<<<<<<<<<<<<<<<<<< CRC News No.1249:2008年10月29日 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>> *******************************< 会 報 >******************************* CRC会員 各位 2008年10月29日 CRC実行委員長 梶野 文義    CRC事務局 神奈川大学 日比野欣也    hibino [at] n.kanagawa-u.ac.jp  「平成20年度 第1回 CRC総会 議事要録」を、お送り致します。   重要事項がありますので、お読み下さい。 **************< 平成20年度第1回 CRC総会 議事要録 >************** 日 時:2008年9月22日  17:50〜19:00 場 所:山形大学物理学会SF会場 参加者:(順不同、敬称略)梶野文義(委員長)、梶田隆章、谷森達、     清水雄耀、谷本奈穂、梶裕志、中畑雅行、伊藤好孝、三浦真、     福田善之、米徳大輔、吉田龍生、間瀬圭一、大西宗博、郡司修一、     土屋晴文、川崎賀也、榊直人、川田和正、佐川宏行、黒田和明、     村木綏、安東正樹、田中隆之、林田直明、日比野欣也、内山隆、     木戸英治、小林兼好、小澤俊介、市村雅一、窪秀利、齋藤敏治、     堀田直己、瀧田正人、神谷浩紀、佐古崇志、奥村公宏、吉越貴紀、     冨田孝幸、本田健、増田公明、神田展行、有働滋治、松原豊、     西島恭司、鈴木敏一 1.議長選出 鈴木敏一CRC実行委員を選出 2.事務局報告 (1)CRC活動 1) 8月21日、平成20年度第1回CRC実行委員会 2) 9月12日、平成20年度第1回CRC実行委員会議事要録配信 3) 9月19日、CRC連絡誌速報30号発行郵送 (31通) 4) 随 時、 CRC News No.1157〜No.1225 配信 (前回総会以降) (資料1参照) (2)新入会員 (前回総会以降) 以下の入会希望者に対して、実行委員会で経歴などの資格を審議した結果、 全員の入会が認められた。 (経歴は、第1回、第2回実行委員会議事要録を参照) ○山下 雅樹(やました まさき) (宇宙線研神岡 特任准教授 XMASS) 推薦者: 竹内康雄、森山茂栄 ○小林 兼好(こばやし かずよし) (宇宙線研神岡 特任助教 XMASS) 推薦者: 竹内康雄、森山茂栄 ○芝田 達伸(しばた たつのぶ) (宇宙線研TA 研究員) 推薦者:福島正己、佐川宏行 ○武多 昭道(たけた あきみち) (宇宙線研TA D3) 推薦者:福島正己、佐川宏行 ○川名 進吾(かわな しんご) (埼玉大理 D2 TA) 推薦者:井上直也、福島正己 ○木戸 英治(きど えいじ) (宇宙線研TA D2) 推薦者:福島正己、佐川宏行 ○奥田 剛司(おくだ たけし) (大阪市立大理 D2 TA) 推薦者:林 嘉夫、福島正己 ○池田 大輔(いけだ だいすけ) (宇宙線研TA D1) 推薦者:福島正己、佐川宏行 ○冨田 孝幸(とみた たかゆき) (山梨大 D1 TA) 推薦者:本田建、福島正己 ○谷本 奈穂(たにもと なほ) (宇宙線研ニュートリノセンター 特任研究員) 推薦者:梶田隆章、金行健治 ○梶 裕志 (かじ ひろし) (宇宙線研ニュートリノセンター 特任研究員) 推薦者:梶田隆章、金行健治 3.宇宙線研究所報告(梶田所長) ◎人事異動(4/1以降)   2008.6.1 武長祐美子 特任研究員(神岡広報)   特任助教 人事->9月教授会への報告予定   大学内の教員採用可能数再配分で教授1(時限なし)が認められた。現在この 人事について、分野も含め共同利用運営委員会、教授会などで議論中。 ◎平成21年度概算要求  継続(スーパーカミオカンデの復旧及びニュートリノ研究の推進並びに神岡宇 宙素粒子研究施設の拡充)のみ財務省へ。重力波(LCGT)は文科省止まり であった。 ◎将来計画検討委員会報告書 昨年度8月末に開催された将来計画検討委員会(荒船委員長)の報告書が5月 はじめにまとめられた。(報告書は研究所ホームページからダウンロード可能)。 ◎暫定評価 本中期目標期間の宇宙線研究所の暫定評価報告書を提出した(黒田委員長)。 研究活動の状況は「期待される水準を上回る」、研究成果の状況は「期待され る水準を大きく上回る」と自己評価。 ◎グローバルCOE   東大の物理関係で申請した「未来を拓く物理科学結集教育研究拠点」が採択さ れた。 宇宙線研究所窓口は川崎先生。 ◎共同利用・共同研究拠点への申請について   学術分科会 研究環境基盤部会の「学術研究の推進体制に関する審議のまとめ」 (2008.5.27)において「共同利用・共同研究拠点」が新たな共同利用・共同研 究を推進する組織と定義されたことを受け、「共同利用・共同研究拠点」として の認定を受けるために申請する方向で準備を進めている。来年2月申請予定。 CRCにもこの方向で進めることをサポートしていただきたいと考えている。   なお、この報告書では「学術研究の大型プロジェクトの推進」についても書か れている。 (個々の大学では実施が困難な大型研究について、国の学術政策 として、共同利用・共同研究体制で推進など。)  4.諸機関の報告(資料2参照) ◎KEK(報告:谷森) ◎名大STE(報告:伊藤) ◎JAXA(報告:林田、文責:鳥居) 5.研究グループ報告(資料3参照) ◎神岡(報告:中畑) ◎重力波(報告:黒田) ◎TA(報告:福島) ◎Tibet(報告:瀧田) ◎CANGAROO(報告:谷森、文責:森) 6.審議事項 (1)宇宙線将来計画について 第1回CRC実行委員会において審議を行った結果として、 CRCとICRRからメンバーを出し合って、所長諮問機関としての 宇宙線研究所将来計画検討WGの立ち上げを要望している最中である。 意見: (所長)主任会の意見として、長いタイムスケールの話だと解釈して     いたが、来年度の概算要求となると違和感がありそうである。   ー これまでも長期の将来計画の議論は散々やった。今は具体的に     短期で実行可能な中・小規模な計画を考えたほうがいい。   ー 共同利用・共同研究拠点となると何かが変わるかもしれない。   ー 予算枠が作られるわけでないので関係ない。 (所長)拠点となっても何も楽観できない。   ー 中・小規模な計画をこのWGで議論しても良いのではないか。   ー 次をどうしていくかの戦略を作りたい。   ー 戦略を先に考えることはあり得ないのでは? まとめ: 所長の諮問機関となるので何を議論するのかは所長に一任することにする。 (2)「共同利用・共同研究拠点」設置について ICRRよりサポートのお願いがあったので、実行委員会のほうで文書を作成 して、所長に提出したい。 名大STEからもサポート依頼があった。実行委員会のほうで文書を作成して、 所長に提出したい。 意見:   ー サポートする側としては将来計画などがないのに、サポートする     と言うのはおかしいのではないか。   ー 科研費だけでできない場合など、研究所からサポートできる場合     もあるので、拠点としてサポートすることは重要である。 (3)その他 なし。 =========================================================================== ● (資料1) 「CRC News」メール配信 ( 69 件) ○ 委員会報告; 7 件 4月17日、RCNP研究計画検討専門委員会議事録(案) 5月13日、RCNP研究計画検討専門委員会議事録(案) 5月22日、平成19年度第3回CRC実行委員会議事要録 5月22日、平成19年度第2回CRC総会議事要録 8月04日、大阪大学核物理研究センター運営委員会議事録(案) 9月12日、平成20年度第1回 CRC実行委員会議事要録 9月17日、大阪大学核物理研究センター研究計画検討専門委員会議事録(案) ○ 公募案内; 18 件    4月09日、東京工業大学・大学院理工学研究科 助教公募    4月11日、東京大学宇宙線研究所教員公募    4月28日、宇宙線研神岡広報特任研究員公募    4月28日、東京大学IPMUの学術支援専門職員公募    6月13日、KEK・加速器研究施設教員公募4件    6月17日、東工大・理工学研究科・基礎物理 教員公募2件    6月18日、KEK・加速器研究施設博士研究員公募(加速器08-5)    7月08日、Double Chooz実験研究員募集    7月09日、京大理学研究科GCOE特任準教授・助教公募    7月13日、名古屋大学理学研究科学振研究員公募    7月17日、東北大学大学院理学研究科任期付助教公募    7月24日、名古屋大学 GCOE特任教員公募    8月07日、名古屋大学 GCOE特任教員公募(再)    8月07日、Double Chooz実験研究員募集(再)    8月07日、京都大学・理・物理 GCOE研究員公募 9月08日、名大GCOE「宇宙基礎原理の探求」広報特任研究員公募 9月08日、名大GCOE「宇宙基礎原理の探求」特任准教授公募    9月19日、名大GCOE「宇宙基礎原理の探求」広報特任研究員公募(再送) ○ 研究会案内; 24 件    3月27日、プラズマ理工学国際会議    4月03日、KEKDTPレビューを開催    4月04日、宇宙線・ハドロン研究会申し込み期限(4月6日)    4月11日、招待・企画講演及びシンポジウム提案のお願い    4月18日、研究会「超高エネルギー宇宙線とハドロン構造2008」    4月28日、招待・企画講演及びシンポジウム提案のお願い    4月30日、Technology and Instrumentation in Particle Physics, TIPP09 5月30日、学術会議シンポジウム、第二回天文学・宇宙物理学の展望 5月30日、2008年度 第38回 天文天体物理若手夏の学校    6月12日、第22回「宇宙ニュートリノ」研究会    6月18日、KEK測定器開発室 FPGA講習会    6月18日、KEK測定器開発室 ASICデザイン講習および製作実習    6月20日、IAU symposium "Universal Heliophysical Processes"    6月23日、ニュートリノ研究会最終案内    7月02日、KEK測定器開発室セミナーのご案内    7月11日、研究会 "Fundamental Physics using Atoms"    7月11日、集中講義「宇宙輻射流体力学」    7月14日、教育企画会議: 理科教育にルネッサンスを    8月03日、第1回 LISA-DECIGO 国際ワークショップ    8月11日、KEK測定器開発室 FPGA講習会    8月15日、大気・宇宙の短時間現象検出に関する研究会    8月27日、第1回『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点研究会    9月16日、素粒子原子核実験と測定器技術に関する国際会議(TIPP09)    9月19日、 集積回路開発および関連技術に関するワークショップ ○ その他; 20 件    3月26日、訃報:早大名誉教授 長谷川俊一様御逝去    4月01日、CRC選挙の推薦と投票の呼びかけ(1)    4月03日、訃報:元理研 荻田直史様御逝去    4月04日、CRC選挙の推薦と投票の呼びかけ(2)    4月08日、CRC選挙の推薦と投票の呼びかけ(3)    4月09日、CRC選挙の推薦と投票の呼びかけ(4)    4月11日、今日がCRC選挙の推薦と投票の締切日    4月11日、至急CRC選挙の投票を    4月21日、平成20年度CRC選挙開票結果    6月06日、宇宙核物理連絡協議会への参加呼びかけ    6月16日、Kraushaar 先生御逝去    6月20日、第3回日本物理学会若手奨励賞(宇宙線・宇宙物理領域)候補者募集    7月10日、訃報:宇宙線研究所元所長 戸塚 洋二 殿 御逝去    7月17日、第3回日本物理学会若手奨励賞(宇宙線・領域宇宙物理)候補者募集    8月01日、宇宙線研大セミナー室にテレビ会議システム導入    8月04日、日本物理学会秋季大会の託児室について    8月27日、第7回坂田・早川記念レクチャー講演者推薦のお願い    9月08日、日本物理学会第14回論文賞    9月12日、CRC総会、宇宙線・宇宙物理領域懇談会のご案内 9月20日、CRC総会、宇宙線・宇宙物理領域懇談会のご案内(再) =========================================================================== ● (資料2) 諸機関の報告 -------------------------------------------------------------------------- ○KEK 素粒子原子核研究所 報告        京大 谷森 機構長は8月、理事は年内に選考を終える。  次期機構長は8月に鈴木厚人氏に決定 機構の改革案:専任の理事をおく。主幹会議を廃止し、機構会議を作る。 研究所間を横断する研究グループを作る。 副所長を複数置く。 Linear Collider 報告 3つのグループからEOIがResearch Directorに出された。 日本ではLOIを来年の3月までに完成させる。 ATFのビームを取り出し、衝突点の研究を行うためのATF2を建設中。 先端加速器技術推進協議会を立ち上げ、産学で加速器科学を推進する。 KEK-B 報告 (山内) UpgradeのためにMax Planc, Munchenが入る予定。 J-PARC 報告 (神谷) Main Ringでビームの入射と周回に成功。 中性子が出たニュースが入った。 来年度からの素核研の組織、運営体制(野崎) 野崎、山内、西川で「3副所長」体制を試しており、隔週の定例会議+臨時 招集で迅速に対応している。 運営責任者会議を活性化するために、グルー プ責任者に若手を登用し、隔週に開催している。 運営会議は、コミュニティーの意志を反映し人事を審議する場として現状を 維持する。運営責任者会議のメンバーは所長が指名し、予算執行の責任を持つ。 メンバーは研究グループが選ぶ スポークスマンなどとは異なる位置づけ。 副所長を3名以下置き、副所長をサポートする。研究系は廃止する。 議論の後、「系と主幹を廃止し、3名以内の副所長を置く」という大枠を 承認した。    9月に次期所長候補を選出する。 ----------------------------------------------------------------------------- ○名大STE研究所 報告 伊藤 人事 電離圏(工学系)教授の後任、塩川和夫氏(STE研電離研圏部門 現准教授) 太陽風教授の後任、徳丸宗利氏 (STE研太陽風 現准教授) GCOE「宇宙基礎原理の探求」採択 理学研究科素粒子宇宙物理専攻と合同、他に多元数理研究科、環境学 研究科地球惑星物理も参加。 特任教員の公募(教授、准教授、講師、助教、広報研究員等) 暫定評価 研究活動、成果ともに「期待される水準にある」で提出 共同利用研申請のためのSTE研へのサポートレターの要請 メインの基盤団体の地球電磁気学会へ要請、加えてCRCにも要請 ---------------------------------------------------------------------------- ○JAXA/ISAS 宇宙理学委員会報告      文責 鳥居 第19回 平成20年6月5日 本部長報告 ・JAXAは新しい中期計画に入った。組織変更,一部役員入れ替えあり。   理事長,副理事長は留任。   ・国会において宇宙基本法が制定された。1年後に組織見直しを含む。  ・「きぼう」与圧部がISSに取り付けられた。曝露部とMAXIは2009年3月に   シャトルで打ち上げ予定。SMILESは第1号のHTVで来年度内に打上げ。  ・大気球実験所が北海道大樹町に移転。大樹町と連携協力と締結。  ・京都大学(宇宙ユニット)とJAXAが包括協定を4月21日に締結。 報告  0)宇宙理学委員の交代。 中谷委員(定年)=>藤井委員  1)宇宙工学委員会報告  2)大気球委員会報告 (大樹町新センター,ブラジル実験,第一次気球実験)  3)小型科学衛星専門委員会報告(第一号機SDR,第二号機ミッション募集)  4)対外協力室  5)衛星実験の現状    ・あけぼの,れいめい,あかり: 順調に運用中    ・すざく,Geotail: NASA Senior Review で運用延長了承。    ・かぐや:月の裏側の重力場で新知見。    ・ひので:X-bandの不調=> S-bandでダウンリンク  6) 衛星の開発状況    PLANET-C,BepiColombo(重量オーバ:ソユーズ=>アリアン),Astro-G 報告/議事  1)宇宙科学に関連するJAXAにおける最近の動き    宇宙基本法:文部科学省=>宇宙開発戦略本部(内閣)    プロジェクト化,プリプロジェクト化  2)MDR/SRR審査報告 マルコ・ポーロ,JEM IMAP/GLISM,小型セイル搭載科学観測器, NeXT,    小型科学衛星  3)ミッション運用延長審査結果    すざく,Geotail  4)各種ミッション    SMILES,ペネトレータ,次期火星探査WG設立  5)次期科学ミッションの公募  6)各種経費の公募・審査結果    戦略的基礎開発予算: SPICA, SCOPE, JASMINE, XEUS ,Laplace(木星),    Solar-C  搭載機器基礎開発経費:継続16件、新規6件  7)WG年度末報告    JASMINE,次期月探査,FFAST,PPM-Sat,CAST, 小型重力波観測衛星,DIOS,    ELMOS,ERG,Polaris, XEUS, JTPF, 木星,Lunar-Glove,SRG,SOLAR-C, JEM-EUSO, JEM-CALET, JEM-IMAP, JEM-GLISM, SPICA, 小天体 8)宇宙理学班員の登録申請について   9) 理学委員会予定 =========================================================================== ● (資料3) 研究グループ報告 ---------------------------------------------------------------------------- ○神岡関係報告(中畑)  スーパーカミオカンデでは順調にデータ取得が行われている。2008年9月 第1週には、読み出し電子回路の総入れ替えが行われた。新電子回路システム、 およびそれに伴う新オンラインシステムは問題なく動作している。  新地下実験施設では、ラドン防護のための内面吹き付け、電気工事が完了し、 実験機器を設置できる状態になった。  XMASS実験では、水タンク遮蔽体を2009年2月までに建設予定。光電子増 倍管の最終デザインが完了し、調達を開始する。装置の組み上げた方の詳細を デザインしている。 ------------------------------------------------------------------------- ○重力波 (黒田) [1] 概要  重力波グループの研究目的は、重力波の検出を通して一般相対性理論の実験 的検証を行うこと並びに重力波を用いた天文学を開始することである。この目 標に向かって、時間波計の重力波信号を検出するための高感度レーザー干渉計 の開発を継続し、確実に検出するためのkm基線長、低温鏡採用の地下設置レ ーザー干渉計(LCGT)建設のための概算要求を行った。今回の平成21年度要 求では、附置研の要求に対する新たな予算枠組みの創設が期待されるところで あったが、力不足であった。 [2]LCGTのR&D研究ーTAMA 干渉計の感度は、1kHz以上では目標感度をおおむね達成しているのに対して30 0Hz以下の周波数では地面振動による鏡揺れの抑制に伴う電気雑音で制限されて おり、これを改善するために低い周波数でも性能の期待できるSAS(Seismic At tenuation System)の設置が完了し、動作テストを行ってその実効性が確認され た。図1にその結果を示す。これと併行して干渉計制御系のデジタル化を進め、 電気系の低雑音化を進めた。またこれまでの観測で収集したデータの解析に基 づく発表を行った。 [3]LCGTのR&D研究ーCLIO 室温でのレーザー干渉計感度が一段落したところで、レーザー干渉計の動作を チェックしながら、4つの鏡(4つのクライオスタット)を順次冷却して冷却 状況をチェックすると同時に干渉計感度に起こる変化を観察した。冷却には1 つのクライオスタットに付きほぼ2月を要したことになるが、最初に運転し始 めた冷凍機はほぼ1年間順調に稼働させることができ、鏡を1年間14Kの温度 に維持することに成功しており、これは冷却技術と低温干渉計の成果である。 しかし、この過程で干渉計の最高感度を制限している原因が熱雑音以外の原因 であることが明確となり、一連の冷却過程を終了させて室温での雑音退治に戻 った。室温での作業は、真空槽の開閉に要する時間を短縮して試行サイクル数 を高め、雑音退治の効率化のためである。図2に室温における最新の感度を示 す。 [4] LCGTのR&D研究ー(その他) TAMAとCLIOでの研究以外に、NAOにおいてはRSE制御の研究が一段落し、KEKでは テストマス懸架方法の優劣比較を進めた。また、ICRRでは、LCGTで予定してい る鏡口径と同じ大きさのサファイヤ基材を米国LIGOプロジェクトから借り受け (MOUに基づく)、その品質測定を行い、品質評価技術を確認した。 ---------------------------------------------------------------------- ○TA (福島) TAグループは、日米の協力のもと、2003年から米国ユタ州の西部砂漠地帯に、 複合型宇宙線望遠鏡(Telescope Array: TA)を建設して来た。TAは、シンチレ ーション検出器からなる空気シャワーアレイと、その外周からアレイ上の大気 を見込む大気蛍光望遠鏡3基からなる。 巨大空気シャワーのエネルギーは、90%近くが電子・陽電子によって消費される ので、シンチレーション検出器による電磁シャワー成分のエネルギー測定は、 μ粒子による測定に較べて、一次粒子種やハドロン相互作用の不定性に影響さ れない。従って、TAでは、空気シャワーのモンテカルロ計算を援用して、地表 検出器が観測したシャワー粒子密度から一次宇宙線のエネルギーを決定できる。 これは、Augerの水タンクにない大きな特徴である。 TAでは、蛍光望遠鏡のエネルギー較正において、パワーの知れた窒素レーザの レイリー散乱を用いたPMTの絶対較正や、エネルギーと粒子数の知れた電子線形 加速器ビームをサイト内の大気中に射出して較正光源とする方法など、いくつ かの独自な較正法を考案して実行した。また、3基目としてHiRes望遠鏡を移設 したので、TAの新規望遠鏡と同時観測した空気シャワーのエネルギーを比較す ることによって、エネルギースケールをチェックすることができる。 このようにして得られた、地表検出器アレイと蛍光望遠鏡によるスペクトルを 比較することによって、エネルギーの測定に係わる系統誤差を洗い出し、測定 の信頼度を大きく改善することができる。また、測定事象の約10%は、両検出器 による同時測定であり、多数の独立したエネルギー測定を比較することにより、 測定の分解能を大幅に改善することができる。 TAのアレイと望遠鏡を合わせた観測感度はAGASAの約12倍となる。これは、アレ イの天頂角測定範囲を45度から60度に拡張することで、また望遠鏡の測定に単 眼観測を含めることで、AGASAの約23倍まで拡張される。Augerの観測感度はTA の4倍であるが、TAでは、1)より高精度でのエネルギー測定が期待される、2 )起源天体探索という点において、TAは銀河中心から離れた北天の観測するこ とにより、南米のAugerと相補的な役割を担う。 TAは、科研費・特定領域研究で予算化されている。参加機関は、宇宙線研究所 ・東工大・大阪市大・千葉大・芝浦工大・埼玉大・山梨大・KEK・近畿大・ 高知大・愛媛大・武蔵工大・放医研である。2006年度には東京理科大が加わり、 2007年度には早稲田大が加わった。 国外からは米国ではユタ大・ルトガース大などである。2006年からは、韓国の 梨花女子大・延世大・漢陽大が加わり、2007年からは、釜山大と忠南大が加わ った。2008年からはロシアの原子核研究所(INR)が加わった。米国グループは、 (1) サイト取得及び関連するインフラの整備、(2) 第3望遠鏡ステーションの 建設、(3) 10の17乗電子ボルト領域への装置拡張、を担当する。(1)と(2)に対 するNSF予算は、2006年6月に認められた。 2007年2月末までに、TAは全地表検出器の95%にあたる485台の設置を完了した。 その後全体調整を行い、2007年12月までに追加設置・修理交換を含めて503台を 設置した。2008年3月にアレイ全体のデータ収集を開始した。残り4台の設置は、 2008年11月に行う予定である。日本担当の望遠鏡2基の建設、米国担当の1基の 移設も完了し、2007年11月より3基の定常観測を開始した。2009年夏の宇宙線国 際会議では、AGASAの全データに相当するデータを収集して、エネルギースペク トル等の最初の結果を発表する予定である。 TAは、特定領域科研費によって建設を行ったが、領域科研費での運用も、2008 年度を残すのみである。今後、装置を安定に運用して研究成果を得るためには、 新規科研費の獲得が不可欠である。 ----------------------------------------------------------------------- ○チベット(瀧田) 1.2002年11月に総面積3.7万平方メートルのTibet-III(エネルギー閾値数Te V、角度分解能力0.9度)が完成し、連続運転を開始した。現在順調にデータを 取得している。科研費特定領域が2005年3月で終了し、将来計画(Knee領域重粒 子成分のエネルギースペクトル観測を目指すTibet-YAC: Tibet air shower co re detector array 及び 100TeV領域(10-1000TeV)ガンマ線天文学の開拓を目指 すTibet-AS+Tibet-MD: Tibet muon detector array)に関する議論及び外部資金 申請が活発に行われている。2007年秋に約100m2のプロトタイプ地下ミューオン 測定器を建設し、データ取得を開始した。半年以上正常に動作していることが 確認された。また、プロトタイプ地下ミューオン測定器観測データとシミュレ ーションの比較を行ったところ、シミュレーションがデータを良く再現してい ることがわかった。これにより、チベットにおける地下ミューオン測定器建設 等のfeasibility 及びガンマ線観測等に関する予想感度の正しさが立証された ことになる。 2.Knee領域(1014 eV -- 1017 eV)宇宙線全粒子エネルギースペクトルの測 定 [M. Amenomori et al., ApJ, 678, 1165-, (2008)] チベット空気シャワー観測装置(Tibet-III)を用いて、Knee領域(1014 eV - - 1017 eV)宇宙線全粒子エネルギースペクトルの測定を行った。2000年11月か ら2004年10月までに取得された合計5.5 x 107事例を用いた。電子サイズスペ クトルでも4PeVに折れ曲がりが観測された。CORSIKAを用いてシミュレーション を行い、ハドロンの相互作用としてQGSJET01cとSYBILL2.1、一次宇宙線化学組 成モデルとしてHD(heavy dominant)とPD(proton dominant)を用いた系統誤差を 評価した。また、全陽子と全鉄の極端なケースもスタディしてみた。チベット 高度(4,300m a.s.l.)では空気シャワーがほぼ最大シャワー発達に達すること及 び空気シャワー中の電磁成分を測定していることから予想される通り、測定さ れたエネルギースペクトルは一次宇宙線化学組成や相互作用モデルによる依存 性が少ない結果となった。本測定はKnee領域において、単独で3桁のエネルギー 範囲をカバーする唯一の実験であり、統計精度及び系統誤差コントロール面に おいても世界最高水準である。 3.前回のCRC総会から2008年度現在までで6つの国際会議で8 presentations 4.前回CRC総会から2008年度現在まででrefereed jounal: 3本 ------------------------------------------------------------------------ ○CANGAROO (森) 南オーストラリア・ウーメラに設置したチェレンコフ望遠鏡システムにより、 天体ガンマ線の観測を継続している。2008 May-2008 Sepの観測は、未同定天体 HESS J1614-518を67時間(ON-source観測時間)、活動銀河核PKS 2155-304を4 8時間(同)であった。2000年と2002年にそれぞれ設置した10m望遠鏡1号機、2 号機は性能の劣化が進み、現在は観測には使用していない。望遠鏡の性能更新 にご理解とご支援をいただきたい。 観測結果については解析が進行し、この半年でReferencesに挙げるように4編の 論文が発表されており、また2編が投稿中である。 1)銀河面をスキャン観測し、銀河円盤に伴うTeVガンマ線放射について上限値 を与えた。[1] 2)HESS未同定天体J1804-216を観測し、HESSとconsistentなTeVガンマ線放射 を観測した。[2] 3)Kepler超新星残骸を観測し、TeVガンマ線放射について上限値を与えた。[3] 4)パルサー星雲MSH15-52を観測し、HESSとconsistentな拡がったTeVガンマ線 放射を観測した。[4] 5)銀河団Abell 3667とAbell 4038を観測し、TeVガンマ線放射について上限値 を与えた。[5] 6)超新星残骸W50の中央にあるマイクロクエーサーSS433を観測し、TeVガンマ 線放射について上限値を与えた。[6] References [1] "Very high energy gamma-ray observations of the Galactic Plane with the CANGAROO-III telescopes“, Ohishi, M. et al., Astropart. Phys., 30, 47-53 (2008) [2] "Observation of Very High Energy gamma rays from HESS J1804-216 with CANGAROO-III Telescopes”, Higashi, Y. et al., Astrophys. J., 683, 957-966 (2008) [3]“CANGAROO-III Search for Gamma Rays from Kepler's Supernova Remnant”, Enomoto, R. et al., Astrophys. J., 683, 383-388 (2008) [4] "Observation of an extended VHE gamma-ray emission from MSH 15-52 with CANGAROO-III“, Nakamori, T. et al., Astrophys. J. 677, 297 (2008) [5] “CANGAROO-III search for TeV gamma-rays from two clusters of galaxies”, R. Kiuchi et al.、投稿中 [6] “Search for sub-TeV gamma rays from SS433/W50 with the CANGAROO-II telescope”, S. Hayashi et al.、投稿中 ---------------------------------------------------------------------------- 以上 ======================================