<<<<<<<<<<<<<< CRC News 2014年 4月 30日 >>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位                             CRC事務局 *********< 2013年度測定器開発・優秀修士論文賞の選考結果 >********* 関連分野の皆様、 2013年度測定器開発・優秀修士論文賞が決定いたしました。 以下、ご報告申し上げます。           選考結果の報告 2014年4月30日 選考委員長 幅 淳二 第4回目を迎えることになった測定器開発優秀修士論文賞、今年度も14編の修 士論文が、全国から集まった。毎年のことながらいずれも研究の内容・論文とし ての完成度ともに高いレベルで、我が国の大学院修士課程における測定器技術に 対する高い意識が伝わって、審査委員一同大変頼もしい思いであった。 14編の内訳は、分野別には素粒子6、原子核5、宇宙2、原子物理1となって おり、宇宙からの応募は例年と比較すれば少なかった。研究対象となった技術内 容における分類では、半導体検出器4、ガス検出器2、シンチレータ4、光セン サー1、検出器複合システム3となり、シンチレータ関連の研究が例年に比べ多 かった印象である。 選考は、素粒子、原子核、宇宙線各分野のコミュニティより推薦いただいた委員 を含む合計10名の選考委員(†)により、例年通り2段階で行われた。2月末 の締め切り後一月かけて、まず6編の候補論文に絞り込んだ。それから3週間を かけて、全委員がこの6編について改めて採点を行い、各委員が3編の候補論文 を挙げた。最終的には4月23日に選考委員会を開催し、委員会としての最優秀 論文2編を選考した。 その結果本年は以下の論文に測定器開発優秀修士論文賞を授けることとなった。 *京都大学・豊田高士氏 「KOTO実験に用いるInner Barrel検出器の製作と 宇宙線ミューオンを用いた性 能評価」 *東北大学・赤澤雄也氏 「シグマ陽子散乱実験のため検出器群開発」 †選考委員(敬称略)  酒見泰寛(東北大学)、末包文彦(東北大学)、  竹谷篤(理化学研究所)、村上哲也(京都大学)、  森山茂栄(宇宙線研)、山本常夏(甲南大学)、  新井康夫(副委員長)、田島治、中平武、幅淳二(委員長)(KEK) ——————————————————————————————— *京都大学・豊田高士氏 「KOTO実験に用いるInner Barrel検出器の製作と 宇宙線ミューオンを用いた性 能評価」 KOTO実験の到達感度を左右することになる、Vetoシステムの性能を最大限引き出 すため新たに設置されるガンマ線検出器、Inner Barrelの開発研究である。検出 器のファイバーを含む各構成要素の品質評価や性能評価を徹底的に行い、高い総 合検出効率実現の妨げとなりうるWLSの発光のばらつきを見つけ出した。そこで 自らのアイディアで間近に迫った実験に向けた対策を考案、実機システムの製造 を自ら主導し、所定の性能を実現した行動力は頼もしい。選考では、背景技術の 深い理解と本人の独創性、その熱意なども高く評価された。 実機システム構築においてしばしば遭遇する「現実」の問題を整然と分析し、限 られた時間で実現可能な実質的な対策を打ち出し実行するという、まさに実戦的 な、実験物理屋の最重要なプロセスがこの修士論文には、論理的に記録されている。 *赤澤雄也氏 「シグマ陽子散乱実験のため検出器群開発」 バリオン間相互作用の短距離成分を実験的に調べる為、新しい測定手法を提案 し、実験装置の心臓部であるシンチレーションファイバーとBGOで構成される円 筒型散乱陽子検出器の設計・開発を行った。ビーム実験を自ら立案して性能評価 を行い、大強度実験の為の新しい検出器を実現しており、これらの主体性・総合 性が高く評価される。 特に、検出器性能の評価を合理的に行う手法には、抜きん出た能力が認められ、 また円筒形検出器の製作におけるさまざまな創意工夫には、測定器開発研究の原 点が感じられた。測定器技術に関する深い理解に裏打ちされた、地道な研究成果 を積み上げて来たことが、内容に厚みをもたらす論文であった。 ——————————————————————————————— 秋の物理学会において、授賞式と受賞記念講演を開催すべく準備を進めておりま す。詳細が決まりましたら、またご連絡させていただきます。 来春にも2014年度の候補論文の募集を行いますので、関係の皆様方には何卒よろ しくお願いいたします。 受賞された論文、選考結果は、以下のURLからも参照することができます。 ┌───────────────────────┐ │http://rd.kek.jp/ronbun/award2014.html │ └───────────────────────┘ 問い合わせ先 〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1 高エネルギー加速器研究機構 測定器開発室 「測定器開発優秀修士論文賞」事務局 TEL: 029-864-6242 E-mail: dtp-ronbun [at] kek.jp *************************************************************