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【プレスリリース】世界最大の国際宇宙ガンマ線天文台CTA の建設サイトが チリ・パラナルとスペイン・ラパルマに決定

発表者

手嶋 政廣(東京大学宇宙線研究所・教授)

発表のポイント

 国際宇宙ガンマ線天文台CTA(注1)の南北のサイトが、チリ・パラナルとスペイン・ラパルマに決定しました。長期にわたる調査、議論の結果、いよいよ国際ガンマ線天文台が建設フェーズに入ります。国際宇宙ガンマ線天文台CTAは、今までにない感度で、宇宙でおこる極限的な現象、高エネルギー現象を観測し、未だ暗闇にとざされた高エネルギー宇宙の姿をあらわにすると期待されています。

発表概要

 東京大学宇宙線研究所・手嶋政廣教授を構成員として含む国際ガンマ線天文台CTA(Cherenkov Telescope Array) の最高評議会において、2015年7月16日、ベルリン・ドイツにおいて、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナルおよびスペイン・ラパルマのロケ・ムチャチョスとCTA天文台を設置するための契約最終交渉にはいることを決定しました。
 CTA最高評議会は、オーストリア、ブラジル、チェコ、フランス、ドイツ、イタリア、ナミビア、オランダ、日本、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スイス、英国の各国政府、代表機関の代表者から構成されています。長期にわたる交渉、環境調査、装置性能、建設経費、運転経費の評価を行い、南半球チリ・パラナル(ESO)と北半球スペイン・ラパルマと最終交渉にはいることが決定しました。この決定は、国際ガンマ線天文台CTA建設へ向けての大きなステップであり、CTA計画(注2)の大いなる進展が期待できます。

発表内容
国際ガンマ線天文台CTA評議会は、2015年7月16日、ベルリン・ドイツにおいて、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナルと、スペイン・ラパルマのロケ・ムチャチョスと南北のCTA天文台を設置するための契約最終交渉にはいることを決定しました。

CTA評議会は、オーストリア、ブラジル、チェコ、フランス、ドイツ、イタリア、ナミビア、オランダ、日本、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スイス、英国の各国政府、代表機関の代表者から構成されています。数ヶ月にわたる交渉、長期にわたる環境調査、装置性能、建設経費、運転経費の評価を行い、ESOチリ・パラナルサイトとスペイン・ラパルマサイトと交渉をはじめることが決定しました。

今回の決定に際し、CTA研究代表者の Werner Hofmann氏は「今回議論されたすべてのサイトは質が高く、また各提案サイト側からの強いCTA計画へのサポートがあり、決定は非常に困難であった」と語っています。また、最高評議会議長の Beatrix Vierkorn-Rudolph 氏からは、「今回の決定は、CTAを実現する上で極めて重要である。」と、副議長のGiampaolo Vettolani 氏からは「ナミビア、メキシコの研究者が、引き続き、最高の装置をコミュニティーのために建設するためにCTAに貢献してくれることを期待する」とのコメントがありました。

宇宙の観測、観測領域を最適化するために、CTA天文台は南北の2サイトからなり、南半球に約100台の望遠鏡、北半球に約20台の望遠鏡を設置する予定です。

今回の決定は、最も先進的な高エネルギーガンマ線観測装置CTAの実現に向けた大きなステップとなり、今後10年にわたり、CTAの持てる最大限の出力を提供することで科学コミュニティーへ貢献できると期待されています。

南半球のサイトは、アタカマ砂漠のヨーロッパ南天天文台のパラナル天文台から南東に10km の位置です。この場所は、地球上で最も乾燥し、人里離れた場所であり、天文学のための天国といえます。年間を通して素晴らしい観測条件であるだけでなく、ヨーロッパ南天天文台の協力により、存在するインフラ(道路、宿泊施設、水、電気など)の提供を受け、すでに存在する施設を利用すること、CTA天文台の建設、運用を行うことになっています。

北半球のサイトは、カナリ宇宙物理学研究所の管理するスペイン・カナリ諸島にあるロケ・ムチャチョス天文台です。サイトは、高度2200mで火山のクレーターのそばに位置し、現在2基のガンマ線望遠鏡MAGICを擁しています。このサイトは年間を通して理想的な観測条件を提供しているといえます。

現在CTAは前期建設段階にあり、サイトの決定はCTA建設計画において不可欠であり、CTA進展のためきわめて重要であり、プロジェクトの計画、設計に大きく関係してくるものでした。

用語解説
(注1)CTA:宇宙物理コミュニティーに開かれた公開天文台であり、非熱的、高エネルギー宇宙を探索する高エネルギーガンマ線天文台である。CTAは今までにない感度で高エネルギー放射を測定し、現在稼働している望遠鏡のおよそ10倍の感度を得る。宇宙の極限的で、爆発的な現象にまったく新たな知見を与えることが期待される。

(注2)CTA 計画:世界で最も大規模で、最も高感度な高エネルギーガンマ線天文台を建設し、運用するというものである。1000人を超える研究者が5大陸31カ国、170を超える研究機関からCTA計画に参加している。
 CTA日本グループは、東京大学宇宙線研究所を中心として、京都大学、名古屋大学、茨城大学、埼玉大学、KEK、広島大学、青山大学、東海大学、甲南大学など29の研究グループから100名を超える研究者で組織されている。CTA日本グループは、南半球、北半球に設置されるCTAの望遠鏡アレイ中央に設置される各4基の23m 口径の大口径チェレンコフ望遠鏡の建設を主導的にすすめる計画で、まず北半球から建設を開始したい意向である。大口径チェレンコフ望遠鏡は、高エネルギーガンマ線で見える宇宙をその誕生後16億年まで拡げ、超巨大ブラックホール周辺、活動銀河核での高エネルギー現象の研究、また、それらの進化についての研究がお大きく進展することが期待できる。

問い合わせ先

・CTAについて
CTA大口径望遠鏡プロジェクトリーダー
CTA最高評議会メンバー(日本代表)
東京大学宇宙線研究所 教授 手嶋 政廣

 ・宇宙線研究所について
東京大学宇宙線研究所 広報担当 林田 美里
TEL:04-7136-5148
E-mail:misato@icrr.u-tokyo.ac.jp

添付資料

※報道関係者の方へ:以下の画像は、こちらからダウンロードいただけます。


図1 CTA候補4サイトから最終交渉に向けて、南半球チリ・ラパルマ(ESOサイト)と北半球スペイン・ラパルマが選択される。(クレジット:CTAコンソーシアム)


図2 CTA国際ガンマ線天文台想像図。南北の望遠鏡アレイ2ステーションの中央部には、日本グループが主導的に開発研究を進めてきた23m口径の大口径チェレンコフ望遠鏡4基が設置される予定である。従来の観測装置と比べ1桁以上の観測感度を有し、南北2ステーションに設置される望遠鏡アレイは国際ガンマ線天文台として運用される。(クレジット:CTAコンソーシアム)


図3 23m 口径の大口径チェレンコフ望遠鏡。主鏡部分は2m2の鏡200枚からなり、アレイ中央部の4台の大口径チェレンコフ望遠鏡の鏡面は合計1600m2 となる。宇宙から飛来する高エネルギーガンマ線が地球大気中で放出するチェレンコフ光を高精度で観測する。(クレジット:CTAコンソーシアム)

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