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【プレスリリース】かに星雲から史上最高エネルギーのガンマ線を観測〜日本・中国建設のチベット空気シャワー観測装置で

 チベットASγ(エー・エス・ガンマ)実験は、中国のチベット自治区の羊八井高原 (ヤンパーチン、標高4,300 m) に建設した空気シャワー観測装置により、超高エネルギー宇宙線を観測するもので、東京大学宇宙線研究所、中国科学院高能物理研究所など日本と中国の研究者91人の国際共同研究グループにより運営されています。「かに星雲」は1054年に突然現れた明るい星(客星)として藤原定家の日記「明月記」等にも記録された歴史的な超新星の残骸で、現代の天文学では電波からガンマ線まで幅広い波長領域で観測されてきました。

 チベットASγ実験グループは2014年、ガンマ線由来の空気シャワーを感度良く観測できる機器を追加し、観測を再開しました。その直後から2017年まで約2年間分の観測データを解析したところ、100 TeVを上回る超高エネルギーガンマ線が約20個、かに星雲の方向から到来していることが分かりました。その最高エネルギーは450 TeVに達しています。超新星爆発のパルサー風によって1015電子ボルト(= 1 PeV = 1000 TeV)の超高エネルギーにまで加速された電子が、宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの名残)に衝突してガンマ線が生じたと推測されます。これまでに観測されたガンマ線の最高エネルギーは75 TeVに留まっており、今回の成果は新たなエネルギー領域のガンマ線天文学への道を切り拓くことになります。

 本成果を記した論文は、7月29日付け(日本時間の30日)発行の米国科学誌Physical Review Letters電子版に掲載されます。本論文は科学誌の中で"Editors' suggestion"および"VIEWPOINT"に選出され、大きく紹介されます。

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