<<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.2105:2013年 5月 14日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位                             CRC事務局 **************< 第3回測定器開発・優秀修士論文賞の選考結果 >************** CRCの皆様 2012年度第3回測定器開発・優秀修士論文賞が決定いたしました。 受賞されたお二人には、心からお祝いを申しあげます。 <<受賞者および受賞論文>> [優秀修士論文賞] 常世田和樹氏(東京工業大学) 「超小型衛星 TSUBAME 搭載用γ線バースト検出器フライトモデルの開発」 一戸悠人(東京大学) 「ASTRO-H 衛星搭載軟ガンマ線検出器におけるコンプトン再構成アルゴリズ ムの開発」 本論文賞は本年度で3回目となり、応募数は16 編で幅広い分野から いずれもレベルが高い論文を応募いただきました。 事務局といたしましては、応募していただいた学生諸君や指導教官の 皆様に厚くお礼を申し上げます。 また、お忙しい中、限られた期日の中で審査をしていただいた選考 委員の方々には、多大な時間と大変な労力を割いていただき、厳正か つ綿密な審査をしていただきましたことを、心よりお礼を申し上げます。 秋の物理学会において、授賞式と受賞記念講演を開催すべく準備を進めております。 詳細が決まりましたら、またご連絡させていただきます。 来春にも2013年度の候補論文の募集を行いますので、関係の皆様方には何卒よろ しくお願いいたします。 受賞された論文、選考結果は、以下のURLからも参照することができます。 ┌───────────────────────────┐ │http://rd.kek.jp/ronbun/award2013.html │ └───────────────────────────┘ 問い合わせ先 〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1 高エネルギー加速器研究機構 測定器開発室 「測定器開発優秀修士論文賞」事務局 TEL: 029-864-6242 E-mail: dtp-ronbun [at] kek.jp ============================================================ 2012年度  測定器開発・優秀修士論文賞の選考結果 選考委員会(委員長 幅淳二) 1. 一次選考(3/23 ~ 4/13) 12名の選考委員を2グループにわけ、それぞれ8編の論文を審査し、 各人の評価により順位をつけ、グループごとに上位の4編を二次審査に ノミネートした。評価項目は以下のとおり、 1) 論文の完成度、 2)背景技術の理解度、 3)開発された測定器技術の意義、 4)研究の独創性、 5)研究における本人の独創性、主体性 6) 測定器開発にかける熱意、最後までやりとげる意志 7) 総合評価(上記以外の特筆すべき点を含める) 2. 二次選考(4/16 ~ 4/29) 一次選考でノミネートされた計8編の論文を審査、各選考委員が 上位3編を選出した。 3. 最終選考 (5/2) 選考委員会を開催し、二次選考の8編の論文を審査して、委員全体で 意見交換を行った。その結果、論文の完成度、内容に優れた 2編に優秀修士論文賞を授与することに全会一致で決定した。 <<総評>>  測定器開発優秀修士論文賞も各方面からのご理解のもと3年目を迎え、確実に定着 しつつあると感じる。今年度は合計16篇の応募が、素粒子、原子核、宇宙のみなら ず、原子物理や放射線医学などを含む広い分野からあって、その広がりを印象付け た。高エネルギー研究者会議、原子核談話会、宇宙線研究者会議より推挙された審査 委員の皆様のご協力で、3月下旬より約6週間かけて行われたこれらの候補論文につ いての審査は、ハードなスケジュールの中にもさまざまな分野にわたる充実した論文 から多くを学ぶことができた充実感があり、楽しいひと時でもあった。    分野を超えて大別されるのが、比較的大きな実験グループの中での長期にわたるシ ステム開発の中でまとめられた論文と、研究室が中心となって進められているプロジ ェクトを出発点とした独立性の高いものとである。前者は緻密に組み立てられた開発 プログラムに基づき、数世代にわたる開発研究の積み重ねが結実した完成度の高いも のである。一方後者は、開発のテーマが比較的完結しており、その内容も学生本人の 手作り感と個性あふれる読みごたえのある論文が多い。こうした2種類の論文を同じ 土俵で審査するのはなかなかに骨の折れる仕事で、審査委員の苦労は並大抵ではない が、最終的には委員全員一致で、今年度優秀論文賞として下記2編の最優秀論文を選 出することできた。奇しくも双方ともに衛星搭載機器に関する研究開発の関連論文と なったが、これはひとえに、選考が分野間のバランスなどを一切考慮しないという原 則に準じていることの表れであると理解していただきたい。  今年度の審査を振り返って委員一同が感じたことは、「測定器システムにおいてよ り実戦的に性能を高めるための開発研究」から多くの優れた論文が応募されている が、「測定器の基本エレメントを原理に帰って徹底的に遊んでやろう」という趣の研 究がもっとあって良いということである。これは実験の役に立てるまでには時間のか かる息の長い研究をも意味するが、我が国が世界を相手に多角的に競っていく・リー ドしてくためには、ぜひとも必要とされる研究と人材育成の方向ではないかと考えて いる。 <<受賞論文>> 「超小型衛星TSUBAME搭載用γ線バースト検出器フライトモデルの開発」 常世田 和樹 東京工業大学  東工大が打ち上げを目指す超小型衛星に搭載するフライトモデルの開発に学部4年 から3年間取り組んできた成果の集大成で、開発に向け熱い思いが伝わってくる力作 であった。本人の創意が随所に感じられ、放射光ビームテストによりその性能確認ま で行うなど、修士論文の研究として理想的な完成度の高い論文と言える。 「ASTRO-H 衛星搭載軟ガンマ線検出器におけるコンプトン再構成アルゴリズムの開発」 一戸 悠人 東京大学  日本が総力を挙げて取り組む大型観測衛星ASTRO-Hに搭載される軟ガンマ線検出 器SGDにおけるコンプトン散乱の再構成に対して真正面から取り組んだ大作であ る。コンプトンカメラからの情報を余すことなく利用して解析をするために、コンプ トン散乱という現象と装置の特性の双方を検討し尽くしたと思える完成度が大変印象 的であった。 <<選考委員リスト(敬称略)>> [最終(二次)選考委員(9名)] 荻尾彰一、竹谷篤、住吉孝行、村上哲也、森山茂栄、花垣和則、三部勉、 吉村浩司、幅淳二 [一次選考委員(12名)] 最終選考委員メンバーに加えて、宇野彰二、新井康夫、丸山和純 **************************************************************************