) IUPAP Meeting (1998.9.25-26, Vancowver) (a) Utahで開かれる ICRCに対して予算(15,000+6,000SF)が承認された。 (b) 次期(1999,Sep から3年間)委員として、T.Gaisserを議長とした新委員が IUPAPから推薦された。日本から戸塚氏が Memberに推薦された。 6.核専委、物研連報告 (湯田) 核専委(5月7日)では宇宙線将来計画について議論が行われた。当事者(オブザ ーバーとして参加)から計画内容等について説明があり、質疑応答が行われた。 今期の核専委は宇宙線、高エネルギーの将来計画を実現するよう支援していくこ とになっている。 物研連(5月8日)では、国際熱核融合実験炉(ITER)計画の内容、進捗状況を当事 者から聞くことにかなりの時間を使った。日本では原子力委員会のもとに工学設 計等基本計画の設定等の議論が行われている様であるが(92ー98年)、今後の進 め方についての合意が得られず3年間延期になったとのこと。 7.JEM計画 (松岡) (1) 「宇宙科学」の将来計画について現在、学審でWGをつくって議論されている。 この結論が、宇宙理学、工学に係る宇宙科学の将来のひとつの考え方を表明す ることになる。 ISASは、1998年7月に Planet-B(のぞみ)を打ち上げ、1年後に 火星に行く予定である。その他SAS 自身のプロジェクトとして Lunar-Aなど4 つの計画が予定されておるが、新たに月探査のSELENA計画は NASDA の H-II ロ ケットで打ち上げ NASDA + ISAS の共同プロジェクトの計画がある。 (2) JEM(宇宙ステーションによる日本実験モジュール)の現状 NASDA に宇宙環境利用研究システム/センターができ関係する研究者を外部 から招聘する制度が発足した。現在の研究チームは a) 宇宙環境利用研究(自主地上研究など4チーム)、 b) JEM利用研究(1.全天X線監視ミッション 2.光通信実験 3.サブミリ波サウンド実験 4.宇宙環境計測)、 更に NASDA では将来 JEM で観測や実験をするための「公募型地上基礎研究 」が年1回の公募を行っている。興味ある方は応募されることをお進めする。 8.物理学論文選集の企画について (村木) 物理学会刊行委員会から依頼され、実行委員会で議論した結果、宇宙線関係 の論文選集の企画を検討することになった。村木、柴田、柳田委員が世話人を している。10月12日の委員会で議論される。 [ C.宇宙線研究所研究計画・最近の進展 ] 1.重力波計画 (黒田) 低温鏡重力波望遠鏡(LCGT)計画のための開発が進展している。TAMAは実証的 な検出器として順調に開発が進み、予備的な出力のレーザーを導入した干渉計の 初の動作に成功した。平成11年4月には、10W出力のレーザー光を導入して、リサ イクリング無しのシステムで干渉計動作に突入する。世界の他のどこよりも早く 最高感度に到達する見込みである。また、ICRR-KEKの共同実験で、現在建設中、 計画中を問わず、世界で最高感度を達成出来る見込みのある、低温鏡技術の基礎 開発に成功した。それぞれ更に開発を進めるが、kmスケールの最終的な検出器 LCGTの建設にいつでも着手出来る状態となっている。 2.CANGAROO の現状と将来計画 (木舟) 7m 望遠鏡の設置を平成10年度中に行ない、11年度初頭から観測を開始する。 4台の大口径望遠鏡を実現する CANGAROO III への漸近的実現をはかりつつ、 7m 望遠鏡の観測をまもなく開始する。VERITAS や HESS, MAGIC など大型計画 がデータを提供するまでの数年間、北半球の 10m 口径 500 pixels の Whipple 望遠鏡と共に、超高エネルギーガンマ線をリードする状況を予想している。ガン マ線バーストやマグネター、ハイパノバなど宇宙の高エネルギー現象に、また 新しい兆しが見え始めている。最高エネルギー宇宙線源、重力波源、ニュートリ ノ源など、多様な天体についてガンマ線観測の寄与、果たす役割が増大している。 現有望遠鏡により (1) 高角度分解能 (2) 銀河中心付近の源の探査 (3) 大天頂 角観測での 100 TeV に迫る超高エネルギーガンマ線観測の実現、などの成果を 他に先駈けて CANGAROO I は示したが、 CANGAROO II の新設望遠鏡によっても、 100 GeV - 100 TeV 領域での特徴ある観測データを提供できると考える。開発し たプラスティック鏡は軽量の利点を持ち、今後 10m を越える大口径を remote controll での調整で角度精度を上げながら実現するなどの潜在的可能性を持って いる。 3.宇宙線望遠鏡計画報告 (佐々木) 昨年度、計画の目的を「最高エネルギー」に特化したことに伴い、共同研究者 組織を新たに再編・強化した。決議機関としての代表者会議(CB)の下に、オン ライン、鏡、PMT、建物、大気モニター、シミュレーション計算の実際の開発 研究を担うワーキンググループ(WG)を置くことで、責任分担を明確にし、効率的 な組織化を行っている。 サイトについて、アメリカ・ユタ州・デルタとオーストラリア・ウーメラ近辺 の2ヶ所の候補地を比較検討した結果、ユタ州・デルタ周辺においてユタ大学グ ループとの国際共同研究に向け、交渉を開始する方針をCBにて可決した。あくま でも日本の主体性を重視する方針だが、交渉の結果によってはオーストラリアの サイトも再考する。WGの活動のうち、PMT、大気モニター、オンラインの開 発の現状の紹介があった。 [D.議事] 1.「宇宙線関連大学の活性化」について (実行委員長);「昨年10月より、坂田、村木両委員に世話人をお願いして、 宇宙線関連大学の活性化について実行委員会において検討し てきた。今日はひろく会員の皆様にご意見を伺いたい。」と の主旨説明があった。 (坂田委員);1998年8月8日のCRC実行委員会「CRC関連大学の活性化」につい       ての討論の概要をまとめた資料を配布し、その討論の経過につ いての説明があった。又、以下のような主旨の説明と要望があ った。 ○この資料の冒頭の「主な意見・議論のまとめ」は出された意見・議論の主なも のを抽出したものである。この「まとめ」は実行委員会で「決定」した事項で はない。しかしながら、今後の広い議論のための重要な資料になっているので はないかと考える。資料の中の「討論の概略」部分を是非お読み頂き、討論さ れた内容への意見、また議論から漏れている事項等について、会員諸氏の立場 からのご意見を頂きたい。       (1998年9月30日付けCRC news、又は CRC home page 参照) (コメント): ○ 内容には賛成であるが、CRCとICRRとの関係を明確にすべきだ。 ○ かって、CRCで宇宙線研究の方針を立てた事がある。 ○ 内容には賛成であるが、宇宙線研に期待しているものをもっと明確にして欲し い。但し、全ての要望に対応するのは無理であろう。最近は競争的資金が増え ているので、これを活性化に活用できないか。各大学での人事・教育を宇宙線 関係者で積極的に充実する努力は出来ないか? 検討をお願いしたい。 ○ 宇宙線研究所は「共同利用研究所」であることを忘れないで頂きたい。 ○ 地方大学では「宇宙・基礎物理」をないがしろにする風潮が見られるので変え ていく必要がある。 ○ 「まとめ」の文には、全面に人事の問題がからんでいる。 ○ 前述の「基礎物理ないがしろ」は地方大学だけにある現象である。よって、し かるべき組織・委員会に出席される大機関の方々は、この点に留意して頂きた い。   討論の最後に実行委員長より、実行委員会に意見を寄せて欲しいこと,また実行 委員会としては「CRC関連大学の活性化」を主な議題とする拡大実行委員会を12月 頃に開くことを検討しているとの要望・説明があった.