<<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.1420:2010年 1月15日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位 CRC事務局 宇宙線研支部 ************< RCNP 研究計画検討専門委員会(2009.08.11)議事録 >************ 皆様、 大変遅くなりましたが、平成21年8月11日に開催されました大阪大学核物理研究 センター研究計画検討専門委員会の議事録をお送り致します。 研究計画検討専門委員会 委員長 村上哲也 幹事 上坂友洋、福田光宏、 (過去の議事録は以下のURLより閲読できます。 http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/plan/p-pac/giji_index.html) ----------------------------------------------------------------------- 大阪大学核物理研究センター研究計画検討専門委員会議事録 日時:2009年8月11日(火)10:00−17:00 場所:核物理研究センター本館2階会議室 出席者: ・委員:村上(京大理、委員長)、上坂(東大CNS、幹事)、青井(理研仁科セ)、 延與(京大基研)、緒方(九大理)、川畑(京大理)、慈道(京大基研)、 菅沼(京大理)、荻尾(大阪市大理)、岡村(RCNP)、民井(RCNP)、 保坂(RCNP)、與曽井(RCNP)、福田(RCNP、幹事) ・センター長:岸本(RCNP) ・研究企画室:畑中(RCNP) ・研計委要請:矢向(東大理)、中野(RCNP)、郡(RCNP) 欠席者: ・酒見(東北大CYRIC)、末木(筑波大)、市川(京大理)、小林(東北大理) 配布資料: 議事次第 (資料1) 核物理研究センター運営委員会(核運委)規程と研究計画検討 委員会(研計委)規程について (資料2) 核物理研究センター運営委員会議事録(案)(2009年7月8日開催) (資料3) H21年度研計委・B-PAC・Q-PAC委員名簿 (資料4) 第67回RCNP B-PACプログラム (資料5) 2009年度研究会(後期)申請リスト&申請書(3件) (資料6) 学術会議シンポジウム「素粒子原子核研究大型プロジェクトの 現状と将来」資料 (資料7) 前回議事録(案) [1] 報告事項 ============== 1. 一般報告(予算、概算要求、人事等)  (センター長:岸本) ----------------------------------------------------------- 岸本センター長より、以下のような報告があった。 ・故松岡助教の後任として、H21年6月16日付で村松憲仁氏を採用。 任期はH22年3月末まで。 ・藤原守准教授がグローニンゲン教育研究センターからRCNPに異動。 ・RCNPが「サブアトミック科学研究拠点」としてH21年度共同利用・共同研究拠点 に認定された。それに伴って運営委員会及び研究計画検討委員会の規程の一部 を改正することについて、(資料1)に基づいて説明。委員の選考基準について は、基本的に現行基準を踏襲する形にし、学外委員が2分の1以上になるようにする。 2. 核運委報告 (村上委員長 京大) ----------------------------------- 村上委員長より、(資料2)に基づいて報告があり、理研RIBFに関連した議論を 行えるように本林透氏(理研)が委員に推薦されて承認されたこと、概算要求や 将来計画の立案に当たってはコミュニティーのサポートが重要であるとの指摘が あったことなどの補足説明が加えられた。 3. RCNP各部報告 ---------------- 3.1 実験報告(将来のLEPS実験のための偏極HD標的の開発) (郡 RCNP) --------------------------------------------------------------------- RCNPの郡氏より、偏極HDターゲット開発の現状に関して以下のような報告があった。 ・2005年に予算を得てスタートした偏極HDターゲット開発は今年度が最終年度。 開発予算の不足はほとんど無い見込み。 ・2007年度までに冷凍機等を整備し、2008年に最初の偏極HDターゲットを試作。 純度99%のHDガスを用い、冷凍温度14mK、磁場17T、凍結期間53日で生成。ター ゲットの偏極度は40%(目標80%以上)。偏極度の持続期間は100日。阪大から SPring-8までの輸送時間中の減偏極は2%程度。 ・偏極度の測定方法の改善が今後の課題。Qメータ方式ではNMRの直線性が悪いこ とも一因と考えられるため、核反応を用いるなど、他の測定法も検討中。 ・2010年にLEPSでテスト実験を予定。 3.2 サイクロトロン加速器の現状報告 (畑中 RCNP) ---------------------------------------------------- RCNPの畑中氏より、サイクロトロンの現状に関して以下のような報告があった。 ・4月以降の共同利用実験は順調に消化。秋以降のビームタイムも例年通り。西 実験室でのMUSICの整備が今夏からスタート。未消化のビームタイムは、昨日の B-PAC採択日数を除いて127日分。 ・電気料金の値上げにより、今後のサイクロトロンの運転に影響が出る可能性あり。 ・B-PACで要求のあった9.7MeV/n 136Xeは、22+をリングサイクロトロンで加速す ることにより供給可能。 ・永久磁石を用いた2.45GHz ECR陽子源の開発では、陽子比の高い500μA以上の ビーム強度が得られており、実用に向けて準備を進めている。 ・高温超電導線材を用いたスキャニングコイル開発では、77Kで60A前後の臨界電 流を確認し、20Kでは200Aに達すると予測。10〜21Hzで測定したACロスは周波数 依存性が無く、ヒステリシス損失が主であると考えられる。 ・UCN実験では、Ramsey共鳴の観測に成功。今後、磁場の一様性や磁気シールド などの改善により精度を上げていく予定。 4.B-PAC及びQ-PACのセンター長・委員長推薦委員について ------------------------------------------------------ 村上委員長より、(資料3)に基づき、B-PAC及びQ-PACのセンター長・研計委委 員長推薦委員に関して報告があった。B-PACには理論系3名(Colo(Milano)、中務 (理研仁科セ)、萩野(東北大))、実験系2名(寺西(九大理)、中村(東工 大理))、Q-PACには理論系1名(肥山(理研仁科セ))、実験系2名(石川(東 北大LNS)、味村(RCNP))を推薦。これに対し、B-PACの委員が重イオン関連に 偏っている嫌いがあるとの指摘があり、専門領域のバランスを考慮して委員を選 考することを今後の申し送り事項とした。 5. B-PAC(8月10日)報告  (B-PAC委員長:青井 理研仁科センター) --------------------------------------------------------------- B-PAC委員長の青井氏より、(資料4)に基づいて2009年8月10日に行われたB-PAC の報告があった。前回のB-PACで審議できなかった2件を含めて合計15件の申請課 題を審議し、12件を採択、2件を保留、1件を不採択としたこと、要求ビームタイ ム91.5日に対し56日(採択率61%)を採択したこと、予算12,698千円の要求に対 し6,600千円を認めたことなどが報告された。次回のB-PACは、2010年2月22日に 開催予定。 これに対し、以下のようなコメントが出された。 ・E347やE348のような半導体照射関連のプロポーザルは、B-PACで必ずしもその 科学的意義などを判断できるとは限らず、B-PACの審議に馴染まないのではない か。企業が参加する場合には、営利・非営利の見極めも必要。 ・半導体照射実験や核データ実験などは、これまで単発的に出されたプロポーザ ルを個々に審議してきたが、同様の研究目的を持つ人たちも多いことから、グル ープを形成してプロジェクト的にプロポーザルを申請するのが望ましい。 6.プロジェクト報告  (矢向 東大理) -------------------------------------- 東大理の矢向氏より、プロジェクト「(n,p)反応による二重ベータ崩壊核の中間 状態の研究」について報告があり、以下のような質疑が行われた。 ・当初30日のビームタイムを要求したことからプロジェクト研究として申請。 2007年4月に中間報告を行ったが、その後の経過と結果について今回報告。 ・48Tiと116Snについて(n,p)反応によりGT遷移強度を求め、励起エネルギーの高 い側では、殻模型の過小評価がみられることを明らかにした。この結果は既に 論文にしており、今後さらに解析を進めて投稿していく予定。 ・想定より早くデータが取れたことから、残りのマシンタイムは返上し、プロジ ェクト自身は完結したと判断してよい。 これまでにプロジェクトとして採択された課題については、2年程度経過した時 点で研計委に報告してもらっているが、プロジェクトのマイルストーンに応じて 2〜3年の間隔で引き続きフォローアップしていく必要があり、プロジェクト終 了時点では報告書の提出を義務づけるべきではないかとの提案があった。そこで、 プロジェクトの終了報告の仕方についての原案を委員長及び幹事の間で検討する こととなった。 7. その他 ----------- 特になし [2] 協議事項 =============== 1.H21年度(後期)研究会申請課題採択(3件) --------------------------------------------- 平成21年度の研究会募集(後期)に3件の申請があった。 協議の結果、3件、1,100千円を採択した。 ・「第7回日本中国原子核物理シンポジューム」 連絡責任者:小沢顕(筑波大学) 開催場所:筑波大学 スタイル:国際ワークショップ、国外30名、国内70名程度 ・「不安定核を用いた核反応機構の研究」 連絡責任者:谷畑勇夫(RCNP) 開催場所:RCNP スタイル:国内の研究会、国内50名程度 ・「超冷中性子による基礎物理研究」 連絡責任者:増田康博(KEK) 開催場所:RCNP スタイル:国際ワークショップ、国外20名、国内20名程度 2.研計委で取り扱う報告・審議事項について ------------------------------------------- 議論に先立ち、現状でいくつか提案されている RCNPの将来計画及びプロジェク トの位置づけとpriority付け、RCNPとしてのCANDLES計画の位置づけ、2004年8月 の研計委で答申された将来計画ワーキンググループ(大西委員長)からの提案の 取扱いなどについて、岸本センター長より考え方が示された。要点は以下の通り。 ・研計委は、規程の上では運営委員会の諮問委員会であり、最終決定機関ではな い。共同利用・共同研究に関わる事項(特にサイクロトロン施設及びLEPS施設を 利用する実験課題の審議)、将来計画・プロジェクトの検討に関する事項、運営 委員会から附託された事項などについて協議するのが主たる役目。 ・研計委で取り扱うプロジェクトについての仕分けは必ずしも明確ではない。現 在、3つのプロジェクト(LEPS2、MUSIC、CANDLES)を柱としたサブアトミック科 学研究拠点形成を目指して概算要求を行っているが、LEPSは当初よりコミュニテ ィーでも研計委の場でも独立したプロジェクトとして認知されて進められている。 一方、MUSICとCANDLESについては予算を獲得することがプロジェクト推進の前提 であり、概算要求に当たっては、逐次研計委で報告を行っている。 ・研計委にプロジェクトを諮問するかどうかは、十分な審議をしていただける委 員が揃っているかというのも一つの判断材料になる。大型プロジェクト(大きな 予算を必要とする研究や長期間に及ぶビームタイムなど)のように計画立案当初 から研計委に審議を諮問するものと、予算の目処が立った後に逐次研計委に経過 を報告していくものがあり、その辺の仕分けはセンター長の裁量で行っている。 これを踏まえて議論が行われ、以下のような意見が出された。 ・研計委に諮問されている共同利用・共同研究で対象とするハードが何か、必ず しも明確ではない。 ・研究計画に関して審議するという研計委に課せられたミッションの理念は変わ らないはず。 ・具体的な諮問事項については、その時代の考え方の変化などもあり、ここであ らためて再確認しようというのが今回の議論の趣旨。 ・研計委は、研究計画に対して否定的な見解を出すこともあり得る。センター長 は、研計委からの助言は尊重するが、最終的にはセンター長が判断すべきもの。 ・概算要求に関してのセンター側からの説明に対して、研計委委員から新たな提 案や修正案などが示されるのは歓迎すべきことだが、単に否定するだけでは建設 的ではない。 ・様々な概算要求の提案に対して研究所側の主導的な判断があって然るべきだが、 一方でコミュニティーの意見を吸い上げるということも重要。 ・運営委員会を通じてもコミュニティーの意見は反映されることから、全てを必 ずしも研計委に諮問する必要はないはず。 ・予算の獲得が前提となるものについては、概算要求の段階で審議しても無意味 になる可能性があり、予算が通った段階ではじめて研計委に助言を求めることは あり得る。 ・概算要求に当たっては、状況を判断した上でセンター長としての確たる考えの もとに優先順位などを決めている。その方向性に対して研計委が助言を行うのは 自然な形である。 ・研計委は提案についてアレンジするのも重要な役目の一つ。 ・研計委から将来計画の提案がないのは反省すべきこと。 3.将来計画について --------------------- 3.1 学術会議大型研究計画調査及びシンポジウムの報告  (中野 RCNP) ------------------------------------------------------------------------ RCNPの中野氏より、2009年6月1日に日本学術会議物理学委員会素粒子物理学・原 子核物理学分科会が主催したシンポジウム「素粒子原子核研究大型プロジェクト の現状と将来」で講演した内容について(資料6)に基づき、説明があった。 3.2 議論 ------------ 3.1のシンポジウム報告を受け、研計委での将来計画への取り組みも含めて以 下のような議論があった。 ・シンポジウムで話した内容はRCNP内の大型研究計画検討会で提案された将来ビ ジョンをまとめたもの。 ・運営費交付金が減額されていく中、予算が通りにくい状況で予算を獲得するた めには、コミュニティー全体の支持が重要視されることから、核運委や研計委の 役目は重要。 ・センター内のマンパワーは限られることから、大きな将来計画を進めていくた めには周りとの協力が必須。 ・外部から見ても、センターの次のプロジェクトが統一した形で明確になってい るのが望ましい。 ・大西レポートが提案する物理の方向性に対して、それを具体的に主導する動き がなかったことから、大西委員会の答申は支持を得られていないと見なすことも できる。 ・新学術領域研究に採択された「多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形 態の包括的研究」にはRCNPも深く関わっており、大きな競争的資金の採択に応じ て進む方向があってもよいのではないか。大西委員会の答申にも共通した物理が 提案されている。 ・コミュニティー全体の意向をベースに新しいファシリティを建設していくのが RCNPの役割。 ・重イオン蓄積リングは魅力的な提案の一つ。 ・将来計画を実現するには、常にそれを言い続け、顔となる人が必要。 ・将来計画に関するワークショップなどを開催してコミュニティーの意見を集約 することは重要。そのための具体的な方策の検討が必要。 ・ワークショップではいくつかの予算規模に応じた計画の議論も必要。 ・現施設のビーム強度を増強するのは、より現実的な案。ただし、延命策に終わ らないように注意すべし。 ・長期的な視野でコミュニティーはRCNPをどうしたいのかという議論も必要。 ・プロジェクトの中途段階をRCNPで行うというより、最終ゴールまで到達し、国 際競争に勝ってファイナリストになるようなことをRCNPがやるべきである。 ・全国共同利用研として直接文科省に概算要求ができるルートがあり、RCNPはそ れを最大限生かすべき。 ・研計委では主体的に将来計画の議論を続けていく必要がある。 ・研計委に対するセンター長の考え方を浸透させるには、委員会規定の見直しや 明文化が必要ではないか。いずれにしても、センター長と研計委の間のコミュニ ケーションは密にしていくべき。 4.前回議事録承認 ------------------- 2009年4月3日に開催された研計委の議事録(案)を承認した。 5.次回の研計委開催日程に関して --------------------------------- 次回の研計委は、2009年12月22日(火)11時から開催することになった。 以上 ======================================