<<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.1402:2009年 12月 2日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> CRC会員 各位 CRC事務局 宇宙線研支部 ************<行政刷新会議事業仕分けに対する意見 >************ CRCの皆様 行政刷新会議事業仕分けについて各所から批判的な声明が 相次いでいます。CRC実行委員でも共感する声が出ており、 「行政刷新会議事業仕分けに対する意見書」を 行政刷新会議事業仕分け対象事業についての意見募集 http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm  (科研費関連)  担当副大臣・政務官 中川正春・後藤斎 nak-got [at] mext.go.jp  (運営交付金関連)  担当副大臣・政務官 鈴木寛・高井美穂 suz-tak [at] mext.go.jp 民主党 http://www.dpj.or.jp/header/form/index.html 首相官邸 http://www.kantei.go.jp/ に送りました。 是非CRCの皆さんも意見をこれらの宛先に送られるよう お願いします。草の根の意見が多数送られることが大切だと 思います。以下が送った文章と、参考まで東大理学系研究科 牧島教授からのお願いのメールです。    森正樹 CRC実行委員長 <<<<<意見書の文章>>>>> 行政刷新会議事業仕分けに対する意見書                      2009年12月1日  21世紀の日本の進むべき道は、高い創造性を持つ科学技術を 育成し、人間および地球に優しい豊かな社会の実現をめざす 科学技術立国である、ということは多くの日本国民の共通認識と いえます。基礎科学はこの目標を目指すための文化的基盤となる 学術活動であり、我が国の政策としてこれを振興していくことは、 日本が「『ゆとりと豊かさ』中で人々の個性と活力が生きる 新しい社会を創造する」ことを目指すための本道です。しかし、 この学術活動や科学技術の振興を支える日本の大学教育・研究は、 近年の行き過ぎた短期成果主義の影響を受け、疲弊していると 言わざるを得ません。特に地方大学や私立大学にその影響が顕著に なっています。  我々の研究分野である宇宙線物理学は、宇宙から飛来する 素粒子を観測し、光をとらえる天文学とは異なる観点から自然を 調べる学問です。戦前の理化学研究所の仁科グループの研究活動 以来、地方大学や私立大学を含む研究グループが、小規模ながら 特色ある研究を続けてきました。学術的基礎研究だけでなく、 太陽活動、太陽風、地球温暖化などの地球環境や通信環境に関連 した、社会と密接に関わる研究も行われています。一方で、研究者 同士の横のつながりは、共同で大型研究を行うスーパーカミオカ ンデなどの共同利用研究施設を生み出し、日本の基礎研究を世界 トップへ引き上げました。この積み重ねが2002年の小柴昌俊氏の ノーベル賞に結実したのです。  これらの研究の大部分は外部資金、多くは科学研究費補助金に よって賄われています。大学院生や任期付きの若手研究員は、 研究の大きな推進力として日本の研究を最前線で牽引しています。 また、スーパーカミオカンデなどの大きな共同利用研究施設は、 国立大学運営交付金の中の特別教育研究経費によって運営されて います。  今回の事業仕分けでは大規模研究施設や競争的資金についての 議論が行われ、その多くについて予算縮減の方針が出されました。 一部大規模装置や特定の研究者への研究費の過度の集中への批判は 厳しく受け止めるべきと考えますが、広範囲な研究者に影響する 科学研究費補助金事業や、近年ようやく欧米レベルに近づきつつ あった若手研究者支援のための特別研究員事業や研究費補助金、 さらに国立大学運営交付金のうち共同利用研究施設を運用する 特別教育研究経費について予算要求縮減の方針が出されたことには 多くの研究者が落胆させられました。これらの事業の縮減が進め ば、短期成果主義がより助長され、多くの大学における研究活動 は、それを維持することさえ困難な状況に陥ります。学術研究は 目先の成果を求めるものではなく、国の文化の基盤となる活動で す。創造性の高い成果はスポーツや芸術と同様、広い裾野、 すなわち多様な研究と人材育成の継続の中から初めて現れるもの です。自然環境と同様、学術研究も一度その多様性・継続性を 失えばそれを回復するのは至難の業であり、世界をリードする 日本発の成果が生まれる土壌が失われます。是非、日本の社会に とって必要な基礎科学の糧ともいうべきこれらの事業について、 一層の拡充の方向で見直されることを切望するとともに、事業 仕分けが本来意図する、予算の効率的な運用に向けた改善は、現場 の研究者の意見を反映させながら長期的視野に基づいて行われる ことを希望します。 宇宙線研究者会議 実行委員長   立命館大学総合理工学院理工学部教授  森 正樹 実行委員 京都大学理学研究科教授         谷森 達 実行委員 甲南大学理工学部教授          梶野文義 実行委員 東海大学理学部教授           西嶋恭司 実行委員 千葉大学理学研究科准教授        吉田 滋 実行委員 大阪市立大学大学院理学研究科准教授   荻尾彰一 実行委員 大阪市立大学大学院理学研究科教授    神田展行 実行委員 名古屋大学太陽地球環境研究所教授    伊藤好孝 実行委員 信州大学理学部教授           宗像一起 実行委員 横浜国立大学工学部教授         柴田槇雄 実行委員 早稲田大学理工学術院総合研究所教授   鳥居祥二 実行委員 東京工業大学大学院理工学研究科教授   寺沢敏夫 実行委員 東京大学宇宙線研究所教授        福島正己 (実行委員は順不同) ※宇宙線研究者会議実行委員会は、宇宙線物理学の研究に携わる 国公私立大学、全国大学共同利用研究機関、独立行政法人、民間 企業等の研究者の全国組織である宇宙線研究者会議(会員数約 350名)の運営組織です。 <<<<<牧島教授からのメール>>>>> 差出人: Kazuo Makishima 日時: 2009年11月28日 9:42:14:JST 件名: 事業仕分けに関する再度のお願い:牧島より 東大物理の皆さん (多くの方に同時に送っていますので重複ご容赦ください) (どうぞ自由に周囲に転送ねがいます) 再度のお願いです。ここ1週間、事業仕分けに関するいくつかの 緊急集会に出席しましたが、そこで得た感触は、 1.事態はきわめて深刻で、日本の学術(とくに自然科学系)に、  とり返しのつかない打撃となる(※1)可能性が、きわめて高い。 2.それに対して、有効な戦術を誰もきちんと提示できない。 という2点でした。それに加えて、 3. 仕分けそのものは、国民のきわめて高い支持を得ている。 もきわめて重要です。さらに物事は急ピッチで進み、 4.あさって11/30に、仕分けの最終結果が報告される。 5.それを受けて、予算に対して12/19(?)に最終的な政治判断  がされる。 と聞いています(この部分、認識違いがあればごめんなさい)。 そこで再度のお願いですが; ○ まだの方はぜひ12/15までに文科省に意見をメールしてください。 http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm  これは事業により宛先が違っていて、メールの件名に    件名:事業番号と事業名  と書くことになっています。たとえば学振特別研究員制度  なら、施策番号は(たぶん)100、施策名は「特別研究員事業」、 宛先はnak-got [at] mext.go.jp(※2)だと思います (各自で再確認を願います)。 ○ こちらもまだの方はできるだけ早く、民主党Webサイト http://www.dpj.or.jp/header/form/index.html  に意見をたくさん伝えて下さい。この場合も上記 3.によく  留意しつつ、「**に関する仕分けの結論は、民主党の  (たとえば教育を拡充するという)マニフェストに矛盾して  いる」「Webに公開されている仕分けの意見の&&&の部分は、  これこれの事実に反しており、事実誤認である」「これでは  公約違反であり、ぜひ修正をお願いしたい」といった、  ディベートの基本に則った書き方が有効と思います。 ○ いずれの場合も、たとえば学振DC/PDがこのように高い  生産性をもつ(あるプロジェクトにおける論文成算数など)  といった、具体的で客観性の高い数値を、簡単に付けると  効果が上がると思います。 ○ それぞれの地方で、選出された民主党議員に対し、ぜひ  大至急、意見を送ってください。多くの議員は、自分のHP  で意見を受け付けているはずです(※3)。もし個人的に  知己の議員がいれば、なお良いと思います。 ○ ご自分だけでなく、ご家族、知人友人、あらゆる方にアク  ションするよう伝えてください。とくにAcademic sector ではなく、産業界などに属する方の意見は、効果的です。  あなたの親戚、先輩、昔の同級生などに、賛同してくれそう  な方がおられたら、ぜひ声をかけて下さい。 ○ 他に有効な戦術(の候補)をお持ちの方は、ぜひお知らせ  ください。 日本の学術が根底から破壊され、後世に多大な禍根を残すこと の無いよう、皆さんの迅速な行動を切望いたします。 東京大学理学系研究科(本務) 理化学研究所宇宙放射線研究室(兼務) 牧島一夫 (※1) 以下は、このまま物事が進んだ場合に危惧される影響の例です。 正確さを欠く部分があれば、ご容赦ください。 http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/3kekka.html#1113 ○学振特別研究員が大幅にカットされ、来年度の採用内々定が  キャンセルになる危険性が多々あります。 ○科研費も厳しく絞り込まれるでしょう。内約された継続課題  さえ、安泰とは思えません。 ○国立大学の設置形態そのものが根本から覆る可能性があります。  さすがにその議論は時間を要するでしょうが、運営費交付金が  さらに厳しく削減されることは想像に難くありません。 ○「すばる」、Super Kamiokandeなどの運転が難しくなり、ALMA  の建設への国際貢献が滞る危険性があります。 ○文科省として予算の総枠が厳しく圧縮される結果、「仕分け」  対象にならなかった事業にまで影響が及ぶ可能性があります。 (※2) この宛先の nak は、中川正春・文科副大臣(民主党三重2区選出 の衆議院議員)のことで、彼が文科省関係の事業の1/2について、 パブリックコメントを取り纏める立場にあることを示しています。 残りはもう1人の副大臣である、 (※3) 第173会議臨時国会は、11/30まで会期延長されているので、  http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index.htm 地元には居ないでしょうが、おそらく秘書が読むでしょう。 ======================================