<<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.1470:2010年 4月17日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位 CRC事務局 宇宙線研支部 *******< 大阪大学核物理研究センター研究計画検討専門委員会議事録 >******* 皆様、 大変遅くなりましたが、平成22年12月22日に開催されました大阪大学核物理研究 センター研究計画検討専門委員会の議事録をお送り致します。 研究計画検討専門委員会 委員長 上坂友洋 幹事 若狭智嗣 、福田光宏 (過去の議事録は以下のURLより閲読できます。 http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/p-pac/giji_index.html) ----------------------------------------------------------------------- 大阪大学核物理研究センター研究計画検討専門委員会議事録 日時:2009年12月22日(火)11:00−17:00 場所:核物理研究センター本館2階会議室 出席者: ・委員:村上(京大理、委員長)、上坂(東大CNS、幹事)、酒見(東北大CYRIC) 、延與(京大基研)、川畑(京大理)、慈道(京大基研)、荻尾(大阪市大理)、 岡村(RCNP)、民井(RCNP)、保坂(RCNP)、與曽井(RCNP)、福田(RCNP、幹 事) ・センター長:岸本(RCNP) ・研計委要請:増田(KEK)、篠原(阪大理)、久野(阪大理) 欠席者: ・青井(理研仁科セ)、緒方(九大理)、菅沼(京大理)、末木(筑波大)、市 川(京大理)、小林(東北大理)、畑中(RCNP) 配布資料: 議事次第 (資料1)H21年度RCNP研究会採択・実施状況 (資料2)RCNP研究会報告書(3件) (資料3)Q-PAC審査報告 (資料4)研究会「超冷中性子による基礎物理研究」の取扱いについて (資料5)プロジェクトとそれに類する事項の審議・報告履歴 (資料6)前回議事録(案) [1] 報告事項 ============== 1. 一般報告(予算、概算要求、人事等)  (センター長:岸本) ----------------------------------------------------------- 岸本センター長より、以下のような報告があった。 ・概算要求では、サブアトミック科学研究拠点としての運営経費と、LEPS2、 MUSIC、CANDLESの建設経費などを含むプロジェクト推進経費を要求。後者に必要 な予算は全体で2,000百万円になるが、既に補正予算でMUSICに対して約300百万 円がついている。 ・装置関連は施設整備費として単年度毎の要求となり、多年度にまたがっての予 算措置は行われない見込み。H22年度はLEPS2の新ビームライン整備費を予定。 ・拠点運営に係わる経費は大学を経由せずに文科省に直接要求することになるが、 サブアトミック科学研究推進に関わる経費の概算要求は大学を経由するため、大 学内での順位付けの対象となる。 ・サイクロトロンのビーム強度増強は、既存施設の更新として阪大のマスタープ ランに乗っており、別枠として1,000百万円×2カ年で要求。 ・H22年3月に理論部の土岐教授が退職されるのを受けて後任の教授を公募中。ま た、同時期に退職される技術職員のポストについては助教として公募することが 核運委で了承された。今後の技術職員の退職に伴うポストについては、その都度 判断して決めていく予定。故松岡助教のポストは大学の留保ポストであるため、 H22年度も確保できるかは2月半ば以降に判明する見込み。 2. 核運委報告 (村上委員長 京大) ------------------------------------ 村上委員長より、12月8日に開催された核運委について報告があった。主な内容 は以下の通り。 ・8月に行われた研計委については、研計委の役割と将来計画についての議論の 内容を報告。 ・これに対し、核運委の中での将来計画の議論が十分とはいえない、進行中の MUSICなどの状況が核運委で把握されていないなどの意見が出された。これを受 けて、MUSICについては研計委でもあらためて議論していくことにした。 ・将来計画の推進に当たってはコミュニティの意見を取り込む努力が必要との指 摘があった。一方で、MUSICについてはコミュニティへの情報提供が不足してい るのではないかという懸念の声もあった。 3. RCNP各部報告 ----------------- 3.1 実験報告(LEPS2に向けた進展) (與曽井 RCNP) ----------------------------------------------------- RCNPの與曽井委員より、LEPS2に向けた研究開発の現状と今後の展望に関して報 告があった。これに対し、以下のような質疑が行われた。 ・H22年度からH23年度にかけて、新ビームラインの設計・建設とE949(BNL)検出 器及びソレノイド磁石の移設を行う。H24年度から一部実験を開始する予定。 ・ソレノイド磁石(400トン)の移設費用については学内予算で申請中。 ・年間の運転時間は現状並みの4000時間が可能だが、ビーム強度が10倍に上がる ので、多少減らすことも考えている。 ・検出器は一部を除いて置き換える予定。J-Labを凌ぐアクセプタンスを目指し ている。 3.2 サイクロトロン加速器の現状報告 (福田 RCNP) ---------------------------------------------------- RCNPの福田委員より、サイクロトロンの現状に関して報告があった。これに対し、 以下のような質疑が行われた。 ・核化学のビームタイム日数は特に決められていないため、他の共同利用とは別 に実績日数を集計。 ・金属イオンは、ニーズに応じてNEOMAFIOSで開発中。 ・400MeV 4HeビームのためのAVFサイクロトロンでのFT加速では、7倍波を用いた FT加速は可能。偶数倍の高調波を用いたFT加速が可能かをテスト中。 3.3 実験報告(UCN源に係わる研究) (増田 KEK) -------------------------------------------------- KEKの増田氏より、UCN源開発とそれに係わる基礎研究の現状と今後の展望に関し て報告があった。これに対し、以下のような質疑が行われた。 ・2004年に採択されたプロジェクト「He-II spallation UCN」については2006年 に研計委で報告を行ったが、その後も装置の改良を続けており、プロジェクト自 身は継続していると見なせる。 ・個別の研究テーマは既にB-PACに提案して採択されており、UCN源を共同利用が できるところまで発展させた功績は評価に値する。 ・陽子ビーム強度を10μA程度まで増強することによりPSIを凌ぐ成果が期待され ることから、新たなプロジェクトを立ち上げることも可能ではないか。 4.平成21年度研究会報告 (福田幹事 RCNP) ------------------------------------------ 福田幹事より、(資料1、2)に基づき、平成21年12月までに開催された研究会 (3件)に関して報告があった。 a)「Physics and Upgrade of the J-PARC Hadron Facility(PUHF)」 開催日:2009年9月18〜19日 開催場所:いばらき量子ビーム研究センター 参加者:55名(内、国外からの参加者12名) 当初、J-PARCで開催される国際会議HYP09の直前にRCNPで開催する予定であった が、同時期に京都大学においてストレンジネス原子核物理に関する国際スクール があったため、国際会議の直後に開催日を変更したことから、開催場所がいばら き量子ビーム研究センター(東海村)に変更された。これに対し、開催日や場所 を変更する場合には事前に研計委幹事に連絡し、了承を得るべきであるとの意見 が出された。 b)「第7回日本中国原子核物理シンポジューム」 開催日:2009年11月9〜13日 開催場所:筑波大学 大学会館 参加者:130名(内、国外からの参加者30名) c)「日中韓国際ワークショップHadron-Nuclear Physics 2009 (HNP09)」 開催日:2009年11月16〜19日 開催場所:大阪大学荒田記念館 参加者:75名(内、国外からの参加者13名) 研究会の開催に関する最新の情報が得られるように研計委のホームページを逐次 更新すること、RCNPからのサポートを得て研究会が開催されることがわかるよう に世話人に周知することなどが確認された。 5. Q-PAC(10月2日)報告  (Q-PAC委員:與曽井 RCNP) --------------------------------------------------- Q-PAC委員の與曽井氏より、(資料3)に基づいて2009年10月2日に行われたQ-PAC の報告があった。これに対し、以下のような質疑が行われた。 ・これまでに採択された課題で、直ぐに遂行可能な未消化のビームタイムは無い。 ・通常は外部利用者が内部グループに加わって協力しながら実験や解析を進める ケースが大半のため、実質的には内部利用と外部利用の区別は難しい。 ・現状ではQ-PAC委員の半数(3名)をRCNP内部委員が占めていて、透明性に問 題があるとの指摘があった。一方、 feasibilityの議論を行うにはRCNP内部 委員が担う役割が重要であるという意見も出た。今後、feasibilityチェックを どこまでQ-PACが行うか等、Q-PACの役割に関する議論が必要だが、まずは審査の 透明性を確保するためにQ-PAC委員の構成を見直すべきという意見が大勢を占め た。 これを受け、来年度以降のQ-PAC委員の選考に当たっては、内部委員が半数以上 を占めないように配慮することを申し送り事項とした。 6.プロジェクト報告  (篠原 阪大理) -------------------------------------- 阪大理の篠原氏より、プロジェクト「重元素化学の基盤研究」について報告があ り、以下のような質疑が行われた。 ・本プロジェクトは2007〜2011年の5年プロジェクトとして採択され、AVFサイク ロトロンのKコースの整備も目的としていることから、特にビームタイムの枠は 設けずに進めてきたが、定常的な利用に移りつつあり、共同利用としてB-PACに 申請すべきではないか。 ・年間のビームタイムは十数回程度で、リングサイクロトロンを運転しない時期 などに集中して行っている。最近は、核医学研究等へのRI供給も増えつつある が、本プロジェクトのビームタイムの枠内で実施している。 ・西日本のポテンシャル・ユーザーは多く、RI供給のニーズは大きいが、当面 は研究利用の枠の中で供給を行っていく予定。 ・得られた研究成果については、篠原グループ以外のユーザーもAnnual report を投稿することとし、RCNPの貢献を明確にすべき。 7. その他 ---------- 特になし [2] 協議事項 ============== 1.研究会「超冷中性子による基礎物理研究」の取扱いについて ----------------------------------------------------------- 平成21年度後期の研究会として採択された「超冷中性子による基礎物理研究」が H22年度早々(H22年4月8〜9日)に順延になったことの経緯と予算措置への希望 について世話人の増田氏(KEK)から(資料4)に基づいて説明があり、協議が行 われた。 その結果、年度を超えて順延することについて、これを前例としない条件で承認 することとし、来年度にあらためて予算措置を講ずるよう、研計委としてセンタ ーに要望することとなった。 2. MUSIC計画の現状と今後の見通しについて  (久野 阪大理) ----------------------------------------------------------- 阪大理の久野氏より、MUSIC計画の進捗状況と今後の予定などについて報告があ った。今後の予定に関しては次の通り。 ・H22年3月から4月頭にかけて、M実験室から西実験室へのFFAGマグネットの移動、 パイオン捕獲用超伝導ソレノイドマグネットの搬入・据付、4〜5月に同マグネッ トの冷却・励磁と新WSSビームラインの整備などを行い、6月までにはターゲット までビームを輸送してH23年度概算要求の好材料にしたいが、西実験室でのビー ムタイムとの干渉もあり、RCNP側との調整が必要。 ・西実験室では機器開発とターゲットから輸送されたパイオン/ミューオンの利 用が主であり、FFAG蓄積リングを用いた本格的な研究利用はJ-PARCで想定してい る。 ・「ミューオン科学と加速器研究」をテーマとした研究会(研計委で採択済)を H22年2月に開催予定。 これに対して、以下のような意見が出された。 ・これまで、RCNPや核運委、研計委などに対してMUSIC計画についての情報提供 が十分とはいえず、議論や調整が不十分であった嫌いがあるため、RCNPの協力を 得やすいような体制作りとRCNP内での透明性ある議論が必要。 ・FFAGや放射線シールドなど西実験室内でスペースを必要とする機器の配置、実 用に向けた機器調整・ビーム開発などのスケジュールについては、周りへの影響 も大きいことから、優先順位も含めて適宜センター内の関係者との調整・議論が 不可欠。 ・現状では、研計委で議論し、判断を下すには情報が不足しており、事前のオー プンな情報提供が重要である。 ・RCNPではミューオンのDCビームが得られることからJ-PARCとは相補的な関係に あり、多くのユーザーが関心を示しているため、MUSICの共同利用も視野に入れ ている。 ・予算プロファイルを示して欲しいとの要望がBPAC委員より出されたが、それに 対し、今後の予算措置が不透明であり、当面単年度の予算要求の範囲内で対応し ていくという返答があった。 ・ミューオンビームの実用のためには新たなマンパワーとリソースが必要であり、 MUSICについて素粒子のコミュニティに情報を流し、協力を得ることも必要では ないか。 ・機器開発や運転上の技術的サポートなどについては阪大と素核研との間で協定 を結び、連携を深めていく予定。 ・MUSICはプロジェクトとして研計委での議論すべきものではないか。完成後は3 〜4年でR&Dは区切りがつくはず。その後の展開も含めて具体的なビジョンを明示 すべし。 3.プロジェクト研究の報告書について ------------------------------------- 前回の研計委で議論があったプロジェクトの終了報告の仕方について村上委員長 から提案があり、RCNPアニュアルレポートとしての提出を要請することとなった。 具体的には、今後のプロジェクト公募の際に以下に示す文章を付するとともに、 既に採択されているプロジェクトについても、代表者に対して同様の依頼文を送 付して最終報告をお願いすることとなった。 "At the end of the project, the spokesperson should write a report on the accomplishments, budgets and other details of the project as an article of the RCNP Annual Report." また、研計委の場で中間報告を行った際には使用したスライドを保管することが 確認された。 4.将来計画について --------------------- 4.1 蓄積リングに係わる検討について  (川畑 京大理) ---------------------------------------------------------- 京大理の川畑氏より、蓄積リングの建設による新しい物理の展開を目指した将来 計画の立案に着手した旨、報告があった。2010年1月28日にミニワークショップ を開催し、想定される研究内容や加速器・蓄積リングの課題などについて議論す る予定。 今回は時間に制約があることから、研計委での詳細な議論は次回以降に行うこと となった。 5.前回議事録承認 -------------------- 2009年8月11日に開催された研計委の議事録(案)(資料6)を承認した。 6.次回の研計委開催日程に関して --------------------------------- 次回の研計委は、2010年3月下旬から4月上旬の間に開催することとし、具体的に は来年度の新委員も含めて別途都合を打診した上で日程を調整することとなった。 以上 ======================================